1970~80年代'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】
【Vol.114】YAMAHA CS10 ~1977年発売の低価格CSシリーズ・モデル[1977年]
2018/11/25
今回のシンセサイザー紹介は、1977年にヤマハから発売された「CS10」です。37鍵レギュラー鍵盤であり、定価は82,000円でした。今から40年前のシンセということで、僕も発売当初からリアルタイムで知っていたというわけではないですが、数が出回ったせいか90年代頃でもたまに目にした一台です。
【はじめに】「CS10」、CSシリーズとしての位置付け
アナログシンセのCSシリーズは、大きく4つの世代に分類することができます。
第1世代:CS80、CS60、CS50(※1977年上期)
第2世代:CS10、CS30、CS-30L(※1977年下期)
第3世代:CS5、CS15(※1978年)
第4世代:CS15D、CS20M、CS40M、CS70M(※1979~81年)
番外編:CS01(※1982年。ミニ鍵盤、小型スピーカー内蔵)
CS01II(※1983年。基本仕様はCS01に類似。日本未発売)
特筆すべきは1977年ですね。この年だけでかなりの種類がリリースされています。第1世代は大型・高級機の位置付けであり、第2世代(といっても半年しか経っていないが)はお手頃価格・ライト路線といった感じでしょうか。CS10は特に低価格であり、セールス面でも好調でした。ちなみに有名なCS80は定価1,280,000円ですね!
CS-10(およびSS-30)/ヤマハ(株) 総合カタログより画像引用
CS10の構成
「1VCO+1VCF+1VCA」からなる非常にオーソドックスな構成。いわゆるモノフォニック・シンセ(同時発音数1)です。各セクションは分かりやすく分けられていて、今日のアナログ(モデリング)シンセでもよく見られる、「パネル左→右部の流れでシンセサイズを行う」というスタイルが既に出来上がっています。
CS10(およびCS15)は、当時の廉価機としては珍しく、独立したVCF/VCAにそれぞれエンベロープ・ジェネレーターが装備されていました。VCFは「IL(イニシャル・レベル)/AL(アタック・レベル)/AT(アタック・タイム)/D(ディケイ・タイム)/R(リリース・タイム)」、VCOは「A/D/S/R タイム」です。
CS10の音作り
ノコギリ波、矩形波、ノイズ/外部入力切替の3種類を搭載。外部入力もできるので、マイクをつなげばボコーダーっぽいサウンドも作れます。フィルター部は、前述したようにヤマハ独自のIL/AL/A/D/R方式のVCF-EGを搭載していて、廉価機にしては音作りの自由度の高さを感じられます。なおレゾナンスについては、minimoogのような「ビョン」といったニュアンスのクセは見られず、フルに上げてもフィルターの自己発振はしませんね。。
CS10のコントローラー
鍵盤部の左側に「PORTAMENTO」、「PITCH BEND」スライダーを備えています。なおピッチベンドは中央に戻るようにバネなどは仕込まれていません。いってみればただのスライダーですね。。よって手で戻さなくてはいけません。
つぶやき的な
当時のマスター・キーボード的な鍵盤(→概して高級機)は、パネル上もフラットで広々していたので、本機はその上に乗せる「セカンド・キーボード」としての使われ方もよく見られたらしいです。10万円を切る低価格ということもあり、実際、セールス面でも結構なヒットだったそうですよ。
この頃の「音像がモヤっとしててローファイな、いかにもアナログシンセな音」は、今どきのシンセではなかなか再現しにくいかもしれません。CS10は数が出回ったので今でも多少取引されることがあるみたいですし、もし中古屋等で見つけたら当時の音を確認してみてはいかがでしょうか。
関連記事(ヤマハCSシリーズ):
「YAMAHA CS15 ~CS10の演奏性をベースにさらにグレードアップ[1978年]」
「YAMAHA CS15D ~プリセット+シンセサイザーのライブ向けキーボード[1979年]」
「YAMAHA CS70M ~アナログCSシリーズ後期のトップエンド・モデル[1981年]」
「YAMAHA CS01(/CS01II) ~ブレスコントローラー搭載! ミニ鍵盤の80年代…」
「YAMAHA CS1x ~グルーヴィにつまみを回せ![1996年]」 →平成のCS
仕様
■鍵盤:37鍵
■最大同時発音数:1音
■構成:1VCO+1VCF+1VCA、VCF-EG(IL/AL/A/D/R)、VCA-EG(A/D/S/R)
■外形寸法:710(W)×155(H)×290(D)mm
■重量:8kg
■発売当時の価格:82,000円
■発売年:1977年