【Vol.111】YAMAHA SDX2000/SDX3000/SDX4000 ~学校教育用シンセサイザー
2019/07/07
今回のシンセサイザーは変わり種ですね。ヤマハが小中学校の教育用として発売した「SDX2000」「SDX3000」「SDX4000」です。順番に、同社の「EOS B200」「EOS B900」「MO6」がベースとなっています。それぞれの発売時期は大きく離れているのですが、型番およびコンセプトが似ているので3つまとめて紹介してみたいと思います。
なお、元となっている一般的な方のモデルの詳細はここでは省略させて頂きます。一応SDX2000(EOS B200)を主軸に話を進めてみましょう。
関連記事:「YAMAHA EOS B200 ~EOSにスピーカーが付いたよ![1988年]」
SDX2000(1989年発売)
EOS B200を学校教育向けに作り直したもの。とはいえ外観形状(および寸法)、パネルレイアウト、カラーリング、重量も全く同じです。異なるのは以下の2点。
・パネルの文字が日本語になっている
児童でも馴染みやすい日本語表記となっています。とはいえ「EXIT→エグジット」、「COMPARE→コンペアー」などカタカナ読みにしただけの部分もありますね。「シーケンサー」「ピッチベンド」「モジュレーション」などもカタカナ表記に落ち着いています。個人的にはここ冒険して欲しかったです、ヤマハさん!(笑)
パネルの文字が日本語表記してあるシンセって、実はありそうで無いんですねよー。日本産シンセなのに母国語をほぼ採用していないという現実。。ちょっと脱線しますが、文字デザインやカラーリングまで “和テイスト”な外観の純和風シンセがあったら面白いのにと思いました。筐体表面は漆塗り(っぽい)仕上げにして、蒔絵なども施して、表記はもちろん日本語。ADSRはそれぞれ「立上」「減衰」「持続」「解放」みたいな。。
・音色プリセットを(学校教育用に)変更
内蔵100音色のプリセット名(および並び順)が変更されています。ざっと見比べたところ、シンセベース系やシンセリード系の音色がほぼ外れてますね。その代わり和楽器が充実しています。
僕はてっきり「TK Synth」とか「TK Dance」みたいなイカした音色名が教育的にリファインされているのかと期待したのですが、そもそもB200のプリセット音色はどれも一般的な名前ばかりでした。。
SDX3000(1995年発売)
EOS B900の外観を持ち、ボディカラーも「シャンパン・ホワイト」を踏襲。内蔵音色数804の中から学校用としてすぐに使える246音色(プリセット128音色、ユーザー118音色)を選んだそうです。
なおこの “804音色”って、B900のそれではなくQS300の音色数ですよね? 音源部はQS300と同等なのでしょうか。。確認のしようがなく、正確なところは不明です、ごめんなさい。。
SDX4000(2007年発売)
YAMAHA MO6のプリセット音色のうち128音色を差し替えたもの。単体の型番は「MO6S」だったのですが単品販売はされず、外部スピーカー・専用スタンドとセットで販売されていました。
つぶやき的な
実際、EOSなどは全国の小中学校において、普通に音楽室に数台置かれていた時代もあったそうですね。これ僕の小中時代にはなかったですね(そりゃそうだ)。。今だったら授業でシンセに触れるなんて夢のような話です。。
特に、音楽教育について意識が高い学校などでは、このSDXシリーズが授業で「一人一台」割り当てられることもあったそうです。音楽室に20台以上ものEOS(じゃなくてSDX)が並んでいる光景は、さぞかし壮観だったことでしょう。。というか、予算を通す担当の先生、結構ご苦労されたのかもしれません(笑)
一般発売はされなかったので、もし市場に出てきたらどのような価格帯に落ち着くのでしょうか。。過去ヤフオク等でもやり取りがあったみたいなのですが、詳細は不明です。EOSマニアって結構いそうだし、結構な高値になったかもしれません。。
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