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YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.99】YAMAHA QS300  ~ダイスケ的にもオールOK![1995年]

2018/05/20

 今回ご紹介するキーボードは、1995年にヤマハから発売された「QS300」です。言わずと知れた「イメージキャラクター・浅倉大介氏」を全面に押し出したシンセサイザー(ワークステーション)ですね。シンセ業界としては小室哲哉氏が既に「EOSシリーズ」で成功していましたし、それの浅倉バージョンが本機、という捉え方もできるかもしれません。

 

YAMAHA QS300
 
 
 

概要

 全体の作りとしては初心者向けのシンセサイザーであり、小室先輩の「EOS」と近いコンセプトだったかもしれません(ただし多くのEOSで搭載されていたスピーカーは省略されている)。なお音色は浅倉氏自身が作成しており、ここはさすがヤマハの元開発者といった感じですね。
 

YAMAHA QS300(advertisement)
QS300/ヤマハ(株) 雑誌広告より画像引用

 
 
 

音源部について

 XG規格準拠であり、XGボイス480、TG300Bボイス579、およびプリセット・ボイス128を搭載。当時のDTM音源「MU80」と同様にAWM2音源を採用しています(ただし音のキャラクターは若干MU80と異なる)。 DTM専用音源モジュールでは難しかった、基本波形から音を作っていくシンセサイズな機能も一通り押さえています。
 
 
 

シーケンサー部について

 シーケンサー部には、当時その高い操作性と機能で好評を博していた単体機「QY300」とほぼ同等のシステムを搭載しています。分解能96、16トラック、および8個のパターン・トラックで構成され、当時のPC用シーケンス・ソフトに迫るなかなかの内容でした。
 
 
 データの入力方法は、リアルタイム/ステップ/パンチの3種類に加え、MIDIデータを一つずつ入力するソング・エディットがあり、コントロール・チェンジやシステム・エクスクルーシブなどの入力が簡単に行えるようになっています。

 

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「スタイル・シーケンサー機能」について

 またQS300では、一般的なシーケンサーの機能に加え、「スタイル・シーケンサー機能」というものを装備していました。これは、フレーズ、パターン、ソングという3つの要素を使って曲を簡単に作るというものです。おおまかに説明してみましょう。
 

フレーズ…
 ギター、ピアノ、ベースなどの楽器の、短いバッキング・パターン(1~8小節程度)を収録したもの。QS300では3,093個ものフレーズがプリセットされている。

パターン…
 複数のパートの「フレーズ」を組み合わせたもの。パターンはプリセットで800個用意されている。

 
 パターンをイントロ~アウトロまで曲の構成順につなげ、一曲の形に仕上げることも可能ですし(→「パターン・トラック」にて編集)、1拍ごとにコードを入力して伴奏パートを作ることもできます(→「コード・トラック」で編集)。
 
 
 

おまけ・浅倉氏のこと

 そもそも浅倉氏がヤマハの社員(開発担当)だったことは有名で、同社との縁故から本機開発の企画がスタートしたのかもしれません。TVCFこそ流れませんでしたが、「QS300=浅倉大介」といった強いイメージ戦略で、シンセサイザーをよく知らない一般層にも広くアピールすることができたのではないでしょうか。
 
 
 なおQS300が発売されのは1995年夏頃であり、浅倉氏のソロ(3rd)アルバム『ELECTROMANCER(エレクトロマンサー)』のリリース時期とほぼ重なりますね。そのアルバムを引っさげ、同年の12月からは「DA LIVE 95〜96 ELECTRIC ROMANCE」というソロツアーを行っているのですが、当時の浅倉氏のライブ・セット(使用機材群)においてQS300は入っていませんでした。せっかく宣伝できるチャンスでもあったのに、何らかの事情があったのでしょうか。。
 

浅倉大介さんのサイン入り!(某リサイクルショップにて発見)
 
 
 

つぶやき的な

 本機・QS300は「QY300に鍵盤が付いたもの」と捉えるのが一番しっくり来る気がします。そこそこのアンプ・スピーカーで鳴らしたこともありますが、出音はほぼ当時のDTM音源レベルでしたし、ライブで使うのは前提ではなかったのかもしれません。accessやTM Revolutionのようなデジタル・トラックを手軽に作ってみたいと思っていた人にとっては、最初の一台として打ち込みの勉強にはなったのではないでしょうか。
 
 
 なお小室氏が律儀にEOSシリーズをライブ機材セットの中に組み込み続けたのに対し、浅倉氏はヤマハ主催のQS300イベントの時くらいしか本機種を使わなかったそうです。ライブでのスレーブ音源のコントロール用とか、サンプラーのトリガー用とか、使おうと思えばいくらでも使い処はあったでしょうに。。
 
 
 
 関連記事(ヤマハEOSシリーズ):
 「YAMAHA EOS YS200/YS100 ~EOS初号機、現る![1988年]
 「YAMAHA EOS B200 ~EOSにスピーカーが付いたよ![1988年]
 「YAMAHA EOS B500 ~【前半】“小室プロデュース&浅倉マニュピレート”、…
 「YAMAHA EOS BX ~インターネットとリンクする“ネットワークEOS” [2001年]」  →浅倉氏プロデュース
 

仕様
■鍵盤:61鍵(イニシャル・タッチ、アフター・タッチ付き)
■最大同時発音数:32
■音源:AWM2

■音色:XG(480+11ドラムキット)、TG300B(579+10ドラムキット)、プリセット128、ユーザー128(280エレメント)、ユーザー・ドラム・キット
■シーケンサー部:
 メモリー423KB(約87,000音)
 トラック数:16+8パターン・トラック+フレーズ・トラック
 ソング数:20
 パターン数:800ユーザー+800プリセット
 フレーズ数:100ユーザー+3093プリセット

■外形寸法:1067(W)×121(H)×371(D)mm
■重量:13kg
■価格:169,000円(税抜)
■発売開始年:1995年

 

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