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その他メーカー 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.432】SEIKO DS-202/DS-310/DS-320 ~3合体でシステムアップ![1983年頃]

2019/04/14

 

 

 今回ご紹介する懐かし機材は、1983年末頃に服部セイコーが発売したデジタルシンセサイザーシステム・「DS-202」「DS-310」「DS-320」です。うーん我ながらマニアックなチョイス。。

 

SEIKO DS-202/DS-310/DS-320

 

 これらは何かというと、まずDS-202という基本キーボードがあって、それらに後付けで増設できる「DS-310」「DS-320」という専用ユニット(別売)が用意されているというものなんですね。
 
 
 基本システムを核として(オプションにより)機能を追加していくという考え方は現代でも見られるのですが、本機の場合は、専用物理ユニットを足すことにより見た目的にも(←ここ重要)完成形にしていく楽しみがあったのでは思われます。では個別に見ていきましょう。
 
 
 

DS-202

 音源内蔵61鍵キーボード・ユニットであり、システムの核となる重要な一台。当時のメーカー希望小売価格は128,000円でした。
 
 
 デジタル音源を採用し全10種の音色を内蔵。本体にはモニタースピーカー(×2)を搭載しており、オーディオ機器との接続なしで音を鳴らすことができます。同時発音数は8音。
 
 
 機能としては、本格自動伴奏が楽しめる「オート・ベース・コード」、2音色を重ねて発音できる「サウンド・ミックス」などが装備されています。あとキー・スプリットやトランスポーズもできますね。
 
 
 まあDS-202本体のみだと、お手頃なホーム・キーボードのカテゴリーの一機種といったところでしょうか。とはいえスプリットした左右の音色を個別にオクターブアップ/ダウンができるなど、ライブだとしても使い勝手のよい仕様になっていると思います。同時代のカシオトーンよりかは若干高級かな?という印象ですね(個人的見解)。
 

SEIKO DS-202/DS-310/DS-320(advertisement)
DS-202/DS-310/DS-320/(株)服部セイコー 雑誌広告より画像引用
 
 
 

DS-310

 DS-202の左上に取り付ける8音ポリフォニック・シンセサイザー・ユニット。当時の定価は60,000円でした。なおキーボード(DS-202)との接続は専用のフラットケーブルで行います(MIDIケーブルではない。これはDS-320でも同様)。
 
 
 これはいわゆる倍音加算方式のデジタル・シンセサイザー・ユニット。意外と知られていませんが、当時このクラスで倍音加算のシンセというのはちょっと見当たりませんでした。「世界初の低価格正弦波合成シンセサイザー」と言えるかもしれません。
 
 
 細かな説明は省略しますが、本機は正弦波(サイン波)において基音~16音まで任意のレベルで加算して音を作っていくというタイプのシンセなのです。80年代のKAWAI製シンセサイザーなどでよく見られた音源方式ですね(多少違いはあるが)。
 
 
 特筆すべきは、分かりやすく大きなLCDディスプレイが搭載されていること。全16のハーモニック・ナンバー(基音~16倍音)とその量(レベル)がマトリクス表示によりひと目で確認することができます。特定の倍音成分だけを正確に指定しそれを加算できるということで、これは当時のFMシンセともアナログシンセとも異なるものでした。
 
 
 

DS-310で音作り

 一つの音をアタック、サスティン、リリースの3部分に分割して、そのそれぞれに対応した倍音構成(本機ではスペクトラムと呼ぶ)を決定したのち、エンベロープ・ジェネレーターで設定した時間に沿って順に発音させていきます。なおプリセットされているエンベロープ・パターンは全4種類となっています。
 
 
こうして作った音色は4種までメモリー可能。

 

 

 

DS-320

 4音(モノフォニック)とコードを記憶・自動演奏ができるデジタル・シーケンサー・ユニット。DS-202の右上に取り付けます。発売当時の定価は65,000円でした。
 
 
 入力方法にはマニュアルとリアルタイムの2種類があり、大きな液晶画面で内容を確認することができます。ただしゲートタイムが指定できない、16分音符以下は入力できない(※マニュアル・インプット時)などいくつかの制約もあります。
 
 
 こちらのユニットにはRAMカートリッジ・スロットが設けられており、RAMカセットにデータをメモリーすることが可能でした。データのセーブ&ロードもテープメディアに比べれば安定していたし、RAMカートリッジさえ買い足せば無限に曲をストックできるというメリットがありました。
 
 
 

補足・DS-101というキーボードについて

 DS-101は、DS-202のコストを下げたいわばベーシック・モデルの61鍵キーボード。価格も98,000円と10万を切るお手頃定価を実現しました。なお上記のオプションユニットでは、DS-310が接続可能でした(DS-320は接続不可)。
 

SEIKO DS-202/DS-310/DS-320(advertisement)
DS-202/DS-310/DS-320/(株)服部セイコー 雑誌広告より画像引用
 
 
 

そしてつぶやき

 本機(本ユニット)のコンセプトを言い表すとすると、「合体」のひとことに尽きるでしょう(笑)
 
 
 時代背景として、80年代前半は合体ロボットアニメが数多く放送され、当時のキッズたちは夢中になっていたのです。『百獣王ゴライオン』、『六神合体ゴッドマーズ』などなど。。それらアニメの影響も少なからずあったのではなんて考察しちゃいますね。どうでもいいですが、当時ガンプラと間違えてゴッドマーズのプラモを買ってしまった苦い思い出が蘇りました。。
 
 
 そしてあの時計メーカーのSEIKOが、かつてこのようなシンセサイザー・システムを発売していたというのも興味深いですね。マニアックなシンセ談義とかの場で本機を引き合いに出してもらえれば多少盛り上がるかもしれません(笑)
 
 

仕様
DS-202
■鍵盤:61鍵
■内蔵音色:10音色(デジタル音源)
■同時発音数:8(2ティンバー)

■構成:1OSC、1フィルター(ローパス)、1LFO(サイン波)、2エンベロープ(ADSR方式)
■外形寸法:967(W)×100(H)×316.5(D)mm
■重量:7.5kg
■発売当時の価格:128,000円
■発売開始年:1983年末頃

DS-310
■メモリー:4音色
■483.3(W)×82.5(H)×136.8(D)mm
■重量:1.5kg
■発売当時の価格:60,000円

DS-320
■トラック数:4(モノフォニック入力)+コード進行
■483.3(W)×82.5(H)×136.8(D)mm
■重量:1.5kg
■発売当時の価格:65,000円

 

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