サイレント(消音)ピアノと騒音問題を考える ~回顧録付き
2018/11/28
僕は生ピアノを個人的に過去3台購入していて、2001年頃、2番目に買ったのがアップライト型のサイレントピアノでした。購入価格は確か50万円(新品)くらい。残念ながら型名は覚えていません。メーカーはYAMAHAでした。
購入の経緯は、仕事も落ち着き経済的にも余裕が出てきてちゃんとしたピアノがまた欲しくなっちゃったから、という次第です。1台目は部屋の引っ越しを余儀なくされて泣く泣く手放したということもあり、やっぱり自室にピアノを置きたいという男のロマン?がうずいてきちゃったのだと思います(汗)
さてその頃住んでたアパートは木造建てでもって、隣りの部屋の生活音とかも結構聴こえてくる状況でした。こちらの音もおそらく筒抜けなのだろーなと。ならばサイレントピアノを買って、休日限定で生で鳴らすようにしようと思い購入した次第です。
当時88鍵のいわゆる電子ピアノも所有していたのですが、やはり “本物”の弾き心地の良さはもちろん、練習に向かう際のモチベーションとかにも関わってくるので魅力を感じていたのですね。
以下、サイレント(消音)ピアノについて改めて説明してみましょう。
サイレント(消音)ピアノについて
通常のハンマーアクション機構を搭載した生ピアノに、電子ピアノ音源を搭載したハイブリッド・ピアノ。サイレントモードは、通常ソフトペダルとして機能している足元の左側のペダルを「横にずらしてロック」させることで切り替えることができました(→僕が買ったモデルの場合)。サイレントモードになると、音色は電子ピアノの音源に切り替わります。
機構としては、ハンマーと弦の間にハンマーシャンク・ストッパーがセットされ、打弦直前にハンマーの動きを止めて弦を叩かないようにします。このストッパーにより、ハンマーが弦に到達する直前にシャンクが強制的に止めるということであり、これによりハンマーが弦に接触しない、つまり音が鳴らないという仕組みになっています。
このようにサイレント(消音)ピアノにおける「サイレントモード」時では電子音を大々的に鳴らす必要は全くないので、本体にスピーカーはふつう搭載されていません。よってサイレントモードだとヘッドフォンで聴くことになります。
サイレントピアノの消音度合い
サイレントモードにすることによりピアノ音色の鳴りは実質的に抑えられますが、演奏時の「打鍵音」は一般的な電子ピアノのそれに比べて遥かに大きいと言っていいでしょう。前述したようにハンマーシャンクがストッパーを叩く音が決して無視できないほど存在しており、打鍵時の稼働音ももちろんあります。加えてピアノは、基本的に中空の木製箱みたいなものなので、このような打鍵時の物理音は共鳴してゴトゴトと大きな音になりがちなのです。
このような打鍵音は、同室に居る人にとっても気になる人は気になる “騒音”と感じるケースも多く、木造建築物の場合だと階下まで響くこともあります。ごく一般的な電子ピアノでは、モデルにもよりますがここまで大きな打鍵音にはなることはないでしょう。
なので、特に集合住宅の契約時に『サイレントピアノだから問題ないよね』と自己判断するのはちょっと要注意。マンション(分譲含む)によってはピアノ音に関する過去トラブルが発生したりしていて、サイレントだろうがNGのところは少なくないです。電子ピアノですら問答無用でNGのところもあるくらい。なので契約時に必ず確認することをお勧めします。あとから消音ユニットを追加したケースでも同様ですよ~
関連記事:「ピアノの音は「騒音」なのか? ~賃貸契約と騒音トラブルを考える」
個人的回顧
僕は買ってから改めて気付かされたのですが、アップライトピアノでも生音は非常に大きな音が出るのですね! やっぱりショールームみたいな広い部屋で弾く(聴く)のと、1Kの6畳間で聴くのとじゃ随分違います。。
自分の中のルールとして休日限定と決めていたものの、結局はビビって休日だろうが99%ヘッドフォンで弾くことになりました。もちろんタッチはよかったけど、最終的には高級な電子ピアノ状態と化してしまって非常にもったいない使い方でしたね。。ストッパーによりハンマーシャンクに少なからず物理的ダメージを与えているというのも、想像しただけで何だか申し訳ない気持ちも抱いてたりしました(笑)
1回調律した覚えがあるのでおそらく2~3年は使ったのでしょう(記憶があいまい)。所有末期の頃は、個人的に他県に引っ越す構想が具体的になってきた時期で、その前に手放しておこうという考えに至り、買った店に売ることになりました。
そんなわけで男のロマンはまたもや終了。高い買い物だったのだからもっと慎重にリサーチするべきだったなー。でもきれいに使ったし、次のオーナーさんもきっと気持ちよく使ってくれているものと勝手に思っております。