キーボーディスト、脱初心者を目指す

ピアノ、シンセサイザー、オルガンとか鍵盤楽器もろもろ。関係ない記事もたまにあるよ

1970~80年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.84】Roland D-110 ~D-10のラック版(1U音源モジュール)[1988年]

2018/11/25

 

 

 今回ご紹介する音源モジュールは、ローランドの「D-110」です。姉妹機のD-10、D-20と同じく、1988年に発売されました。LA音源を搭載したD-10のラック版(1U)であり、リズム・マシンでもあります。

 

Roland D-110


 
 なお、音源部分はD-10とほぼ同じですので、D-10について書いた別記事「Roland D-10 ~名機D-50譲りのLA音源搭載シンセ」もよろしければ参考にしてみてください。
 
 
 

音源部について

 鍵盤付きモデルの「D-10」同様、1台でアンサンブル・プレイが行える「マルチ・ティンバー機能」が実装されています。マルチ・ティンバー機能とは、最大9パート(内、1パートはリズム・パート)の独立した音源として機能するというものです。
 
 
 最大発音数も32音と、当時のマルチ音源としては優秀でした(※ただし複数のパーシャルを使用した音色を組むと、同時発音数は減っていく)
 
 
 また音源方式はLA音源(Linear Arithmetic)を採用しており、音色のキャラクターもD-10と同じく「MT-32」に近い感じですね。「32パーシャル&13ストラクチャー」もD-10譲りです。
 
 
 関連記事:「Roland MT-32 ~DTMパック『ミュージくん』でも同梱された音源モジュール[1987年]
 
 
 

リズム音源としてのD-110

 本体内蔵のリズム・トーンのプリセットは全63種類。インターナルのプログラマブル・トーンは64種類となっていて、合計127種類のトーンを備えています。これは、当時の単体のリズム・マシンに勝るとも劣らないスペックといっていいでしょう(※ただしD-110はシーケンサーは内蔵していない)
 

Roland D-110(advertisement)
D-110/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用

 
 
 

D-10、D-20との互換性

音色データはD-10、D-20と互換であり、メモリー・カードも同じものを使用可能です。
 
 

D-10(鍵盤付きモデル)との違い

 出力端子が、L(MONO)/Rに加え、6つのマルチ・アウトプット・ジャックを装備しています。これは同じくラック音源モジュールのD-550にも搭載されなかった装備ですね。
 
 
 これによりティンバーの各出力を、どのアウトプットから出力させるかを自由に選択可能で、特定のパートごとに個別のエフェクターをかませたり、外部ミキサーと接続して個別にミキシングできたりしますね。1Uのコンパクトサイズでこの6パラ・アウトを実装したのはGOODだと思います。
 
 
 なお、ステレオ端子からの出力では内蔵のリバーブ効果を加えることができますが、マルチ・アウトプット・ジャックから出力されるティンバーでは(リバーブ効果は)キャンセルされます。

 

 

 

別売りプログラマー「PG-10」について

 本機を操作する上で重要なのが、別売りのプログラマー「PG-10」です。これは本体とつなげてシンセサイズしやすくする、スイッチやスライダーのついた箱のことですね、80年代のローランドではこの「PG」シリーズも数多くリリースされました。
 

Roland PG-10


 
 これにより複数のパラメーターを同時にエディット可能になり、音作りをさらに効率よくスピーディーに行えます。ちなみにこのPG-10は「D-10」「D-20」でも使えます。
 
 
 

価格改定について

 1989年4月1日、それまでの物品税が廃止され消費税が導入されたことにより、販売価格も89,800円→83,000円と改定されました。
 

名古屋市内のHARD OFF店にて撮影
 
 
 

つぶやき的な

 D-10の音源部が1Uのコンパクトサイズに収まっていたということもあり、ライブ用のサブ音源として90年代半ばくらいまで息が長く活躍していた音源モジュールといった感じでしょうか。
 
 
 もちろん6パラ・アウトのマルチティンバー音源としても、音楽制作向けの人にとっても使える仕様だったと思います。価格もお手頃でしたね。
 
 
 
 関連記事(ローランドLA音源シンセ他):
 「Roland D-10 ~名機D-50譲りのLA音源搭載シンセ[1988年]
 「Roland D-20 ~オールインワン・シンセのはしりとなった、シーケンサー内蔵…
 「Roland E-20/E-10 ~シンセサイザーと自動伴奏の融合[1988年]
 
 「Roland D-70 ~「DLM」機能を搭載した76鍵ライブ・キーボード[1990年]
 

仕様
■音源方式:LA方式(32パーシャル&13ストラクチャー)
■最大同時発音数:32音
■メモリー数:
(インターナル)64パッチ・メモリー、128ティンバー・メモリー、64トーン・メモリー、128プリセット・トーン
(メモリ―カード)64パッチ・メモリー、128ティンバー・メモリー、64トーン・メモリー、128プリセット・トーン、1リズム・セット・アップ
■内蔵エフェクト:デジタル・リバーブ
■リズム:63プリセット・リズム・トーン
■ディスプレイ:16文字×2行LCD(バックライト付き)
■外形寸法:482(W)×44(H)×286(D)mm
■重量:3.7kg
■発売当時の価格:89,800円(のちに83,000円)
■発売年:1988年

 

関連記事および広告

関連記事および広告


-1970~80年代', Roland, 楽器・機材【Vol.〇〇】