【Vol.278】Roland SB-55 ~SC-55と同時発売のMIDIファイル・プレイヤー[1991年]
2018/11/26
今回紹介する電子機材は、ローランドが1991年に発売した「SOUND BRUSH SB-55」というハーフラック型・MIDIファイルシーケンサーです。当時の定価は59,000円(税別)でした。これは何かと言うと、本体に3.5'FDD(2DD)を搭載しており、スタンダードMIDIファイルに準拠した音楽ファイルをロードさせ、手軽にプレイバック(演奏)できるといった箱なのです。
まあ形状だけ見れば、80年代ファミコンの「ディスクシステム」みたいなものですね。え?違う?? そもそも知らない???(大汗)
サウンドブラッシュ・SB-55仕様
スタンダードMIDIファイル(以下SMF)に準拠したシーケンサー。他社のシーケンサーおよびシーケンス・ソフトで作ったSMF形式の曲データを本機にて再生できる他、SB-55本体でも簡易録音が可能(SMF フォーマット0で記録)。手軽なリアルタイム・レコーダーとして使うこともできます。
同社で言うところのMC-500やMC-50のように、本体でノート情報を入力したりエディットしたりといったことには対応しておらず、既に完成されているデータのフォーマットを統一し、まとめて演奏(再生)させたり管理するための機器といったところですね。
SMFは音楽データフォーマットにおける共通規格なので、IBMだろうがATARIだろうがNEC PC-98だろうが、当時2DDでフォーマットされたSMF形式のファイルディスクはそのまま読み込んで再生することができました(→ただし最初にSB-55にてディスクをフォーマットしておく)。なおMacintoshでは一部 “Apple File Exchange”というソフトを使ってコンバートが必要になる機種もあるそうです。
SC-55, SB-55/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
待ち時間が無いデータロード
演奏中(データ再生中)にディクス上の曲データを次々ロードし、待ち時間ゼロで連続演奏が可能です。リピートして演奏したり、はたまた曲の指定した区間だけをリピートして演奏させるといったことも自在。また全体の曲順をプログラムして演奏することも可能なので、ライブでは「ロードのための時間」のためだけにMCを強引に引き延ばすといったことを避けることもできます(笑)
なお、のちのRoland XP-50でも似たような機能(→クイック・プレイ機能)が搭載されていますね。僕は実際ライブでXP-50を使って、この機能を普通に便利に使っていました。
関連記事:「Roland XP-50 ~マイ・ファーストシンセ回顧録[1995年]」
データ管理ができる
複数のディスクにまたがって記録されているデータの中から、演奏したいデータを1枚のディスクにまとめる(コピーする)ことが可能。なおコピーには、1曲だけコピーする方法とディスク全曲のコピーをする方法があります。
同社のMCシリーズとのデータ互換性について
MC-50、MC-500mkII、MC-300、MC-500で作ったデータは、SMFコンバーター(別売りのMRM-500)を使って曲データをSMF形式にコンバートすることが必要になります。同じメーカーでありながら、パソコンで作ったデータよりも変換が面倒というのもどうかと思いますが(笑)、MCシリーズは元々そういうことを想定して作られたわけではないので致し方ないところでしょうか。。
関連記事:「Roland MC-500 ~ソフトウェアで機能が変わるMIDIシーケンサー否、コンピューター[1986年]」
カード型リモコン付属!
SC-55の記事でも書きましたが、本機には(SC-55と共通の)赤外線リモコンが付属しており、ちょっと離れた場所からでも一部の操作(SONG、TEMPOの変更、シーケンサーの再生/停止/早送り/巻き戻し)ができます。
まあ確かに本機を再生専用機器と捉えれば、それこそCDコンポ感覚で曲の操作(再生/停止など)がリモート操作できるというのは便利だったと思います。MIDIデータゆえ「TEMPO」を変えても音程は変わらないので、(観賞目的として)寝っ転がりながら好きにテンポを変化させて楽しむといったこともできたと思います。
ちなみに本体リアパネルにある「PLAY/STOP」端子にペダル(Roland DP-2)をつないで、足での再生/停止もコントロール可能です。
つぶやき的な
DTM音源モジュール・SC-55と同時発売された本機ですが、見た目は非常によく似ていますね。型番の数字も同じだし付属リモコンも共通仕様、右側のボタン類も激似(機能はもちろん違うが)。まさに “兄弟機”といった両機の関係です。SC-55と使用目的は全く違えど、デザインが似ていて軽快に使えたという意味では近いものを感じます。
この手のMIDIファイル・シーケンサーはやがてシンセサイザーに統合され消えていったのですが、90年代初頭にこんなものもあったということで記憶の片隅にでも留めておけばいいんじゃないかな、といったところです。
関連記事:
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仕様
■トラック数:
フォーマット0 →1(16チャンネル)
フォーマット1 →17(16チャンネル/トラック)
■データフォーマット:
(演奏時)スタンダードMIDIファイル(フォーマット0,1)
(録音時)スタンダードMIDIファイル(フォーマット0)
■再生可能テンポ:5~260
■搭載ドライブ:3.5インチFDD(※2DD専用)
■外形寸法:218(W)×44(H)×233(D)mm
■重量:1.7kg
■発売当時の価格:59,000円(税別)
■発売開始年:1991年