2000年代~'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】
【Vol.325】YAMAHA ピアジェーロ NP-12/NP-32 ~初めての電子キーボードとしておすすめ
2018/11/18
今回ご紹介する電子キーボードはYAMAHAの「piaggero(ピアジェーロ)NP-12」および「NP-32」です。メーカー発売は2016年2月。2018年4月現在、現行製品となっています。NP-12が61鍵、NP-32が76鍵。
ちなみにシリーズ名の「piaggero」は、piano(ピアノ)とleggero(レジェーロ、イタリア語で「軽い」の意味)を合わせた造語だそうです。
これはヤマハさんの入門者向けキーボードのシリーズですね。低価格であり、子どもの本格的なピアノの導入用途から、大人のちょっとした “弾きたい”心をくすぐるキーボードといったところですね。ちなみにNP-12には「NP-11」(2011年7月発売)、NP-32には「NP-31」(同じく2011年7月発売)というそれぞれ前身機種が存在するのですが、5年の歳月を経て現代風に大幅なバージョンアップを遂げています。
なおNP-12およびNP-32の中身(内部仕様)は同じであり、マニュアルも共通しています。一応NP-12(61鍵モデル)を軸にお話を進めてみたいと思います。
NP-12について
スリムで軽量なボディに使いやすいピアノ音色などを搭載した61鍵電子キーボード。本体には左右にスピーカーを埋め込み(→ステレオスピーカー)、電池での駆動もOK(単三電池×6本)。内蔵の10音色を簡単操作で切替えることができ、演奏したものは録音することも可能です。
プリセット音色について【個人的所感入り】
パネル上に5個の音色ボタンがあり、ボタンを押すたびに上と下の音色が切り替わり、選ばれた音色を鳴らせます。本機の内蔵音色(プリセット音色)は以下10種類。
●PIANO 1/PIANO 2 ●E.PIANO 1/E.PIANO 2 ●ORGAN 1/ORGAN 2 ●STRINGS/VIBES ●HARPSI.1 ●HARPSI.2
E.PIANOはエレクトリック・ピアノ、VIBESはビブラフォン、HARPSI.はハープシコードですね。2つの音色ボタンを同時に押すことにより異なる音色を重ねる(→デュアル)こともできます。なおオルガン音色はハモンドとかじゃなくて、教会とかのパイプオルガンをサンプリングしたようなキャラクターになっています。
“顔”とも言えるピアノ音色は、中域ではそこそこ鳴ってくれる、低域(低音部)は響きが若干弱い、といった感想。あくまでも個人的所感ですよ。ただし音源はグランドピアノからサンプリング(録音)したものらしく、この価格帯のキーボードにしては健闘しているという印象を持ちました。
鍵盤タッチについて【個人的所感入り】
鍵盤部は1鍵づつ箱状になった「ボックス型鍵盤」を採用。通常の電子キーボードとの差別化が見られる、本機のこだわりポイントの一つだと思います。本機のタッチは全体的に非常に軽いです。『弾き心地が全然グランドピアノっぽくない!』といったところで、この価格帯ですから致し方無いですね。。
ただし指の力が弱い子ども向けと捉えたら、悪くない作りとは感じました。大人が最初に購入する電子キーボードとして考えたらどうでしょう。特にNP-32(76鍵)ではグレードソフトタッチ鍵盤(→後述します)を採用しており、多少なりとも鍵盤タッチに配慮した設計となっていると思います。
前モデル(NP-11)からのバージョンアップ点【個人的補足付き】
■最大同時発音数が、「32音」から「64音」へと増加
最大同時発音数とは、電子鍵盤楽器における “一度に鳴らすことのできる音数の上限”のことです。『でも指は10本しかないから(連弾でも最大20本)、32音も64音も違いはないのでは?』と思うかもしれませんが、ダンパーペダルを踏むと前の音が残っていきますよね。和音でコード音を残したい場合は当たり前に10音以上は消費していきます。
また、本機では音色を重ねる(例:ピアノ+ストリングス)こともできるので、そういったケースでは1鍵弾いただけでも2音消費します。そして最大同時発音数を超えて鳴らそうとすると “音が消える”という現象が起こります。といったことを考えると32→64の倍増は、音切れの心配がより少なく演奏に臨むことができるということです。
