【Vol.259】ACCESS Matrix Programmer/MicroWave Programmer ~ACCESS初の製品[1996年頃]
2018/11/26
今回はACCESSの「Matrix Programmer」および「MicroWave Programmer」というコントローラーを紹介してみたいと思います。前者がOberheimのシンセサイザー・Matrix-1000/Matrix-6/6Rを、後者がWALDORFのシンセサイザー・MicroWaveを専用にコントロールすることができるプログラマーとして発売されました。日本での発売は概ね1996年頃。
上記のシンセサイザーは以前本ブログでも取り上げていて、「音は良いのだけどラック型だし音色のエディットが大変」という印象を持っている人も多かったと思います。今回取り上げる2台の専用プログラマーは、上記シンセの音色エディットを直感的に行えるユーザー・インターフェイスを備えたマシン、といった趣きですね。情報はMIDIシステム・エクスクルーシブ・メッセージによってやり取りされます。
関連記事:
「Oberheim Matrix-1000 ~エムセン回顧録[1988年]」
「Oberheim Matrix-6/Matrix-6R ~強力多彩な「マトリックス・モジュレーション…」
「WALDORF MicroWave ~WALDORF初のシンセサイザー・90年代の“PPG”」
Matrix Programmer
24個のロータリー・ノブと9個のスイッチ(LEDインジケーター付き)を備えた、Oberheim Matrix-1000/Matrix-6/6R専用のプログラマー・ユニット。リアパネルにはMIDI INおよびMIDI OUT端子が装備されており、MIDIケーブルを介して本機とシンセ、およびマスター・キーボードとを接続します。
Matrix-1000(以下エムセン)の記事でも書きましたが、エムセン本体のみでは音色エディットは一切できません。気に入ったプリセット音色があったとして、エンベロープの立ち上がりとかフィルターのニュアンスとかがマッチしないと感じつつも、妥協して使っていたというケースもあったかと思います(なおMatrix-6/6Rでは本体内でもエディット可能)。
とはいえ、Matrix-1000/Matrix-6/6Rの全てのパラメーターを本機のみでコントロールするのは不可能ですね。フィルターの開け閉めやLFOのレイト/デプス等はリアルタイム変更できても、ポルタメント・タイムの変更はできないとかがあるのでちょっと要注意です。
あと本機のデザインですが、Oberheimの「OB-Xa」(あるいはOB-8)っぽい雰囲気になってますねぇ。いやむしろ鍵盤がない分、ドラムマシンの「DMX」に近いか。。まあどうでもよろし(笑)
関連記事:「Oberheim OB-Xa ~ヴァン・ヘイレンの『ジャンプ(Jump)』のシンセ音はこれ[1981年]」
仕様(Matrix Programmer)
■コントロール:24ロータリーノブ、9ボタン
■MIDI端子:MIDI IN/OUT
■外形寸法:355(W)×66(H)×185(D)mm
■重量:1.5kg
■発売当時の価格:68,000円
■日本での発売開始年:1996年頃
MicroWave Programmer
26個のロータリー・ノブと9個のスイッチ(LEDインジケーター付き)を備えた、WALDOEF MicroWave専用のプログラマー・ユニット。価格は74,000円と、Matrix Programmerよりも6,000円ほどお高くなっていますね。
筐体サイズにおいては上記のMatrix Programmerと全く同じであり、側面がウッドパネルなのも同様。デザインは黒中心のカラーリングになっているので両機を見間違うことはないと思います。
パネル上の構成は大まかに「モジュレーション」「オシレーター」「フィルター/エンベロープ」の3ブロックに分かれていますが、実はこのブロック構成もMatrix Programmerと近い感じですね。
仕様(MicroWave Programmer)
■コントロール:26ロータリーノブ、9ボタン
■MIDI端子:MIDI IN/OUT
■外形寸法:355(W)×66(H)×185(D)mm
■発売当時の価格:74,000円
個人的つぶやき
往年の名機(→ラック型のアナログシンセ)の専用プログラマーが発売されるというのは実はそれほど珍しくないのですが、今回紹介した2台はACCESS社が会社設立後、最初に手掛けた製品というのがポイントです。同社初のオリジナルシンセである「VIRUS A」よりも2~3年前に開発されました。
ACCESS社といえば、バーチャル・アナログシンセサイザー・ブームの先駆とも言える「Virus」シリーズを長年送り出しているドイツのメーカーですね。太く存在感のある音は多くのクリエイター/シンセシストに好まれ、現在でもVIRUSシリーズはプロ向け本格シンセサイザーとして存在感を放っています。この本ブログでも何度か取り上げさせて頂きました。
関連記事:
「ACCESS Virus A ~バーチャル・アナログ・シンセサイザー「VIRUSシリーズ」…」
「ACCESS Virus b ~ヴァイラス、セカンドジェネレーション![2000年頃]」
「ACCESS Virus Indigo ~37鍵仕様のVirus bファミリー[2000年頃]」
今回の記事の主役である「Matrix Programmer」および「MicroWave Programmer」(の中古)を、今から入手して使いこなしていく予定の人がどれだけ居るかは謎ですが、“ACCESS初のプロダクト”ということで、何かの話のネタのきっかけとなってくれればこれ幸いです。