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NORD(CLAVIA) 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.287】CLAVIA Nord Electro(初代機) ~【その2】ピアノセクションについて

2019/04/21

 

 

 前回の記事「CLAVIA Nord Electro(初代機) ~【前編】オルガンセクションについて」に引き続き、今回もCLAVIA Nord Electro(ノード・エレクトロ)の初代機について取り上げてみたいと思いますよ。

 

CLAVIA Nord Electro Sixty One

CLAVIA Nord Electro Sixty One(rear)

Nord Electro Sixty One

 

 前半の記事では主にオルガンセクションについて言及してみたのですが、今回は本機のもう一つの柱・ピアノセクション(エレピ含む)について記述してみましょう。オルガンについては前回の記事をご参照ください。
 
 
 なおNord Electroは内部OSのバージョンアップにより音色・操作性等が向上しているのですが、本記事では初期リリース時のバージョンを基準に話を進めていきます。ご了承ください。
 
 
 

ピアノ・セクション

 本セクションでの音源はいわゆる「サンプル・プレイバック」方式が採用されています。つまりは本物のアコースティック・ピアノや往年のヴィンテージ・エレピなどから丁寧にサンプリングされた音色波形を、本体内蔵の内蔵のROMに焼き付けて、プレイヤーはそのサンプリング音色を鳴らす(→プレイバック)という方式。
 

CLAVIA Nord Electro(Piano Section)

 
 選択できる音色は(初期バージョンでは)以下5つ。これら音色は「TYPE」というまとまりであり、ボタンを押すごとに音色が切り替わっていくというスタイルです。全て挙げてみましょう。

 

Rhod

 初期バージョンではRhodes MarkII StagePianoをベースにしたのではないかと思われるエレピ音色を搭載。強く叩いた時のクリップ感はなかなかの出来栄えだと思います。クセがなく後のエフェクト加工でも使いやすい印象ですが、もちろん後述するエフェクター(トレモロ、フェイザー等)とも相性良しです。
 
 

Wur

 ウーリッツァー200Aをベースにしたと思われるエレピ音色。音質はいたってクリアで、本家のような埃っぽさ(笑)はあまり見られませんが、強く叩けばそれなりに歪みます。
 
 

Clav

 クラビネットの代名詞とも言えるHOHNER D6の音を模したかのような音色。低音部もしっかりとクラビっぽい音色が出ますね。
 
 

El.Grand

 YAMAHA CP70/80と思わしきエレピ音色。バッキング向きと言えるかもしれませんが、後述する様々なエフェクトと組み合わせると面白い音作りができそうです。
 
 

Ac.Grand

 アコースティック・グランドピアノの音色。どんなモデルをベースにサンプリングされたとかは不明。
 
 またピアノ・セクションには、「PRESENCE(プレゼンス)」という上記音色専用のパラメトリック・イコライザーが装備されています。200Hz~4kHzまでの任意の周波数を無段階に指定でき、±18dBの範囲でブースト(もしくはカット)することが可能。ちなみに音色設定の記憶はもちろん、このPRESENCEの設定も本体内にメモリー可能となっていて、ライブ時でも一発で呼び出せるというのは非常に便利ですね。

 

 

 

エフェクト部について

 パネル上にあるエフェクト・セクションはオルガン/ピアノ系共通となっています。【Nord Electro前編】の記事でも書きましたが改めて以下記述してみましょう。
 

MODULATIONS

 モジュレーション系/フィルター系エフェクトを集めたセクション。本機では、Tremolo, Pan, RingMod, Wa-wah, Wa-wah2, Autowahの6種を、ボタンを切り替えることによって切替可能です。これらエフェクト群は特にエレピ音色に効果的ですね。
 
 

EFFECTS

 Flanger, Flanger2, Phaser, Phaser2, Chorus, Chorus2の全6種。特にエレピ系音色にとっては、汎用性の高いオーソドックスなエフェクト群といったところでしょうか。
 
 

OVERDRIVE

 真空管による歪み(オーバードライブ)をシミュレートしたエフェクト。ハードなオルガン演奏はもちろん、薄く掛ければロック寄りのピアノ音色にもなじみます。
 
 

ROTARY SPEAKER

(前半の記事をご参照ください)

 

 

 

つぶやき的な

 というわけで今回はピアノ・セクションについてつらつらと書いてみました。初代Nord Electroといえばのちの「HPモデル」(→ハンマーアクション機構を搭載したピアノタッチ鍵盤モデル)はまだラインナップに無かったので、どちらかというとオルガンメインで愛用していた人が多かったように個人的には回想します。
 
 
 Nord Electroはシリーズを重ねるごとに音質も向上していると言えるのですが、初期モデルの方がピアノの音が太かったなんて話も聞きます(真偽のほどは不明ですが)、本機のピアノ音色も別の本格ピアノタッチ鍵盤につなげて弾いてみたりすると新たな発見があるかもしれないですね。
 
 
 さて初代Nord Electroの記事、実はまだ続きがあります。気が向いたらまた読んで頂ければこれ幸いです。
 
 
 
 前回の記事→「CLAVIA Nord Electro(初代機) ~【その1】オルガンセクションについて
 続きの記事→「CLAVIA Nord Electro(初代機) ~【その3】鍵盤とか見た目とかRack版とか
 

仕様
■鍵盤:61鍵/73鍵(両機ともセミウェイテッド/ベロシティ・センシティブ対応)
■オルガンセクション:
 ドローバー数:9(8段階のLEDから構成されるバー・グラフ・タイプ)
 パーカッション:2nd/3rd
 ビブラート:3種(V1~V3)
 コーラス:3種(C1~C3)
■ピアノセクション:
 内蔵タイプ:5種(Rhod, Wur, Clav, El.Grand, Ac.Grand) ※ただし最初期のバージョン
 PRESENCE機能付き(→パラメトリックEQ)
■内蔵エフェクト:
 MODURATIONS(Tremolo, Pan, RingMod, Wa-wah, Wa-wah2, Autowah)
 EFFECTS(Flanger, Flanger2, Phaser, Phaser2, Chorus, Chorus2)
■外形寸法:900(W)×78(H)×290(D)mm ※Sixty One
■重量:7.8kg(Sixty One)、9.4kg(Seventy Three)
■発売当初の価格:240,000円(Sixty One)、280,000円(Seventy Three) ※いずれも税抜
■発売開始年:2001年初頭頃

 

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