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AKAI 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.279】AKAI XR10 ~AKAI製リズムマシン[1989年]

2018/11/26

 

 

 今回ご紹介する機材は、1989年にアカイから発売されたリズム・マシン「XR10」です。発売時の定価は58,000円。サンプリングに定評のあるアカイからリリースされたPCM系サウンドの低価格帯リズムマシン(ドラムマシン)ということで、発売時にはそこそこ注目を集めました。
 

AKAI XR10(advertisement)
XR-10/赤井電機(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

音源部

 量子化ビット数・16bitにてサンプリングされた、リアルなPCM音源によるドラム/パーカッション音色群を搭載。プリセットで65音色、ユーザー領域で32音色(※本機ではコピー音色と呼んでいる)が用意されていました。
 
 
 当時のXR10の広告やカタログから見るに、この16ビットというのはやはり本機の売りだったみたいですね。微かな残響音やアンビエント成分も含んでいるためリアルさという点では当時ハイ・クオリティだったと思われます。まあ今となってはいい感じとも取れるザラザラ感といった印象でしょうか。
 
 
 

内蔵楽器音

プリセット音は全65種類。以下、全て挙げてみましょう。

●KICK1~10 ●SNARE1~10 ●RIM1/2 ●HAT CLOSE/HAT MID/HAT OPEN ●TOM1 HI/MID/LO ●TOM2 HI/MID/LO ●TOM3 HI/MID/LO ●TOM4 HI/MID/LO ●CRASH1/2 ●RIDE ●CHOKE ●CLAPS ●FINGER ●CONGA1~4 ●VIBRASLAP ●GUIRO1/2 ●CABASA ●TAMBOURINE ●HITS ●TRIANGLE HI/LO ●COWBELL ●CLAVE ●WHISTLE ●SKWK HI/LO ●TIMBALES HI/LO ●AGOGO HI/LO ●CHOP

 
 バスドラ10音色、スネア10音色、タム9音色(3種)、各種シンバル、さらにパーカッション類も豊富に揃えてますね。種類およびバリエーションは多い方だと思います。
 
 
 音のキャラクターとしては、強烈に主張してくるような音色というよりは、デジタルなオケで馴染みやすいハイファイな印象です。
 
 
 

プリセット・パターン

 本機には50種のリズム・パターンが内蔵されていて、それぞれにバリエーション×3、フィルイン×3、イントロ×1、ブレーク×1、エンディング×1の、合計9つの変化を加えることができます。つまり全450種のプリセット・パターンを搭載といったところ。
 
 
 そのように組み合わせて作ったオリジナルのパターンは、ユーザー・プログラム・パターン領域にて99種類まで記憶可能(※1つのパターンあたりの小節数は4小節、音数ではMax300音という制約あり)。そして、これらユーザー・パターンを組み合わせて「ソング」に仕立てています。なおソングは20曲まで。
 
 
 

操作性について

 本機には15個のパッドを搭載。リズムマシン初期の頃に比べれば決して少なくはないのですが、前述したように音色数・パターン数が本体内にかなり詰め込まれているので、1つのパッドに持たせるている機能は多く、切り替えなどで多少操作が複雑になっている感はしますね(ただしMIDIキーボードから入力することも可能)。
 
 
 パッドはACCENTキーを押しながら叩くと、それに対応したベロシティで入力することができます。もちろんリアルタイムの他ステップ入力にも対応していて、上記のベロシティなども後からエディットできます。

 

 

 

音色エディットについて

 本機では11種類のエディット・パラメーターを搭載。音量(レベル)、定位(パン)、チューニング(±2オクターブ内)などはもちろん、「リバース」(→逆再生)、「スイープ」(→立ち上がり時に音が上がったり下がったりする)などのちょっと変わったエディットを施すこともできます。
 
 
 

オーディオ出力について

 本機の音声アウトプットはステレオ出力のみ。いわゆる(楽器音ごとの)パラアウトはありません。ただしエフェクト・センド端子、エフェクト・アウト端子は備えています。
 

AKAI XR10
 
 
 

つぶやき的な

 本機発売の80年代末期~90年代初頭にもなると、この手の専用リズムマシンも各社共暗黙のうちに基本コンセプトが固まってきており、あとはいかに「より多くの音色を収録」「より低価格」というベクトルに各社進んでいたのだと思われます。
 
 
 以前本ブログでも紹介した「YAMAHA RX8」で初採用され当時話題となった16bitサンプリングは当たり前となり、他のリズムマシンと差別化を図るという上で各社も開発段階で試行錯誤されていたのでしょう。
 
 
 そしてこの頃はリズムマシン(シーケンサー)を内包したオールインワンタイプのシンセが台頭してきており、またサンプリング・ライブラリー(サンプラー用CD-ROM等)の充実ぶりなどからも、専用リズムマシンの終焉の予兆が出つつありました。
 
 
 うーん、そんなわけでリズムマシン単体機としてはやや末期に当たる本機XR10、斬新なコンセプトや革新的な機能を盛り込んでいたわけではないですが、安くて使いやすい成熟期のリズムマシンということで手の出しやすい一台だったといった位置付けでしょうか。
 
 

仕様
■音源方式:16ビットPCM音源
■内部音源:65(※コピー音色32)
■同時発音数:11音(クリック含め12音)
■プリセット・パターン:450(50 ×3バリエーション、3フィルイン、1イントロ、1ブレーク、1エンディング)
■プログラマブル・パターン:99(最大4小節、約5,000音符)
■ソング:20(最大パート99)
■外形寸法:350(W)×68(H)×241(D)mm
■重量:1.7kg
■価格:58,000円
■発売開始年:1989年

 

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