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ENSONIQ 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.97】ENSONIQ ASR-10R ~ASR-10のラック版!だけじゃない[1993年]

2018/11/25

 

 

 今回ご紹介する機材は、エンソニックのサンプラー「ASR-10R」です。発売は1993年で、当時の価格は428,000円。以前本ブログの「ENSONIQ ASR-10」の記事でも紹介しましたが、そのASR-10の直後にリリースされた同機のラック版(3U)です。

 

ENSONIQ ASR-10R

 
 ASR-10ではオプションだった「アウトプット・エキスパンダー(OEX-6sr)」、「SCSIインターフェイス(SP-3)」が標準装備になりました。その他の基本構造・スペックについてはASR-10とほぼ同じですので、そちらの詳しい内容については別記事「ENSONIQ ASR-10 ~EPS-16 Plusが進化した高性能サンプラー」をご参照ください。
 
 
 

基本性能(ASR-10のおさらい)

 サンプリング周波数44.1kHz、量子化ビット数 16ビット(リニア)。サウンド・ライブラリーは、ASR-10とはもちろん、前モデルのEPS-16 Plusとも完全コンパチブルとなっています。
 
 
 最大同時発音数は31音(※29.76kHz時)で、これは当時のサンプラーとしては世界一だったそうです。標準メモリは2Mバイトで、SIMMメモリ拡張により16Mバイトまで拡張可能でした。
 
 
 ステレオ・サンプリングに対応しており、サンプリング・タイムは標準2Mバイトで10.3秒(ステレオ44.1kHzの場合)、最大30.3秒(モノラル29.76kHzの場合)まで可能でした。

 

ENSONIQ ASR-10R(advertisement)
ASR-10R/エンソニックジャパンインコーポレイティド 雑誌広告より画像引用

 
 
 

ASR-10からの追加装備①・SCSIインターフェイス(SP-3)

 SCSIにて外部記憶装置(具体的にはハードディスク)に接続でき、ASR-10Rは2トラックのデジタル・レコーダーとして拡張性が格段に向上しています。デジタル・レコーダーに必要なタイム・ストレッチ/コンプレッション、パンチ・イン/アウト・レコーディング、トラック・ダウン機能なども装備しており、本機一台で行える音楽制作の幅が広がりました。なおこのデジタル・レコーダー部の主な仕様は、16ビットリニア、64倍オーバーサンプリング・ステレオ/モノ2系統録音、となっています。
 
 
 さらにオプションの「デジタルI/Oボード(DI-10)」を追加することにより、デジタル・アウトプット(S/PDIF形式)も可能になります。
 
 
 なおデジタル・レコーダーとしての録音時間については記憶媒体の容量に依存してくるのですが、メーカーからの案内では「100MBのハードディスクで約10分のステレオ録音が目安」とされていました。この場合100GBではありません、100MBですね!
 
 
 

ASR-10からの追加装備②・アウトプット・エキスパンダー(OEX-6sr)

 「OEX-6sr」ボードを標準搭載していることにより、ステレオ・アウト以外にも、6つのアウトプットを独立して出力することができます(→合計8パラ・アウト)

 

 

 

本機のVersion3について

 Version3から、アカイおよびローランド社のCD-ROMからもサンプル・サウンドのロードが可能になりました。これによりアカイ・ローランド両社の「Sシリーズ」の膨大なサンプル・ライブラリーを使えるということになりますね。当時のエンソニックの広告でも『ASR-10(S/R)は、世界一ライブラリーの多いサンプラーになりました』と謳われていました。
 
 
 

まとめ的な

 サンプラーとしての機能はもとより、外部へのハードディスクに直接2トラックのデジタル・レコーディングが可能になったのは大きかったと思います。音楽制作用ツールの一つとして、(当時の)最先端のフル・デジタル・レコーディング環境の一翼を担った一台だったのかもしれません。
 
 
 

つぶやき的な

 ちなみに本機の鍵盤付きモデルの「ASR-10」ですが、基本スペックはそのままに名称が「ASR-10S」に変わっているんですよね(Version3あたりから)。ラック版との名称の混同を避けるため、あえて無印から「ASR-10S」と改名されられたのでしょうか。ここら辺はちょっと謎です。。
 
 
 まあASR-10も、Version2.0からはSCSIインターフェイスも標準装備するようになったので、末尾の「S」はおそらくSCSIの意味でしょうが。。
 
 
 
 関連記事:「ENSONIQ ASR-10 ~EPS-16 Plusが進化した高性能サンプラー[1993年]
 

仕様
■最大同時発音数:31音(29.76kHz時)、23音(44.1kHz時)
■マルチティンバー数:8
■メモリー:インターナルRAM 2Mバイト(最大16Mバイトまで拡張可能)
■サンプリング:16ビット・リニア
■サンプリング・タイム:
 標準時:10.3秒(44.1kHzステレオ時)~30.3秒(29.76kHzモノラル時)
 最大拡張時(16Mバイト):91.5秒~271.4秒
■エフェクト:50アルゴリズム(一つのアルゴリズムに4つの複合エフェクト内蔵)
■外形寸法:432(W)×113(H)×381(D)mm
■重量:9kg  ※Version3は10.43kg
■発売当時の価格:428,000円(税抜)  ※Version3は348,000円(税抜)
■発売開始年:1993年

 

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