シンセのキーボード・スプリットをあれこれ考えてみた
2019/07/13
今どきのデジタル・シンセサイザーにはメーカー問わず「キーボード・スプリット機能」というのが搭載されていて、個人的にはそりゃもう便利に使ってきました。本ブログでもくどいほど取り上げてますね。
例えばですよ、右手(中音域~高音域)でピアノ音色、左手(低音域~中音域)でベース音色なんて使い方は定番といえるでしょう。鍵域によって音色を分割(スプリット)して割り当てられる機能のことです。
これってシンセ入門者の方は意外と知らなくて、実にもったいないと思ったりします。設定方法は機種によってさまざまなので細かな手順はお伝えできかねますが、ライブ演奏時での使い勝手が各段によくなるので、取説片手に設定してみてください!
61鍵キーボードで考える
さて鍵盤付きデジタルシンセの “標準規格”といってもいいほどよく出回っているのが61鍵(5オクターブ)ですね。上記例のベース+ピアノだとこんな感じでしょうか。
一見 “ピアノ音域が狭くて弾ける曲が限られそう”という印象を持ちますが、右手は主にメロディを奏でることになるので意外と余裕です。じゃーこんなのはどうでしょう?↓
いってみれば中級編
左手がストリングス専用、右手(メロディ)はアコースティック・ピアノとエレクトリック・ピアノを弾き分けるセッティング。アコピとエレピを同一の音域で奏でたい場合は、鍵域ごとのオクターブ・シフト機能を使って合わせるようにするとよいでしょう。
こちらも同じような要領で3分割。必要に応じて鍵域(音色)ごとのオクターブを調整します。
意外と上級編
単純な2分割かと思いきや、ピアノとオルガンは奏法が全く異なると言っていいので、使いこなすのが非常に難しいのがこのセッティング例。
キーボード音色界の2大巨頭?と言うべき “ピアノ&オルガン”を1台のシンセで完結させるという夢のセッティングですが、それぞれの奏法を左右独立して弾き分けなければならないので非常に難しいです。
あえてこれを行う時はダンパーペダルはあきらめて、ピアノ音色側には深めのルーム・リバーブあたりをかけるといいかも。まあシンセ側で音色ごとのダンパーON/OFFが設定できるものもあるんですけどね。
魑魅魍魎編?
これは詰め込みすぎて訳わからなくなっている修羅の一例。実際僕は、この手の「61鍵で音色7分割」とか何度かプログラムしたことがあります。
これくらいギチギチに詰め込むと、各音色が奏でる音階も通常設定では対応できないことも多々ありますね。。だから、各音色ごとにオクターブ・シフトに加えてトランスポーズ(音階変更)まで施したりします。無理やり感が半端なくて、音楽的な “演奏”からどんどん遠ざかっていく気がしてきます。。
まあ音切れさえ目をつぶればこんなことをしなくても、ブログラムチェンジで乗り切るって手もあるんですけどね。。
あとがき
いかがだったでしょうか。ライブ会場(あるいはステージ上)への持ち込み機材を極力減らしたい(軽くしたい)場合、限られた鍵盤域でどうやって鳴らしたい音色を配置するか?というのは非常に悩ましいところであり、楽しいところでもあります(笑)
『そんなの2台セッティングすれば即解決じゃん』
『76鍵(88鍵)シンセだったらもっとよゆーじゃん』
というご意見の方、ごもっとだと思います。でもシンセの重さ問題とか運搬の困難さとかで、61鍵×1台のみで15曲くらい何とかしないといけない現場も往々にしてあるんですよ(たぶん)。
そんな時、この駄記事を思い出していただき、ちょっとでもお役に立てて頂ければこれ幸いです。こんなの絶対プロは教えてくれないっすからね(笑)