【Vol.20】Roland A-90EX ~90年代半ばのおしゃれマスター鍵盤 兼ステージピアノ[1996年頃]
2018/11/23
僕が初めて買った鍵盤はRoland XP-50というシンセでしたが、その約2年後の1996年頃、「Roland A-90EX」というステージピアノを購入することになりました。
同社のこの「Aシリーズ」というのは元々音源の内蔵されていない「コントローラー部」のみのモデルであり、単なる「A-90」だと音は出ません。これに別売りの音源ボードを装着すればピアノ音色等が鳴るという感じです。
というわけで僕は最初から音源が装着された「A-90EX」仕様で購入。ちなみにこの追加音源ボードは「VE-RD1」といって、+50,000円でした。
冒頭でステージピアノと言ってしまいましたが、どちらかと言うと「マスターキーボード」としての機能の方が売りだったかもしれません。そちらの方のスペックをちょっと記してみましょう。
A-90EX/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
マスターキーボードとして
■独立4系統のMIDIアウトを装備
■さらに内部音源用の4ゾーンを外部用に変更することもでき、合計8ゾーンで外部音源をコントロール可能
■リアパネルに用意された各ジャックで総計20のコントローラーが使用可能
■接続したシーケンサーのソングセレクトやテンポが制御可能
■各ゾーンのボリュームは、「トータルボリューム」によってバランスを保ったままリアルタイムで一斉にコントロール可能
こうやって見ると当時としてはかなり強力ですね。マスターキーボードとして使うには音源部は必ずしも必要ではなくて、オプションにしたのはうまいです。ではステージピアノとしての出来はどうでしょう。思い切り主観入ってますがどうぞ↓
ステージピアノとして
追加音源ボード「VE-RD1」の音は明るくてデジタルで、今思うといかにもRolandなピアノ音色。同時発音数64も今ではなんてことないですが、当時としてはハイスペックの部類でした。ピアノだけで考えれば同社の「RDシリーズ」とほぼ同じ系統と考えていいと思います。
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これがその時代のJ-POP曲にマッチして、僕自身非常によく弾いたことを覚えています。ピアノだけでなく、オルガン、ストリングス、シンセブラス、シンセリードなどの基本的な音色も入っていたため、バンドサウンド構築にはもってこいでした。
鍵盤タッチは重めで、ピアノ志向の人には向いていると思います。マスター鍵盤らしくチャンネル・アフター・タッチも付いてます。
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デザインについて
単に僕の思い入れが強いだけかもしれないけど、洗練された非常に美しい外観デザインだと思います。初めて箱を開けた時のトキメキみたいなのを今でも覚えています(笑)。確かに同社のMK-80 Rhodesのように上面パネルがフラットだったらもう1台シンセも乗せられるのですが、これはこれでいいんです。
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可搬性について
本体重量は27.3kg。僕の場合、運ぶための汎用ハードケース(SKB製)も買ったのだけど、これまた1.7mほどの巨大なしろもの!。当時エレベーターのない雑居ビルの4Fに住んでいた僕にとって、部屋への搬入出は地獄でした。ケース含め約30kgだったと思われます。。一人で運ぶのは困難です。
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まとめ的な
マスターキーボード、ステージピアノの性能を両立した、当時(90年代半ば)としては非常に完成度の高い1台だと思います。
ホームスタジオ等にちゃんとしたピアノタッチの88鍵盤が必要であれば、こういった機種は最適かと思います。ただしライブごとに運ぶのは相当しんどいのでおすすめしません(笑)
仕様
■音源:PCM方式
■最大同時発音数:64音
■パート数:4
■エフェクト:リバーブ、コーラス、イコライザー
■プリセットメモリー:128パッチ
■ゾーン:インターナル4、エクスターナル4
■外形寸法:1456(W)×143(H)×405(D)mm
■重量:27.3kg
■発売当時の価格
A-90 :198,000円(税別) ※オプションのVE-RD1追加でA-90EX相当に
A-90EX:248,000円(税別)
■発売開始年:1995~96年頃