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KAWAI 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.183】KAWAI SPECTRA KC10 ~これぞ元祖コンパクト・シンセサイザー![1990年]

2018/06/08

 今回取り上げるシンセサイザーは、1990年に河合楽器から発売された「KAWAI SPECTRA KC10」です。価格は69,800円で当時としては結構なお手頃感。

 

KAWAI SPECTRA KC10

 

 61鍵であり、見た目は現在DTM分野でよく見かけるスリムMIDIキーボードといった趣きですが、本機は音源を内蔵しており、実は16bitシステム搭載のデジタル・シンセサイザーなのです。
 
 
 以前本ブログでも「KORG X5 ~元祖お手軽シンセサイザー」という記事を書いたのですが、X5よりも4年も前に発売され、X5よりもコンパクトな奥行・横幅を実現していたんですよね(重量はほぼ同じ)。一般的にはあまり知られていないKC10なのですが、ちょっと掘り下げてみたいと思いますよ。
 

KAWAI SPECTRA KC10(advertisement)
SPECTRA KC10/(株)河合楽器製作所 雑誌広告より画像引用
 
 
 

筐体について

 横幅は967ミリ、奥行きはわずか209ミリという超スリムボディ。重量も4.8kgと軽量で、持ち運びにはとことん向いていた “ライブ・キーボード”とも言えるでしょう。シンセらしく、モジュレーション・ホイールおよびピッチベンド・ホイールも本体左に備えています。
 
 
 

音源部/シンセサイズ部について

 KC10の音源システムには特別な名前は付いていませんが、16ビット・サンプリングによるPCM波形が80個、またそれとは別に16ビットDC(Digital Cyclic)波形が48個内蔵されています。オシレーター(DCO)は1つで、フィルター回路は持っていません。ただしビブラート(→音の高さの揺れ)のパラメーターは用意されています。
 
 
 ちょっと変わっているのが、波形の名前のほとんどが “PIANO & PIANO”とか “STRINGS & VOICE”などのように連名になっている点。波形は完全にミックスされているわけではなく、それぞれが別々のDCAで音量のコントロールを行うようになっているそうです。つまり1DCO、2DCAという構成ですね。面白いわ~
 
 
 DCAでは、レベル、ベロシティ・カーブ、エンベロープ(ADSR)などがパラメーターとして調整可能。フィルターはありませんが、DCAのエンベロープなどにより、ある程度の音作りはできるといった感じでしょうか。ただしディスプレイは3桁の7セグメントLEDだけだったので、実際のエディットは結構な慣れが必要だったと思います。。

 

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音色について

 シングルパッチ(プリセット64+ユーザー32)、マルチパッチ16(ユーザー)、リズムパッチ36(プリセット)を内蔵。一つ一つのパッチ(音色)を選んで、最大4つまでスプリット/レイヤーすることもできる「マルチ機能」により、多音色使いのライブ演奏でも便利に使えそうです。
 
 
 音色的なKC10の特徴といえば、ドラム音源も内蔵されていることですね。36のリズム・パターンを搭載したドラム・セクションがあり、5パートのマルチ音源としても機能します。
 
 
 あとアルペジエーター機能も何気に搭載してます。アルペジオは前述したリズム・パターンと同期するので、ちょっとしたリズム隊のループも作れたりしますね。ちなみにアルペジオ用の音色は通常の演奏に使う音色とは別となっていて、個別に8種類用意されています。
 
 
 

鍵盤について

 61鍵・レギュラースケール鍵盤を採用。アフタータッチは対応していませんが、ベロシティは付いてます。そしてタッチはあまり良くなかった印象があります。。この頃の廉価キーボードの宿命と言ってもいいかもしれませんね。。
 
 
 

つぶやき的な

 とにかく軽くてコンパクトなシンセサイザーという意味で、2017年現在の製品を見回しても、これだけのサイズ感を実現しているシンセはそうそう見当たりません。そういう意味ではもう少し人々の記憶に残っていてもいいのになぁ、と思います(笑)
 
 
 なお本機はショルダー・キーボードとしても使えるよう、裏にはストラップ・ピンが付いています。とはいえ電池駆動には対応しておらず、基本的に付属のACアダプタのコードの長さ分しか動き回ることができませんでした。しかもシールド(音声ケーブル)も別途取り回さなくてはいけないという、ちょっと使いにくい仕様でした。。
 
 
 
 関連記事:「KAWAI SPECTRA KC20 ~GM音源搭載の軽量・コンパクトシンセサイザー[1993年]
 

仕様
■鍵盤数:61鍵(ベロシティ付き標準スケール鍵盤)
■最大同時発音数:10(トーン)+4(ドラム)
■波形:16ビットPCM+16ビットDC
■プログラム・メモリー:シングルパッチ(プリセット64+ユーザー32)、マルチパッチ16(ユーザー)、リズムパッチ36(プリセット)
■外形寸法:967(W)×81(H)×209(D)mm
■重量:4.8kg
■発売当時の価格:69,800円
■発売開始年:1990年

 

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