【Vol.318】ZOOM STUDIO 1202/1204 ~気軽に使えるお手頃1U空間系エフェクター
2018/11/28
今回ご紹介する機材は、ZOOM(ズーム)のデジタル・リバーブ「STUDIO 1202」および「STUDIO 1204」です。「1202」は1994年発売で定価23,500円、「1204」は1202の後継機であり1996年に発売、価格は24,800円でした。どちらもコンパクトな1Uサイズであり、個人使いでも気軽に導入できる低価格を実現しセールス的にもヒットしました。
どちらも内容としてはいわゆる空間系エフェクターに属しますね。デジタル楽器はもちろんのこと、ボーカル、ギターなど様々なソースに対応。手軽にリバーブおよびモジュレーション(コーラス、フランジャー等)を付加することができるお手頃モデルということで、90年代のスタジオなど様々な現場でよく目にしました。
ZOOM STUDIO 1202
44.1kHzサンプリング、完全独立ステレオ処理を採用し、低価格でありながらハイスペックを実現したリバーブ&モジュレーション系エフェクト・プロセッサー。
「リバーブ」「ディレイ」「コーラス」「フランジャー」「ピッチシフター」の5系統および、ZNR(ズーム・ノイズ・リダクション)を搭載しています。特に本機の顔とも言える「リバーブ」は、Hall、Room、Plateなどの定番どころから、80年代風のスネアドラム音(笑)が再現できるゲートリバーブ系まで、全16種を搭載しています。
基本操作
本機にLCD(LED)表示画面は搭載しておらず、基本的にパネルに配されているそれぞれの専用ツマミで操作することになります。例えばエフェクトの種類を選ぶ際は、エフェクト・セレクターで必要な種類を選択し、パターン・セレクターでそのバリエーションを選ぶといった感じ。
ちょっと補足すると、エフェクト・セレクターでは全16種を切り替えが可能で、隣にあるBANK(A/B)切替スイッチにより×2、さらにパターン・セレクターにて×16ということで、合計512種(16エフェクト×2バンク×16パターン)が選択可能です。
さらに2つのエディット・コントロール・ノブ(EDIT 1/2)により、現在選ばれているエフェクトの特定のパラメーターを調節するといった流れですね。2つのイコライザー・ノブ(HIGH/LOW)もあり簡単なEQ操作も可能です。全体的には操作の流れは理解しやすく、ディスプレイ画面がなくても意外と大丈夫といった印象です。
STUDIO 1202/(株)ズーム 雑誌広告より画像引用
外観
目を引くのが本体筐体の小ささ。正面から見ると普通の1Uですが、上(あるいは後ろ)から見ると横幅の2/3程度しかないことを確認できます。これほどのコンパクトさだったらラックマウント使いじゃなくてもいいかもと思うわけで、マウント用の耳は着脱可能にしておいてくれると親切だったかも。。
また電源はACアダプターであり、ラック内でゴロゴロしたりしてちょい不便。筐体をもう少し大きくして電源ユニットは内蔵しておいて欲しかったところではありますが、コスト的に致し方無かったのでしょう。
ZOOM STUDIO 1204
1202の後継機。1202の基本仕様はそのままにいくつかのバージョンアップが見られます。パネルカラーはゴールドに変更されちょっとゴージャスに。またLED(7セグメント×2桁)も設置され操作性もアップしていますね。以下は1202から追加された主な機能。
メモリー領域を搭載
ユーザー・プログラマブルのメモリー・エリアが100内蔵されています。プリセットプログラム数は前機種同様512なのですが、これに自由に設定を記憶できる領域が100追加された格好になります(512+100=全612)
MIDI機能搭載
エフェクトの設定をMIDIのコントロールチェンジ命令を使ってコントロールすることができるようになりました。
エフェクトに「ボコーダー」「ロータリー」などを追加
新たに設置されたSFX(Special Effects)カテゴリーが以下になります。
VOCODER:10バンドのボコーダー。L側に入力された音声信号を10個の周波数帯に分け、その信号をMIC IN(またはR側)から入力された音声の周波数成分で加工するエフェクト。ボコーダー・タイプは4つの中から選択可能。
ROTARY:ロータリースピーカーをシミュレートしたエフェクト。タイプは4つの中から選択可能。
Vocal Distortion:ピンポンディレイ(11~370ms)とコーラスの付いたボーカル用ディストーション。こちらも全4タイプ。
STUDIO 1204/(株)ズーム 雑誌広告より画像引用
つぶやき的な
90年代半ばにおける非常にコスパの高いデジリバといったところです。数が出回ったせいか現在でもよく店頭で投げ売りされている光景を目にしますね。完動品で1,000円以下だったらとりあえず買っておきましょう(笑)
本機で積極的な音作りを行うというよりは、手軽に音場を整える一台としても今でも使いどころがあるんじゃないかなーと思います。鍵盤奏者にとっては、特にデジタル・エフェクターを内蔵していない(あるいは複雑すぎて使いにくい)シンセサイザーなどにつなげると、簡単にリバーブを加えられるということで重宝すると思いますよ。
仕様
1202
■サンプリング周波数:44.1kHz/64倍オーバー・ダビング
■プリセット・プログラム:512(16エフェクト×2バンク×16パターン)
■外形寸法:482(W)×44(H)×115(D)mm
■重量:1.4kg
■発売当時の価格:23,500円(税抜)
■発売開始年:1994年
1204
■サンプリング周波数:44.1kHz/18bitリニア/128倍オーバー・ダビング
■プリセット・プログラム:512(16エフェクト×2バンク×16パターン)
■プログラムメモリー:100(書き換え/保存可能)
■MIDI端子:MIDI IN
■外形寸法:482(W)×44(H)×115(D)mm
■重量:1.5kg
■発売当時の価格:24,800円(税抜)
■発売開始年:1996年