【Vol.38】CLAVIA NordLead(初代) ~回顧録
2018/11/23
以前本ブログで公開した「CLAVIA NordLead(初代) ~赤い彗星のごとく現れたアナログモデリング・シンセ[1995年]」という記事の続編になります。前回とは違い、僕の個人的思い出も盛り込まれていますので何卒。
NordLeadはちょうど僕の楽器屋勤務時代にも仕入れたことがあって(1995~96年頃)、展示品を色々と研究しましたですよ。ちょっと色々書いてみましょう。
特徴的な外観・コントローラー
まずはボディの赤! 赤のシンセといえばNordというほど、代名詞的になったカラーリングですね。そしてピッチベンダーが木! 指を乗せるために中央がくぼんだデザインも斬新でした。
本機が生まれたスウェーデンは木材で知られていますし、開発者曰く、もっと多くの部分に木材を使うつもりだったらしいです。ただそれだとコストが上がってしまうから、ピッチ・スティックのみに採用されたそうですよ。
さらにモジュレーションホイールは石調! 感触も細かなざらざらで滑りにくいです。これも、開発時には本物の石を使うことを考えていたらしいです。日本でも「モジュレーションホイールは石でできている!」という誤報が飛びましたが(笑)、実際はアルミニウム製だそうです。
当時は軽かった
そして何といっても軽かったです。今でこそ6~7kgのシンセは珍しくないですが、当時はぶっちぎりで軽かったでした。このシンセ、何の経緯か覚えてないけど一度分解したことがありまして。。そうしたらコントローラーが集中している中~左上部以外はほぼ「空洞」でした。そりゃ軽いわけだ。
出音の方は
フィルターが結構いい感じだと思いました。当時のデジタルシンセの中でもフィルターがコントロールできるものもあったのだけど、デジタル特有の細くて高域ばかりが耳にくる音が多かったですね。その点NordLeadは、フィルター開き気味の高音もばっちり抜けてきて存在感大でした。抜け過ぎて普通のバンドサウンドの中では浮いてしまうかもと心配したほどです。
本機はエフェクターを内蔵していないので、実際、良くも悪くも生音でオケに混ぜるとあまりなじまなかったそうですね。当時のユーザーは、ZOOM辺りのお手頃なマルチエフェクターをかまし、空間系で広がりを出してなじませるなどの工夫をしていたという話も聞きます。
あとNordLeadはデフォルトで4音ポリなんですよね(※12音まで拡張可能)。ソロリード系の音色よりも、ポリフォニックでの使用を想定した音色や、オシレータ・シンク系音色などが充実していたような気がします。ちなみに外部メモリーは(パソコンの世界で長らく使われた)PCMCIAカードを使用しています。
まとめ的な
発売から20年以上も経つ本機ですが、同社の以降の別カテゴリー(electro、stage、wave、オルガン等)も含め、デザインはほぼ共通してるんですよね。カラーリングは一貫して赤というブレなさ(笑)
さすがにライブ機材セット丸ごとNord一色というプレーヤーにはまだお目に掛かったことはありませんが、居てもおかしくないかも、赤い彗星。
そんなわけで楽器屋にも中古としてたまに置いてあるのを見かけるので(後継機含む)、機会があればぜひぜひ試奏してみてください。
関連記事(90年代中頃の各社アナログ・モデリング・シンセ)
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仕様
■鍵盤:49鍵(4オクターブ・ベロシティ対応)
■最大同時発音数:4音(※12音に拡張可能)
■音源:バーチャル・アナログ・シンセシス
■音色数:99(40プログラマブル)、8パーカッション
■外形寸法:865(W)×105(H)×265(D)mm
■重量:6.7kg
■発売当時の価格:230,000円
■発売開始年:1995年