【Vol.30】Roland VK-8M ~ローランド渾身のオルガンモジュール[2003年]
2018/12/01
今回ご紹介する機材は、僕自身も購入したことがある、ローランドのコンボオルガン音源モジュール・「VK-8M」です。発売は2003年。個人的に専用のエクスプレッションペダル(EV-7)も同時に購入しました。このペダルでかいんだよねっ!
この子は買う前に店舗で試奏もしたんだけど、購入の決め手は、SLOW→FAST切り替わり時のホーンの回転速度変化が本物っぽかったところ。ただ僕の場合、ペダルではSLOW/FASTの切り替えがMIDI経由でうまくいかず、結局ほとんど手動で切り替えました。コントロール鍵盤との相性が悪かったのかなあ。。
個人的に感じた良いところ、残念なところを挙げてみます。
【よいと感じたところ】
・気軽に持ち運べる(1.7kg)
・ドローバー付で操作性も悪くない
・D-Beamで派手なエフェクトもコントロール可
【残念に感じたところ】
・MIDI THRU端子がない
・レスリースピーカー端子がない
・SLOW/FAST切り替え用の、専用ペダル端子が欲しかった
まあ背面のスペースも限られているし端子の省略は仕方ないのかも。なおこの音源の類似モデルとして、鍵盤付の「VK-8」(当初はVersion1)がありました。そちらはレスリー端子が実装されています。
ちなみに専用エクスプレッションペダル・EV-7(ボリュームペダル)は、本物のオルガンの仕様に法って、音量0の位置にしても完全に無音にならないようになっています。
外観について
モジュールタイプながらサイドパネルに天然木を使用しています。パネルトップはいかにも当時のローランドらしいデザインで、かつVK-88の操作系統をぎゅっと凝縮した感じですね。
あとレスリーの回転スピードが、左右2つの赤色LEDで交互に点滅するので、「今どっちだっけ?(FAST or SLOW)」というのが即座に視認できてよかったです。
音について
本機はVK-88(※2段鍵盤バージョン)と同時期に発売されていて、音源やエフェクト・セクションなどオルガンサウンドの核となる部分もVK-88と同等です(”VK-8と同等”ではない)。個人的には使いやすい音だったと思いますよ。
ギターアンプやエフェクターを通さなくても、4つの選べる「OVERDRIVE」で簡単に歪み系の音作りができました。アッパー/ロワー/ペダルの全パートに対応し、なおかつ全鍵ポリフォニックというのもポイント高いです。まあこの辺りは前モデルのVK-7でも実現されていましたが。。
D-Beamについて
この頃のローランドのシンセによく付いていた「D-Beam」ですが、まさかオルガンモジュールにも装備されるとは思いませんでした。生粋のオルガニストからすると「邪道だ」なんて思われたかも。。
でも個人的にはD-Beamは非常によく使いましたよ。主にテルミンの代用っぽい使い方でしたが。あと、手をかざす時の腕のモーションが、「あの人は何をやってるんだ!?」ぽい反応を頂けて楽しかったです(笑)。まあ中身はデジタルなのでピッチ変化も「カクカク」していて、僕にとってはあくまでおまけ的な機能でしたが。。
対応エクスプレッションペダル(2017年11月追記)
現行製品としては同社のEV-5が使用可能です(※EV-7は販売終了)。
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おっさんの独りごと的な
この機種もとっくの昔に生産終了となっていて、物理ドローバー付きのオルガン専用音源モジュールをすっかり見かけなくなりましたね。近年では出来のよいソフトシンセがあるのでそちらを皆さん使っているのでしょうか。そういう時代なんですかね。。
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仕様
■音源:バーチャル・トーンホイール方式
■パート:3(アッパー、ロワー、ペダル)
■最大同時発音数:完全ポリフォニック
■音源パラメーター:トーンホイール×3、リーケージ・レベル、クリック・レベル、ビブラート/コーラス(それぞれ3つ)、パーカッション×4、アンプ×4、オーバードライブ、トーン
■コントローラー:ハーモニック・バー×9、Dビーム
■外形寸法:233(W)×77(H)×275(D)mm
■重量:1.7kg
■発売当時の価格:オープン・プライス
■発売開始年:2003年