『キーボード・マガジン 2019 SPRING (No.404)』(リットーミュージック発行) ~オルガン&クラフトワーク特集
2019/03/24
キーボード・マガジンの2019 SPRING号、発売されてますね! 今号はオルガンとクラフトワークの特集みたいです。
ピアノ、エレピ、シンセときて、「オルガン」も様々なシーンで頻繁に使われるド定番鍵盤楽器なのは周知の事実。奏法はピアノ系とは結構異なるので、近年オルガンを始めた、あるいはもっとオルガンのことを知りたい/楽曲に組み入れたい! という読者にとって、訴求力のある内容となっているんじゃないでしょうか。
そしてもう一つの特集は「クラフトワーク」(!)。クラフトワークがキーマガ誌の表紙を飾る日が来るとは思ってもみませんでした(笑)。。
特集記事・「万能楽器」オルガンに学ぶ
そもそも「オルガンとは何か?」という視点から、オルガン史の記事や、ポピュラー音楽における各ジャンル別必聴アルバムなどが網羅されています。教会などのパイプオルガンにはじまり、現代のコンパクトなオルガンに行きつくまでの経緯などが細かく書かれており、数百年の歴史を持つといわれる “オルガン”という楽器をざっくり理解するのに役立つと思います。
記事後半では “ハモンドに学ぶオルガン基礎知識”としてハモンドB-3を取り上げ、実際にドローバーを用いた音色セッティングの実例などが細かく表記されています。そう、このドローバー(ハーモニック・バーとも)ですが、オルガンの音作りにおいて重要な要素なのですね。
一見、現代のポピュラー音楽で使われるオルガンとはやや遠い存在に思われる冒頭のパイプオルガンも、構造上このドローバーを理解するのに役立ってます。なので最初の部分もちゃんと読んでくださいね(笑)
オルガンスコアとして、ゴダイゴの「モンキー・マジック」、クイーンの「DON'T STOP ME NOW」が収録されています。
注目機種をレビュー! 最新オルガン・サウンド検証
この章では、現行のオルガン専用機から、(オルガン音色も収められている)ステージキーボードまで、全6機種を取り上げ内容を細かく網羅しています。
HAMMOND SKX
NORD NordElectro 6D
VOX Continental
STUDIOLOGIC Numa Compact 2x
YAMAHA reface YC
HAMMOND XK-5
各機種は、付録のCDでも音源(演奏例)を聴くことができます。
今も昔も、様々なキーボード/シンセサイザーでオルガン音色は収録されているのですが、上記のモデルはどれもドローバーが付いており、より “オルガンらしさ”を体感できる代表的な現行モデルといったところでしょうか。
特に新製品のHAMMOND XK-5は、一段鍵盤でありながら充実の内容を備えた最新・最強のオルガン専用機といった趣き。。僕自身生粋のオルガニストでも何でもないんですが、いつか試奏してみたいと思わせる一台ですね。
特集記事・クラフトワーク
2019年4月に来日予定であるクラフトワークの、これまでの日本公演をまとめた記事および楽曲分析からなる特集。
クラフトワークといえば、シンセサイザー黎明期である1970年代から今日にわたって活動を続けている、いわゆる “テクノ・ポップ”の先駆者として知られるドイツの電子音楽グループです。
前号(および前々号)のYMO特集でもそうでしたが、シンセサイザーを駆使したエレクトロニック・ミュージックの開拓者としてチェックしておいて損はないかもしれません。
紹介機材
YAMAHA CP88
CASIO PX-S1000
CP88は、同社のステージピアノ・カテゴリーである「CP」シリーズの新製品であり、88鍵フラッグシップ・モデルですね。ちなみに同時発売されたCP73は73鍵モデルとなっており、CPの系譜からするとこれは非常に珍しいです。しかも76じゃなくて73なのです。
本ブログでよく読まれている記事「ピアノ演奏に88鍵は必須なのか? ~73鍵でも弾ける曲がどれだけあるかを本気で検証」でも73鍵の素晴らしさ(笑)を熱く語らせて頂いておりますが、73鍵の可搬性の高さは特にアマチュア・キーボーディストにとってはもっと注目されてもいいのではないかと思います。
読後かんそう
昨年夏の「キーボード・マガジン 2018 SUMMER (No.401)」のエレピ特集に引き続き(引き続きではないが)、今号はこれまたキーボーディストの定番の楽器・オルガン特集ということで、若い世代の人にもためになる内容といっていいのではないかと。
まあエレピにしてもオルガンにしても本誌では数年に1回しか特集記事を組まれないため、必然的に「●●の歴史」といった部分から触れることになりますね。結果、内容が盛りだくさん・冗長化している印象を個人的には持ってしまうのですが、これは致し方ない感じといいましょうか。。
それにしてもクラフトワークの表紙&巻頭特集には驚かされました。そしてまだライブ活動を行っているというのもびっくり! 僕も2000年代初頭のライブ映像を持っているので改めて見直してみたいと思います。
関連記事(前号):
『キーボード・マガジン 2019 WINTER (No.403)』(リットーミュージック発行) ~YMO特集 Volume2