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Oberheim 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.435】Oberheim MC1000 ~オーバーハイム印のMIDIキーボード・コントローラー[2003年]

2019/07/13

 

 

 さて今回もマニアックなキーボードを取り上げますよー。日本では2003年末頃に発売されたOberheim(オーバーハイム)の「MC1000」という機種です。発売当初の国内価格はきっかり200,000円(税抜)でした。

 

Oberheim MC1000

 

 これはいわゆる “マスターキーボード”というカテゴリの製品ですね。しかも音源を内蔵していない生粋のMIDIキーボード・コントローラーといったところ。なおMC1000には76鍵モデルと88鍵モデルがあったのですが、私の記憶が確かならば、当時の定価は76鍵も88鍵と同じだったと思います。
 
 
 

とりあえず外観

 ボディカラーはマスターキーボードとしては珍しい青色。これは2000年に発売されたバーチャル・アナログ・シンセサイザー「OB-12」のルックスを引き継いだようなデザインとなっています。
 
 
 MC1000のラインナップは76鍵と88鍵の2つがあり、操作系のデザインは両モデルとも共通しています。というかスペック表を見る限り奥行き・高さは全く同じですね。。パネルは割とシンプルな印象を持ちます。
 
 
 

鍵盤部について

 88鍵モデルはピアノ・タッチ、76鍵仕様はセミウェイテッド・タッチとなっています。本体重量も88鍵では20kg、76鍵では14kgと割と差が出ていますね。ちなみに88鍵で20kgというのは、この頃の鍵盤としては比較的軽量と言えるでしょう(まあ音源なしだし)。
 
 
 なお上記のような物理タッチとは別に、鍵盤からMIDI出力されるベロシティ・カーブは8種類の中から選択可能。ベロシティ固定のものも用意されており、オルガン演奏でもそれらしく鳴らすことができます。
 
 
 あとマスターキーボードらしくアフタータッチも装備(※本機ではチャンネル・アフタータッチ)。アフタータッチの効き具合も8種類のカーブから選べますね。
 
 
 関連記事:「シンセサイザーの「アフタータッチ」機能について ~現行シンセの対応表も記してみた
 

イタリアの鍵盤専門店で撮影したMC1000(76鍵モデル)
 
 
 

コントローラーや操作系

 ベンドホイール/モジュレーションホイールの他、2本のアサイナブル(→任意に割り当て可能な)スライダーを装備。
 
 
 本機には2つの “ゾーン”(鍵盤域、音域)があり、MIDIチャンネルやプログラム・チェンジ情報、バンク・セレクト情報などが設定できるようになっています。また前述したベロシティやアフタータッチ感度も、ゾーンごとに個別に決めることができます。
 
 
 うーん、、ゾーンが2系統・MIDI OUT端子も2個のみということで、これはマスターキーボードとしては非常にシンプルな構成といっていいでしょう。まあ左右のスプリット/レイヤーはできるので、最低限の使用には耐えうると思います。表示ディスプレイも3桁LEDのみというシンプルさですね。
 
 
 

エディット操作について

 パネル右上部には縦5×横7の「マトリックス・セレクション」ボタンが配されており、それらボタンの組み合わせにより、深い階層に入らなくても直感的に各種パラメーターをいじれるというつくりになっています。シンプルな本機の構成を生かした設計という印象ですね。
 
 
 エディット操作は、パネル上に印刷されているパラメーターを選び、回しやすい大きなデータエントリー・ダイヤル(もしくはINC/DECボタン)で価を変更するという感じ。分かりやすいと思います。
 
 
 なおユーザーが任意に作成したエディット内容は、最大128プログラムまで本体内に保存が可能です。

 

 

 

おまけ・MC2000/MC3000について

 MC2000およびMC3000は、おそらくMC1000の上位機種(もしくは後継機種)。ボディカラーはかつての同社のアナログシンセによく採用されていたホワイトを基調としたものとなっています。コントロールスライダーの数は増えているようですが、全体的なデザインはMC1000から大幅に変更されていないようです。
 
 
 これらMC2000/3000は、日本での販売は多分されていなかったと思われます(ちなみにMC1000は株式会社ハイ・リゾリューションが取り扱っていた)。当時の詳しい資料がなく、あいまいな表現になってしまいすみません。。
 
 
 

個人的つぶやき

 Oberheim Electronics社の製品といえば、70~80年代の名アナログ・シンセサイザー群が非常に印象深い感じですね。本ブログでもいくつか取り上げさせて頂いてます。まさにその頃の時代が同社の黄金期と言っていいのかもしれませんし、個人的にも好きでした。
 
 
 そして今回のMC1000は、そういったオーバーハイム “らしさ”とはちょっとかけ離れたMIDIコントローラー・キーボードということで、かなり異質な一台といったところ。
 
 
 もっとも2000年に入った頃の “オーバーハイム”は、イタリアのオルガンメーカー・Viscount(バイカウント)社のブランドとなってるんですよね。まあ異質なのも納得といった感じではあります。現在はどこの会社が商標を持っているかも定かではありませんが、せめてブランド名だけでも存続して欲しいと思ったりはします。
 
 
 関連記事:「Viscount D9E ~オルガンD9の音源モジュール版[1993年頃]
 
 
 余談ですが、オーバーハイム・サウンドを現代へ継承したシンセサイザーの一つである「DAVE SMITH INSTRUMENTS OB-6」はまだ現行製品ぽいですね!
 

仕様
■鍵盤数:88(88鍵モデル)、76(76鍵モデル)
■コントロール・スライダー:2基
■プログラム:128ユーザー
■接続端子:MIDI IN/OUT×2/THRU、ペダル×2、ヘッドフォン、アウトプット(L/MONO, R)
■外形寸法
 88鍵モデル:1285(W)×120(H)×335(D)mm
 76鍵モデル:1120(W)×120(H)×335(D)mm
■重量:88鍵モデル=20.0kg  76鍵モデル=14.0kg
■発売当時の価格:200,000円(税抜)
■発売開始年:2003年

 

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