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1990年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.228】Roland FP-1 ~1994年発売の “2代目”FPデジタル・ピアノ

2018/11/26

 

 

 今回ご紹介するキーボードは、ローランドが1994年末頃に発売したデジタル・ピアノ「FP-1」です。本体価格は190,000円でした。以前本ブログでも紹介した「Roland FP-8」に続く同社FPシリーズの2代目ですね。同シリーズは脚部(スタンド)をオプションにすることで本体価格を抑え、機能面・デザイン面ともにシンプルな感じでまとめたデジタル・ピアノ・シリーズです。本機はFP-8から約3年後にリリースされました。
 
 
 関連記事:「Roland FP-8 ~ローランド・デジタルピアノ「FP」の元祖[1991年]
 
 
 ちなみに上記FP-8の記事では、これまでリリースされたFPシリーズの系譜みたいなものも簡単に記してあります。興味のある方は読んでみてくだされ。
 
 
 

FP-1概要

Roland FP-1

 

 ハンマー・アクション機構を搭載した、シンプル設計の88鍵仕様デジタル・ピアノ。同時発音数は28音。専用スタンド(FPS-1・定価23,000円)を取り付ければ、スタンドに内蔵されたスピーカーから音を出すこともできます(→逆に言えば本体にスピーカーは搭載されていない)。重量は本体のみだと22.2kgとなっていて、これは当時の「ハンマーアクション88鍵」からすれば比較的軽量な水準でした。
 
 
 加えてコーラス(→5段階の深さ調節可能)やリバーブ(→同じく5段階)も内蔵していたため、おそらくライブでの使用も想定された設計となっていると思われます。スリムな筐体はちょっとした持ち運びにも便利ですね。MIDI IN/OUT端子も付いてます。
 
 
 

内蔵音色について

 以下5つのボタンがパネル上に並んでいて、ボタンを押すことにより音色を選択します。各音色ごとの内容も簡単に記してみましょう。
 

ピアノ1 …やや明るい感じのグランドピアノ音色。ポップス/ロック向き
ピアノ2 …落ち着いた雰囲気のグランドピアノ音色。ややクラシック向き
エレクトリック・ピアノ …エレピ音色。いわゆるローランド・ローズっぽい音
ストリングス …弦楽器のアンサンブル的な音色
シンセ・ストリングス …アタックの緩やかなシンセ系音色

 
 またこれらの音色は、2つのボタンを同時押しすることで音色をミックスする「デュアル演奏」が可能になります。まあ「ピアノ+ストリングス」とかは定番ですね。これに加え、ピアノ1+ピアノ2を同時押しすることにより、調律がズレたようないわゆる「ホンキートンク」という第6の音色が選択できます
 
 
 

鍵盤タッチ

 バネを使わず鍵盤の自然なウェイトだけでキーを戻すハンマー・アクション鍵盤機構を搭載。また鍵盤タッチは、鍵盤を弾く強さと音量を「軽い」「標準」「重い」「最も重い」の4つの種類から選ぶことができます。物理的なタッチが変わるわけではなく、ベロシティカーブが変更できるといった感じですね。
 
 
 

操作系について

 トランスポーズ(移調)は半音単位で-6~+5の間で可能です。ちなみに本機にはLEDやLCDなどのディスプレイ表示は一切なく、トランスポーズやMIDIの各種操作(プログラム・チェンジの送信やオムニ・オン/オフなど)は、本体パネルにあるボタンおよび鍵盤を組み合わせて押すことにより行います。ここら辺は慣れないとちょっと難しいかもですね。。

 

 

 

オプションの専用スタンド(Roland FPS-1)について

 本体と同時発売されたFP-1専用のスタンド。当時の定価は23,000円でした。このスタンドにはスピーカーが搭載されているため、本体とつなげるだけで簡単に音を出すことができます。なおダンパーペダルやヘッドフォン端子は本体側に付属しているので、FP-1本体のみでも最低限の演奏は可能です。
 
 
 

入出力端子について

 上記のスタンド(FPS-1)専用の「SPEAKER OUT端子(L/R)」の他にも、ステレオ(L/R)アウトプット端子を装備しています。ちゃんとしたアンプ/スピーカー・システムがあればそちらで鳴らすことができたということですね。
 
 
 さらに本機にはステレオ(L/R)インプット端子も装備しています。これにより他の音源機器の音声信号をFP-1のアウトプット(ラインアウト、スピーカーアウト、ヘッドフォン)に乗せることができます(→外部と内部の音がミックスされる)。これはちょっとしたミキサー替わりになって便利ですね。お手本のCD演奏に合わせてピアノレッスンとかのケースで使えそうです。

 

Roland FP-1(advertisement)
FP-1/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

個人的かんそう

 冒頭でも言いましたが、本機は外(ステージ)での使用も若干視野に入れたホーム・ユース・デジピといったところでしょうか。ちょっとした自宅レッスン用途の一台としては十分だと思いますし、その気になればライブにだって使える選択肢を与えてくれたような気がします。
 
 
 MIDIは一応あるけど、ピッチベンドとかモジュレーション・ホイールとかは付いていないので、マスターキーボード的な部分ではあまり期待しない方がよいですね。。ステージでの「ピアノ音色専用鍵盤」と捉えればそこそこ重宝すると思います。
 
 
 ちなみにFP-8で見られた「3色カラーリング展開」はやめちゃったみたいですね。。メタリック・レッドとかステージで映えると思うんだけどなー
 
 
 
 関連記事(ローランドFPシリーズ):
 「Roland FP-8 ~ローランド・デジタルピアノ「FP」の元祖[1991年]
 「Roland FP-9 ~64ボイスに対応! 90年代末のFPデジタル・ピアノ [1998年]
 「Roland FP-3 ~ローランドのスタイリッシュ・本格デジピ[2001年]
 

仕様
■鍵盤:88鍵(ハンマーアクション機構)
■最大同時発音数:28
■内蔵音色:ピアノ1、ピアノ2、エレクトリック・ピアノ、ストリングス、シンセ・ストリングス、(ホンキートンク) ※およびそれら音色のデュアル発音
■エフェクト:コーラス、リバーブ(※各5段階調節可能)
■付属品:電源コード、ペダル(DP-6)、譜面立て等
■外形寸法:
 【本体】1336(W)×135(H)×350(D)mm
 【専用スタンド】1226(W)×629(H)×476(D)mm
■重量:22.2kg(本体)、12.1kg(専用スタンド)
■価格:190,000円(本体)、23,000円(専用スタンド)
■発売開始年:1994年

 

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