キーボーディスト、脱初心者を目指す

ピアノ、シンセサイザー、オルガンとか鍵盤楽器もろもろ。関係ない記事もたまにあるよ

1970~80年代'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.353】YAMAHA EMT-10他 ~コンパクトなエキスパンダー・モジュール群[1988年]

2018/07/01

 今回はヤマハが1988年に発表した「EMT-10」という音源モジュールを紹介してみたいと思います。発売時の定価は49,800円でした。おおよそハーフラック1Uサイズの、コンパクト・エキスパンダー・モジュールといったところ。
 
 
 ちなみに本機はいわゆるDTM用途を想定されたハード音源ではありません(→GM制定の約3年前の製品)。当時の類似製品としては、以前本ブログでも紹介した「KAWAI PHm ~珍しい80年代製ハーフラック音源モジュール」が近い感じです。

 

YAMAHA EMT-10

 

 これは当時ヤマハさんが “EMシリーズ”としていくつかリリースした製品群の中の一つですね。EMシリーズのサイズ感やパネルデザインは概ね統一されており、それぞれ「シーケンサー」「音源モジュール」「リバーブ」「リズムマシン」など、個々は機能を特化した製品となっています。
 
 
 というわけでEMT-10を本記事の中心に据えつつ、他のEMシリーズについても簡単に言及していきたいと思います。
 
 
 

EMT-10

 音源方式にAWM音源(→サンプリング方式)を採用したコンパクト音源モジュール。収録されていたプリセットは以下全12音色です。
 

●ピアノ1●ピアノ2●エレクトリックピアノ1●エレクトリックピアノ2●ハープシコード●ギター●ストリングス●ブラス●クワイア●アップライトベース●エレクトリックベース●スラップベース

 
 各音色はパネル上にそれぞれ専用のスイッチが設置されているため、一発で音色変更ができるのは便利。基本的に鳴らせる音色は選んだ1音色のみです。
 
 
 肝心のサウンドですが、この時代のAWMらしい非常に軽いキャラクター。まあぶっちゃけそんなにリアルでリッチな感じではないです。。特にピアノ系はタッチ(→ベロシティ)の違いによる音色変化が乏しく、生ピアノの代用として捉えると非常に心もとない感じですね。エレピ系も然りで、RhodesともFMエレピとも言えない微妙な “電子音色”だったりします。
 
 
 なおベース音色だけは他とちょっと違っていて、ベース音のスイッチと他の音のスイッチを同時に押すことにより、自動的に音色スプリットが掛かります(スプリット・ポイントはF#2固定)。ベースレスのバンドで活躍してくれるかもしれません。
 

YAMAHA EM Series(advertisement)
EMシリーズ/ヤマハ(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

EMT-10の操作について

 パネルの右側には「BRIGHT」「MELLOW」「SLOW」「FAST」という4つのボタンが配されています(これらはサウンドシフターと呼ばれる)。これを押すことにより音色を明暗を変えたり(→BRIGHT/NORMAL/MELLOW)、音の立ち上がりのスピードを調整する(→SLOW/NORMAL/FAST)することができます。
 
 
 まあ音色エディターと言うには余りにも簡易なものですが、同じくハーフラック・モジュールのKAWAIのPHmはプレイバックのみだったということを鑑みると、EMT-10の方が多少なりとも音作りの余地はあったというところ。
 
 
 あと他にもオクターブ・シフト、トランスポーズ、タッチカーブの変更ができます。この頃のMIDI対応デジタル・ピアノは非常に重かったので、本機だけを持って行って現場のMIDIキーボードとつなぎ、気軽に音出しができたという意味では便利に使えたのではないかと。
 
 
 

EMT-10のMIDI機能について

 ベロシティ、プログラムチェンジ情報、そしてピアノ周りのコントロールチェンジ情報(#64 ダンパー、#66 ソステヌート、#67 ソフト)は受けますね。ただしアフタータッチやベンダー情報は受けません。MIDIも全体的に非常にシンプル。

 

スポンサーリンク

 

 

EMT-1

YAMAHA EMT-1

 4オペレータのプリセットFM音源モジュールであり、定価はEMT-10よりもぐっとお手頃な29,800円でした。ブラス、ストリングス、エレピなど、FM音源による32種類の音色を搭載。プリセットタイプなので凝った音作りはできませんが、EMT-10でも装備されていたサウンドシフターによって、ちょっとしたエンベロープやフィルターの調整は可能でした。
 
 
 うーん、これは1988年当時、FM音源は既に下火で 代わりにPCM音源(≒AWM音源)が台頭してきたという時代背景が、EMT-1とEMT-10の価格差にも端的に現れているような気がしますね。現代となってはFM音源の方が大いに使いようがあるという感じですが。。
 
 
 

EMQ-1

YAMAHA EMQ-1

 クイック・ディスク(QD)ドライブを備えた、MIDIリアルタイム・レコーダー。要するにシーケンサーですね。当時の定価は39,800円。
 
 
 分解能は四分音符/192で、これは当時の低価格帯シーケンサーとしてはなかなか。約6,000音を本体にメモリーすることが可能でした(QD使用時にはその倍のメモリー・スペースが確保できた)。
 
 
 なおトラックは2つのみだったので、オーバーダブしたデータを、メイン・トラックにマージ(併合)していくことで多重録音を行うというのが一般的な使われ方でした。
 
 
 

EMR-1

YAMAHA EMR-1

 プリセット・タイプのリズムマシン。定価は29,800円でした。PCM音源による37音色と、32×3通りのリズムパターンを内蔵しており、イントロ/エンディング、フィルインなども用意されていました。
 
 
 EMシリーズの中で最多のボタン数を誇り(笑)、7セグメント×3桁のLEDも搭載した辺りからもなかなかの意欲機と見ていいかも。
 
 
 

EME-1

YAMAHA EME-1

 
 デジタル・リバーブ。当時のデジリバとしてはお手頃な定価29,800円でリリースされました。リバーブの他、ディレイ、エコー、ゲートリバーブなど12種類のエフェクトを内蔵。なおフロントパネルは非常にシンプルなデザインとなっていますね。。
 
 
 

まとめ的な

 EMとは【EXPANDER MODULE】の頭文字を取ったものであり、そもそもは同社の電子ピアノ(クラビノーバなど)の拡張システムとして開発されたらしいです。
 
 
 機能を絞って安価・軽量な一製品に仕上げ、個人の欲求・予算に合わせて徐々にシステム・アップも可能ということで、当時としてはなかなか面白い戦略だったと言えるかもしれません。実際どれほど市場に受け入れられたかは定かでありませんが。。
 
 

仕様(EMT-10)
■音源方式:AWM音源
■最大同時発音数:8音
■プリセット音色:ピアノ1/2、エレクトリックピアノ1/2、ハープシコード、ギター、ストリングス、ブラス、クワイア、アップライトベース、エレクトリックベース、スラップベース
■外形寸法:218(W)×44(H)×215(D)mm
■重量:1.2kg
■価格:49,800円
■発売開始年:1988年

 

関連記事および広告

関連記事および広告


-1970~80年代'', YAMAHA, 楽器・機材【Vol.〇〇】