【Vol.333】CHARLIE LAB Split Board ~鍵盤部がまっぷたつに!?[2001年頃]
2018/11/28
今回ご紹介するキーボードは、CHARLIE LABというイタリアのメーカーの「Split Board(スプリットボード)」というシンセサイザーです。日本発売は2001年頃、当時の国内定価は156,000円でした。
これは以前本ブログでも紹介した『CHARLIE LAB Splitboard K61』と内部仕様は同じですね。機種名も単に「K61」が取れただけのそっけないネーミングとなっています。いやいやこのSplit Board、実はシンセサイザーの形状の歴史を紐解いた時に登場させてもいい(と個人的には思っている)、超個性派モデルなのです!
本体がまっぷたつに折れる
もう、これに尽きるでしょうお客さん(笑)
そう、本機は鍵盤中央部から内側に向かって2つに折りたたむことのできる鍵盤なのです。鍵盤は180度まで折りたたむことが可能で、トランクケースのように持ち運ぶことが可能になります(持ち運び用の取っ手も付いている)。
ちなみに上画像のように90度(L字型)の状態でも音出しは可能だったそうで、この状態でライブステージなんかに設置したりしたら『鍵盤どうしちゃったの!?』と見る側に強烈なインパクトを与えることができそうです(笑)。もちろん可搬性という観点からもライブ・キーボーディストにとって優しい設計と言えるでしょう。
当時この「CHARLIE LAB」というイタリア製キーボードはバルコム(株)さんが日本総代理店を務めていたので、並行輸入などをしなくても個人で容易に入手が可能でした。現在でも少なからず中古で流通しているようですね。
なお内部仕様については、折りたたみ不可の通常の「Splitboard K61」と同じです。本機でも “Digitar”が搭載されていたりと個性的な内容と言っていいのですが、記事内容がかぶるので、形状/機構以外についての内容は丸ごと以下記事に譲ります(汗)。必要に応じてどうぞ。
関連記事:
「CHARLIE LAB Digitar(デジター) ~6本の弦をつま弾いてギターサウンドを再現」
「CHARLIE LAB Splitboard K61 ~“Digitar”でギタリスト気分を味わう![2001年頃]」
実はまだあった、折りたためるキーボード
Split Boardの記事が早々と終わってしまったので(汗)、別の “折りたたみ可能キーボード”を見てみることにしましょう。以下はINFINITE RESPONSEというメーカーの「VAX77」という機種。2009年のNAMMショーで出品されました。
このVAX77はおそらく日本国内での代理店は存在せず、いわゆる “日本未発売”のモデル。とはいえアメリカでは販売されたらしく、当時の価格は$2,450だったそうです。当時の為替レートは1ドル=約90円の時代だったので、実売価格はおよそ220,000円といったところでしょうか。
先に取り上げたSplit Boardとの大きな違いは「外側に折れる」点ですね。頻繁に運ぶことを想定したライブ・キーボーディストにとっては、なるべくデリケートな鍵盤部は内側になるように折れて欲しかったのではないか というのが個人的に抱いた印象です。
あとVAX77は76鍵仕様ですね(→Split Boardは61鍵)。各白鍵も手前側がスクエアになった、いわゆる “ピアノタッチ鍵盤”のように見えます。
ハンマーアクション機構を搭載したピアノタッチ鍵盤といえば、近年軽量化が進んではいるもののまだまだ(重量が)重いという感じですよね。さらに88鍵盤だと横幅も長いので、「車に積みにくい」「カート(徒歩)でライブ会場まで移動させるのはほぼ無理」などといった問題にも直面することになります。ピアノにこだわるライブ・キーボーディストさんって大変よねー(泣)
そんな時、このように半分に折れて、比較的安定して転がせそうなピアノ鍵盤があれば移動の大変さはぐっと減ると思います。日本のメーカーさんもたまには採算を二の次にして(笑)、このように実用的かつ斬新な設計のステージ・ピアノの開発を進めてもいいんじゃないかと、個人的には思います。
仕様(CHARLIE LAB Split Board)
■鍵盤数:61鍵(ハーフ・ウェイテッド鍵盤)
■最大同時発音数:40
■パート数:16
■音色数:352 ■ドラムキット:17
■メモリー
インターナル:シングル×128、コンビ×128
ユーザー:シングル×128、コンビ×128
カード:シングル×128、コンビ×128
■接続端子:MIDI IN/OUT 1/OUT 2(THRU)
■発売当時の価格:156,000円(税別)
■発売開始年:2001年頃