1970~80年代'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】
【Vol.95】YAMAHA SK-50D ~パラフォニック・キーボードの最終形態[1980年]
2018/11/25
今回ご紹介するシンセサイザーはちょっと古いですよー、ヤマハが1980年に発売した「SK-50D」です。以前本ブログでも紹介した「KORG TRIDENT」(同じく1980年)の対抗馬的な感じで発売された感じでしょうか。まあSK-50Dは2段鍵盤ですし、全然違うといえば違うのですが。。
70年代後半~80年頃の国産シンセはパラフォニックのキーボードがこぞって作られ、それの最終形態とも言えるようなものが本機種・SK-50Dです。
概要をざっくりと
61鍵、2段鍵盤を採用したシンフォニック・アンサンブル・シンセサイザーです。オルガン、ポリシンス、ソロシンセサイザーの3大機能にベース音源を加え、合計4セクションを中心に構成されたSKシリーズの最高級モデルといえるでしょう。ではブロックごとに見ていきます。
オルガン
正弦波合成方式であり、上鍵盤では「16'、8'、5 1/3'、4'、2 2/3'、2'、1 3/5'、1 1/3'、1'」のドローバー(スライダー)を備えています。また3種類のパーカッシブ・レバー(2nd、3rd、5th)を組み合わせることにより、さらに自由度の高いオルガン・トーンを作り出すことができます。
なおレスリースピーカーに接続するためのエクスターナル・キャビネット端子も装備しています。
ポリシンス
いわば7音のポリフォニックシンセサイザーであり、2系統の音源を装備。重厚に弾きたい時は音源を重ねて2系列音で鳴らすことができます。
ソロシンセサイザー
構成は1VCO、1VCF、1VCA、1EGであり、モノフォニックながらタッチコントロール機能(キーを押す力の強さにより、音色に様々な変化を付けられる)を装備していました。ソロ演奏を彩る、ビブラート、ポルタメントなども搭載しています。
ベース音源
低音専用のベース音源を独立して装備しています(これによりソロシンセサイザー・ブロックでは、高音優先のレンジになっている)。
プリセットについて
オルガン5種(上3、下2)+ストリングス3種+ポリシンス3種の計11種類のプリセットサウンドを搭載しています。これらは演奏中でもボタン操作一つで音色を切り替えられます。
ペダル鍵盤(オプション)について
別売りのペダル鍵盤(BP-2。当時の価格48,000円)も用意されていました。なおこのBP-2は13鍵(C0~C1)のコンパクトサイズであり、姉妹機のSK30でも使用可能となっています。通常のベース音域だけでなく、ソロシンセサイザーの音もペダル演奏可能なので、アイデア(と技量)次第で色々なことができそうです。
SK-50D/ヤマハ(株) 雑誌広告より画像引用
個人的かんそう
「いろんな音源のおいしいところをまとめて一台にした」ような機種ですね。当時の複合キーボードの集大成といえるでしょう。
同時代のヤマハといえばCSシリーズも人気でしたが、CSにさらにオルガンも追加したのが本機であり、2段鍵盤という仕様からもオルガン志向の客を取り込もうとした感じでしょうか。コンボオルガンと捉えれば同社の「YC45D」クラスにほぼ相当します。
当時の国産アナログ・シンセは次第に大型化の傾向を突き進み、その形態では末期といえる本機SK-50Dでは50kgに迫る重量になっています。まあCS-80よりは軽いですが。。
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仕様
■鍵盤:61鍵×2段
■プリセットサウンド:オルガン5種(上3、下2)+ストリングス3種+ポリシンス3種
■外形寸法:1128(W)×237(H)×642(D)mm
■重量:48.2kg(脚を含む)
■発売当時の価格:590,000円
■発売開始年:1980年