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1990年代 KORG 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.238】KORG i1 ~本格ピアノ・プレイが楽しめた、iシリーズのフラッグシップ・モデル[1995年]

2018/11/26

 

 

 今回は、コルグのインタラクティブ・ミュージック・ワークステーション「i1」というキーボードを紹介してみたいと思います。以前本ブログでも紹介した「i2」「i3」の約2年後である1995年に、同社iシリーズの最高峰モデルとして満を持して登場しました。なお当時の定価は450,000円(本体のみ)。
 
 
 i1は、その機能の充実ぶりと併せて、おしゃれな外観(デザイン)でも少なからず話題になりましたね。実際、1995年のグッドデザイン賞(商品デザイン部門)も受賞しています。

 

KORG i1

 

 なお仕様(内容)についてはi2/i3と共通する部分も多々あります。本記事では、iシリーズ共通の “インタラクティブ機能”やシーケンサー部などはやや割愛気味に話を進めさせて頂きますので、必要に応じてi2/i3の記事を参照頂ければ幸いです。
 
 
 関連記事:「KORG i2/i3 ~“インタラクティブ”な自動伴奏機能付きキーボード
 
 
 

まずは外観

 i1を語る上で外せないのが専用スタンド・ST-i1(定価50,000円)の存在だと思います。型名を見て察するようにi1向けとして特別に作られたスタンドですね。i1本体に合わせた、美しい木目とブラックのツートーン・カラーといったデザインとなっています。この「i1」+「ST-i1」の調和性の高さは、購買層に向けて洗練されたイメージをアピールするのには十分だったと言えるでしょう。いわゆるアコースティック・ピアノを模したと思われる3本のペダル機構もスタンドに装備されています。

 ちなみにi1用のスタンドとしては他にも「ST-T1」というものもありました。こちらは組み立て式であり、ややお手頃な感じのスタンドですね。
 
 
 

音源部について

 音源部は、古くは同社の01/W、そしてX3/X2、i2/i3に継承されたコルグ独自開発の「ai2シンセシス・システム」を搭載。これは早い話がPCM音源システムのことなのですが、本機i1では波形メモリーが14Mバイトと、i2/i3と比較して大幅な増強がなされています(→i3は6Mバイト、i2は8Mバイト)。
 
 
 

音色方面について

 音色プログラムは、210種(i1オリジナル音色64+ドラム17、GM音色128+ドラム1)をプリセットで内蔵。これに加えてRAM領域では64音色+ドラム2をメモリー可能となっています。
 
 
 本機の特筆すべき点は、贅沢にステレオ・サンプリングされたピアノ・サウンドと言えるでしょう。もちろんi1は、オルガン、ギター、ドラム、管楽器、弦楽器などなど一通りの音色は備えていますが、ピアノ波形は新たにサンプリングされたものが追加されており、ピアノに割り当てられているメモリー容量の比率もやや高いような印象です。
 
 
 

鍵盤タッチ方面について

 キー・ウェイトを備えた88鍵の本格ピアノ鍵盤を搭載。このキー・ウェイトはタッチが(内部的に)変更できるようになっており、やや重めのタッチからシンセ/オルガン風のライトタッチまで、幅広い鍵盤タッチを無段階で選択することが可能です。
 
 
 

オプションソフト・「IFDシリーズ」を全て内蔵

 IFDシリーズというのは、iシリーズに追加で供給するオプションの「スタイルデータ・ディスク」のことです。IFD-01~10までは確か一本3,000円(もしくは5,000円)の定価でリリースされたのですが、i1にはこの「IFD-01~10」の全スタイルデータ・31種を本体に追加搭載しています。
 
 
 また、ユーザーがオリジナルのスタイルを自由に作成できる「ユーザー・スタイル・エリア」にも12種がメモリー可能となっています。

 

 

 

その他

 またi1はステレオ・スピーカーも内蔵しており、弾いた音をその場で確認することができるのも便利な点です。ちなみにリアパネルにはINPUT端子も装備されており、外部音声などを突っ込んで本機のスピーカーで鳴らすこともできたりします。
 
 
 GM対応プログラム(バンク)搭載、3.5インチFDD装備、SMF(スタンダードMIDIファイル)対応データも再生可能ということで、この辺りはi2/i3(ひいてはX2/X3)を踏襲している感じです。市販のSMFデータ集を読み込んで、バッキング用のシーケンスとして保存しておいたりとか色々便利に使えそうですね。
 

KORG i1(advertisement)
i1/(株)コルグ 雑誌広告より画像引用
 
 
 

まとめ的な

 大容量ステレオ・サンプリングによる贅沢なピアノ音色と、それを表現するためのキー・ウェイト・コントロール付き88鍵盤を備えた、本格的ピアノ演奏も楽しめるiシリーズのフラッグシップ・モデルといったところでしょう。
 
 
 もちろんiシリーズならではの独自のバッキング・シーケンスも搭載しており、i1では特に「スタイル」と呼ばれる演奏素材が豊富に内蔵されていたことも特徴的です。これらを使って自動伴奏をより気軽に楽しめるようになっており、音楽制作のインスピレーションとしたクリエイターもいたのではないでしょうか。
 
 
 

かんそう的な

 個人的には「元祖・機能てんこ盛りな一台」という印象ですね。。シーケンサーによる曲作りや自動伴奏(アレンジ)はもちろん、音作りも一通りできてエフェクターもいっぱい内蔵してて… ということで、本機の機能を100%近く使いこなしていた人は果たしてどれだけいたのだろうかと思ったりします。本機はなまじピアノとしての出来がよかったので、前述した多くの機能は一般人にとってはかえって霞んでしまうこともあったのかも。。
 
 
 結局のところ、「練習用電子ピアノとしての使用がメイン、気が向いたらたまに自動演奏、そして大半はインテリアとしての存在」という人も少なからずいたのではないかと推測したりします。。
 
 

仕様
■鍵盤:88鍵(イニシャルタッチ、アフタータッチ、キーウェイト・コントロール付き)
■音源方式:aiスクエア・シンセシス・システム
■最大同時発音数:32音
■音源部:(シングル・モード時)32ボイス、32オシレータ
     (ダブル・モード時) 16ボイス、32オシレータ
■波形メモリー:PCM 14Mバイト
■プログラム数:
 ROM128プログラム+1ドラム・プログラム(forGM)、64プログラム+17ドラム・プログラム
 RAM64プログラム+2ドラム・プログラム
■内蔵エフェクト:47種類(完全独立2系統デジタル・マルチ・エフェクター)
■シーケンサー部:10ソング、100パターン、16トラック、40,000ノート
■外形寸法:1283(W)×122(H)×348(D)mm
■重量:43.5kg
■発売当時の価格:450,000円(税別)
■発売開始年:1995年

 

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