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1960~80年代 KORG 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.152】KORG PE-2000 ~たった1台のオーケストラ?[1976年]

2018/11/25

 

 

 今回ご紹介するキーボードは、コルグが1976年に発売した「PE-2000」というポリフォニック・アンサンブル系キーボードです。当時の広告のキャッチコピーは『たった1台のオーケストラ?』となっていて、本機からダイナミックなブラス、繊細なストリングス・サウンド、重厚なパイプオルガン、さらにコーラスのサウンドまで引き出すことができるという触れ込みでした。

 

KORG PE-2000


 
 鍵盤数は少なくなっているし、パラメーターつまみも一部省略されているのですが、一応PE-1000の上位機種といっていいのでしょうか。当時の定価は270,000円でした。
 
 関連記事:「KORG PE-1000 ~70年代コルグの「アンサンブル・キーボード」[1976年]
 
 
 

概要

 48鍵の全鍵ポリフォニック(=同時発音可能)・キーボード。「ポリフォニック・アンサンブル・オーケストラ」と銘打たれていました。1音あたり3つの発振器(オシレーター)を備えており、3×48鍵で実に144個ものオシレーターを内蔵しているということになります。これにより厚みのある音を作り出すことができます。
 
 
 

内蔵音色および基本操作

 「パイプオルガン」、「コーラス」、「ブラス」、「ストリングス」の4つの楽器音を内蔵しています。それぞれ2つのバリエーションを持ち、バリエーション1は明るめの音色、2は若干暗めの音色になっています。この全8個の独立したボタンから音色を選ぶのですが、同時押し(→音色重ね)ワザも使えたそうです。

KORG PE-2000
 
 
 各音色のEGはアタックとサスティン(→実質的なリリース)がコントロール可能となっています。なおサスティンつまみはMAXにしても、最後に鍵盤から手を離した時の音にしかかかりません。

KORG PE-2000
 
 
 

フェイズシフター(=フェイザー)について

 本機のために新たに開発されたアナログのフェイズシフターを内蔵しています。PE-1000では装備されなかった機能ですね。この内蔵フェイズシフターですが、SPEED(→うねりの速度)は変えられますがDEPTH(→うねりの幅)は変えられません。なおリアパネルの出力端子には、フェイザー回路を通ったものと通ってないものが別々に装備されており、分けて出力することもできます。

KORG PE-2000
 
 
 

キャリブレーション機能について

 3基のオシレーターのピッチを個別にずらすことができる機能で、これを使うことで意図的にデチューン感のある厚い音色を得ることができます。パネル右側に配されている「PULL CALIBRATION」の TUNING A および TUNING Bつまみを引っ張り、PITCHつまみで調整することで音程のズレを作れるそうです。

KORG PE-2000
 
 

 本機の内蔵音色は倍音使いがほぼ前提みたいな感じなので、どの音色にかけてもデチューン効果の相性が良いですね。ストリングやコーラスにかけて合奏(合唱)効果を得るのにも有効だったと言えるでしょう。ちなみにこの頃のキーボードはそもそもピッチが余り安定していなかったので、自然とピッチがずれているなんてこともあったそうですが。。

 

 

 

筐体

 PE-1000同様、ハードケース一体型の筐体となっていて持ち運びには便利ですと言いたいところですが、ケース込みの本体重量は結構重く、電車で運ぶのはちょっと厳しい感じです。ただし48鍵で横幅は意外とコンパクトなので、カートだったら転がせないこともないです。
 
 
 

つぶやき

 8個のプリセット(4種の楽器)は非減衰系中心のものであり、アナログっぽい暖かく厚いパッド系の音色として今でも存在感を放っていると思いますよ。その独特なサウンドから今でも愛好家がいると聞きます。どちらかというと国内よりも海外でファンが多い一台のような気がします。
 
 
 ちなみに本機のストリングやコーラスなどといった音色は、今どきのサンプリング・シンセサイザーのものと比べたらそれっぽくなさが大いに感じられますね(笑)。それはそれで独特の味につながっているのですが、『たった1台のオーケストラ?』というキャッチコピーは若干ハードル上げちゃった感じですね、当時のコルグさん!
 
 
 
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仕様
■鍵盤:48鍵
■同時発音数:全鍵完全ポリフォニック
■プリセット音:8種(パイプ・オルガン1/2、コーラス1/2、ブラス1/2、ストリングス1/2)
■コントロール:アタック:1、サスティン:1、バス(トーン・コントロール):1、トレブル(トーン・コントロール):1、ピッチ:1、キャリブレーション・ch-ニング:A/B
■エフェクト:フェイズ・シフター×1
■外形寸法:800(W)×208(H)×495(D)mm
■重量:20kg
■発売当時の価格:270,000円(ケース一体式)
■発売年:1976年

 

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