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1970~80年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.136】Roland VK-1 ~コルグCX-3のライバル的?コンボ・オルガン[1979年]

2018/12/01

 

 

 今回ご紹介する機材は、1979年にローランドから発売されたコンボオルガン・「VK-1」です。ライバル機種といえるコルグCX-3とほぼ同時期(わずか数ヶ月の差)に発売されました。伝統的な9本のドローバーや、3種類のプリセット等はCX-3と似ていますが、その他の部分ではいくつか違いが見られますね。僕が認識している範囲で説明してみたいと思います。

 

Roland VK-1
 
 
 

はじめに・VKシリーズとは?

 2000年代にもVKと付くローランドのコンボオルガン・シリーズが出たので、割と最近の方でも「ローランドのVKといえばオルガン系」と認識されている人も多いと思います。一応VKシリーズのラインナップをまとめてみましたのでどうぞ。
 

VK-9(1977年)…61鍵×2段のキーボード、および9列×4組とベース鍵盤用3列を備えるハーモニック・バーを備えていた。定価は1,100,000円で、同社の最高級コンボ・オルガンとして華々しく登場した。
 
VK-6(1977年)…49鍵×2段のキーボード、9本×2セットのハーモニック・バーを備えた、いわば同時に発売されたVK-9の弟機。定価は585,000円
 
VK-1(1979年)…今回の記事の主役。詳細は後述。
 
VK-09(1981年)…小型な廉価モデル。キーボードは49鍵×1段だった。
 
VK-1000(1991年)…RHODESブランドで発売された76鍵×1段モデル。定価280,000円。
 
VK-7(1997年)、VK-77VK-8(2002年)、VK-88(2003年)、VK-8M(2003年)…新技術の「バーチャル・トーンホイール」方式を採用した新時代のコンボ・オルガン群。

 

 

VK-1仕様

 サイン波合成方式の音源に、VK-9/6譲りの性能を1段鍵盤のコンパクトな形状にまとめた小型のコンボ・オルガン。当時の定価は245,000円。2nd,3rd,5thを自由に組み合わせて様々なサウンド作りが可能。アタック時の鋭い音の立ち上がりを作り出す「ディケイ・ファースト」、音量を小さくする「ボリューム・ソフト」も装備しています。
 
 
 

プリセットについて

パネル上に「PRESETS」の項目があり、1~3まで独立したタブレット+「DRAWBARS PERCUSSION」タブレットが配されています。各音色は以下。
 
 1:アンサンブル
 2:フルティピアス(フルート系の音色)
 3:シアター・ブラス(重厚なブラス系の音色)
 
 
それぞれの音色は、タブレット(ボタン)によりワンタッチで呼び出すことができます。
 
 
 

内蔵のコーラス・ビブラートについて

 コーラス・ビブラートは、デプス(深さ)、スピード(速さ)のコントロールにより多彩なエフェクト効果を得ることができます。まあこれはレスリー・シミュレーターの代用といったところでしょう。パネル上に「DEPTH」「SPEED」ノブが独立して配されています。

なお、ドローバー音にビブラートをかけてもパーカッションはダイレクトのまま出力されます。

ちなみに本機にオーバードライブ(歪系エフェクター)のノブは装備されていません。

 

 

 

コントロール・ボタンについて

 そのスイッチのアクティブ時にLEDが点灯するソフトタッチのボタンとなっていて、同時代の同社のシンセサイザーにも採用されているボタンに近いですね。
 
 
 

その他

 ライン出力は一つしかないのですが、(リア・パネルにて)ロー/ミディアム/ハイを選択できるようになっています。またパネル左上にはチューニング用のノブが配されています。この頃のシンセサイザーを含めた電子楽器には、こういったチューニング用のノブがわざわざ設置されていたというのはあまり珍しくない感じでしたね。
 
 
 

つぶやき的な

 上位機種(VK-9/6)がなかなかの高額商品だったため、VK-1は1段鍵盤のコンボ・オルガンとしてそこそこのコスパを誇っていたと思います。とはいえ、仕様および発売時期の近いコルグ「CX-3」はさらに低価格だった上に(→196,000円)、ロータリー・スピーカーとの連携・操作性も高く、結果的にはコルグの方が圧勝だったという感じですね。。
 
 
 
 関連記事(Roland VKシリーズ他):
 「KORG (旧)CX-3/BX-3 ~レスリーとつなげてロックに鳴らす![1980年]
 「Roland VK-1000 ~Rhodesブランドのオルガン、否、シンセっぽくもある[1991年]
 「Roland VK-7 ~バーチャル・トーンホイール音源搭載のデジタル・コンボオルガ…
 「Roland VK-8M ~ローランド渾身のオルガンモジュール[2003年]
 

仕様
■鍵盤:61鍵盤
■ドローバー:16'、5 1/3'、8'、4'、2 2/3'、2'、1 3/5'、1 1/3'、1'
■プリセットボタン:1(アンサンブル)、2(フルテイピアス)、3(シアター・ブラス)、ドローバーズ&パーカッション
■パーカッション:2nd、3rd、5th、ボリューム・ソフト、ディケイ・ファースト
■コーラス・ビブラート:ON/OFF、スピード、ディプス
■外形寸法:1130(W)×148(H)×448(D)mm
■重量:16kg
■発売当時の価格:245,000円
■発売開始年:1979年

 

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