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KURZWEIL 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.91】YOUNG CHANG(KURZWEIL) MP-1 ~高品位ハーフラック・ピアノ音源モジュール[1994年]

2018/11/25

 

 

 今回ご紹介する機材は、YOUNG CHANG(ヤンチャン)が1994年に発売した、ハーフラック・サイズのピアノ音源モジュール・「MP-1」です。当時の価格は72,000円。MPとはマイクロ・ピアノの略ですね。本機の同時発音数は32音ですが、2台使いをすることで64音ポリまで拡張することができます。

 

KURZWEIL MP-1
 
 
 

“KURZWEIL(カーツウェル)” MP-1じゃないの?

 MP-1は、94年の発売当初は「YOUNG CHANG」ブランドで出されていますが、96年頃から「KURZWEIL」ブランドになっています。とはいえ型名および中身は同じです。なおYOUNG CHANGとKURZWEILについては、本記事の末尾に注釈としてまとめておきましたので、興味のある方は読んでみてください(※1)

 

KURZWEIL MP-1(advertisement)
KURZWEIL MP-1/(株)ハーモニックス 雑誌広告より画像引用

 
 
 

音はどうなの?

 ピアノを中心とした高品位な32音色を内蔵しています。定評あるグランドピアノのサンプルを筆頭に、オルガンやストリングス、さらに「ピアノ+ストリングス」、「オルガン+ピアノ」などのコンビネーション音色も収録されていました。
 
 
 音源の顔ともいえるアコースティック・ピアノの音色は非常によいですね。やはりサンプリングの技術がよかったためでしょうか。個人的には、エッジの効いたきらびやかなダイノマイ・ピアノ(ダイノマイ・ローズ)の音色が素晴らしかったと記憶しています。ウーリッツァー系の音色が一つもなかったのは残念ですが、ステージ・ピアノ系のローズの音は充実していたと思います。

 

 

 

その他の機能は?

 エフェクターを16種類内蔵しています。これらは空間系中心であり、リバーブやコーラス、あるいはそれらを組み合わせたコンビネーション・エフェクトからなります。音場に合わせてその場で変更できるのは便利だったと思います。なお、チューニングおよびトランスポーズ機能も付いています。
 
 
 それにしても本モジュールのパネルは非常にシンプルで潔いですね! 操作も簡単であり、色々な現場に気軽に持っていけるピアノ・プレイヤー向けの一台といっていいでしょう。
 
 

K2000シリーズとの連携

 MP-1は当初、拡張性の高い同社のシンセサイザー・K2000シリーズのオプション音源としてリリースされました。そのため、最初から「K2000JX+MP-1 …420,000円」、「K2000RJX+MP-1 …410,000円」のように、セットにして販売されたりもしました。
 
 
 

個人的かんそう

 90年代中頃は、ハーフラックのピアノ音源モジュールが他社でも多く発売された時期でもありました(Roland P-55、YAMAHA P50-m、AKAI SG01pなど)。その中でこの「MP-1」は音の良さで評価が高かったように思います(他社よりお値段も高めだったけど)
 
 
 個人的に試奏した限りでは、中域のふくよかさと全体の上品な深みが感じられ、「高いだけあるわー」と感じたのを覚えています。
 
 
 小型で持ち運びに便利であり、ピアノに特化したモジュールって今ではないので、いい状態の中古が見つかったら購入検討に入れてもいいかもと思います。
 
 
 
 関連記事(90年代のコンパクト・ピアノ音源モジュール):
 「YAMAHA P50-m ~ハーフラック・ピアノ音源モジュール[1996年頃]
 「AKAI SG01p ~ハーフラック・ピアノ音源モジュール[1995年頃]
 「Roland P-55 ~ローランドDTMモジュール・“SOUND CANVAS”のピアノ特化版
 「E-mu PROFORMANCE /1 ~E-muが作ったピアノ音源専用モジュール[1990年]
 
 
 

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※1 …Young Chang社は韓国の楽器メーカーであり、スタインウェイ(Steinway & Sons)の第3ブランド「エセックスピアノ」(→低価格帯のピアノ・ブランド)のグランドピアノを現在でも製造している。

 Kurzweil Music Systems社は、1980年にレイモンド・カーツウェル、音楽家のスティーヴィー・ワンダーらによって設立されるものの、一時破産。その後の1990年、レイモンド・カーツウェル氏はYoung Chang社に会社を売却し、Kurzweilブランドは韓国YOUNG CHANGの傘下となり、現在でも事業を継続している。
 

仕様
■最大同時発音数:32音(※2台接続で64音まで拡張可)
■音色数:32
■エフェクト:16種類
■チューニング:±50セント
■トランスポーズ:±2オクターブ
■MIDI:16チャンネル
■外形寸法:212(W)×38(H)×243(D)mm
■重量:0.96kg
■発売当時の価格:72,000円
■発売開始年:1994年

 

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