■専用iOSアプリと連携する
iOS搭載のスマホ/タブレット(iPhoneやiPad)と接続し、無料の専用アプリ『Digital Piano Controller』を使って、NP-12(NP-32)本体の操作・設定を見やすく行うことができます(なお接続ケーブルは別途必要)
■録音機能も搭載
NP-11は楽器本体への録音はできなかったのですが、NP-12では楽器本体に1曲(約7,000音符)の録音ができます。この辺りは一昔前の10万円クラスの電子ピアノで搭載されていた機能ですね。
■選べる2色
NP-11はブラック1色だけでしたが、NP-12ではブラックとホワイトの2色から選べます。
あと、NP-11では搭載されていたMIDI端子がNP-12(NP-32)では省略され、代わりにコンピューターと直接接続するための専用端子「USB TO HOST端子」 が備えられていますね。ピッチベンドやモジュレーションレバーは付きませんが、DTM(DAW)入力用のキーボードとしても簡単に接続可能です。
操作性について
パネル上はMASTER VOLUMEつまみの他、DEMOボタン、メトロノームボタン、音色変更ボタンなどが配置。LEDディスプレイ画面はなく、全体的に非常にシンプルなパネルデザインになっています。
本機ではオクターブを変更したり(→オクターブシフト機能)、半音ごとに移調したり(→トランスポーズ)などもできるのですが、これらおよびメトロノームのテンポ変更などは、各種ボタンと「鍵盤」を使って操作することになります。この辺りは慣れが必要になってきますね。。とはいえ前述したようにiPhoneなどとつなげれば簡単に行えます。
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NP-32について
前述したようにNP-32は76鍵仕様。NP-32では「グレードソフトタッチ」鍵盤を採用しており、これは生ピアノのように低音部は鍵盤が重く、高音部に向け段階的にタッチが変わり、弾く強さによって強弱が付くというものです(→タッチレスポンス付き鍵盤)。
以前本ブログで『ピアノ演奏に88鍵は必須なのか? ~73鍵でも弾ける曲がどれだけあるかを本気で検証』という記事を展開したことがあるのですが、「ポピュラーピアノを気軽に弾いてみたい!」というピアノ入門者にとっては、安価・軽量かつ省スペース(→76鍵でも弾ける曲は十分ある)ということで、NP-32を最初の一台として検討するのは悪くないチョイスだと思います。
ちなみに前モデルのNP-31では「ブラック/シルバー」カラーだったのが、NP-32では「ブラック/ホワイト」カラーとなっています。
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個人的つぶやき
安価な価格帯の電子キーボードといえば、自動伴奏機能付きのモデル(ヤマハで言えばPORTATONE PSRシリーズ、カシオではCTKシリーズなど)という選択もあると思います。機種によっては今回のNPシリーズよりも安く手に入れられるモデルもあるでしょう。
でも、『子どものおもちゃっぽく見えるのはイヤ』、『自動伴奏は必要ない』、『少しでもスリムなものがいい』という人にとってはNPシリーズの方が向いていると言えるでしょう。ボックス型の鍵盤部も、ちょっとした高級感を与えてくれるのに役立っていると思います。
なおペダルは標準で付いてこないので、ハーフペダル対応の「FC3A」の別途購入がおすすめ。こんなに低価格キーボードなのにハーフペダル対応というのもすごいですね!
仕様
■音源方式:AWMステレオサンプリング
■鍵盤種:ボックス型鍵盤(※タッチレスポンスあり、NP-32はグレードソフトタッチ)
■鍵盤数:NP-12 →61鍵、 NP-32 →76鍵
■最大同時発音数:64音
■プリセット:10音色
■効果(エフェクト):リバーブ4種
■録音容量:約7,000音符
■外形寸法:
NP-12: 1036(W)×105(H)×259(D)mm
NP-32: 1244(W)×105(H)×259(D)mm
■重量:NP-12 →4.5kg(乾電池を除く)、 NP-32 →5.7kg(乾電池を除く)
■価格:オープンプライス
■発売開始年:2016年2月