ピアノ教則本「バイエル」について思うこと
2018/11/23
唐突ですが、ピアノ教則本といえば「バイエル」を挙げる人も多いのではないでしょうか。
実際、バイエルは日本に最初に入ってきた教則本であり(1880年代)、現在でも売り場に並んでいるほどのド定番・超ロングセラーの教則本です。「バイエル中級程度で弾ける〇〇」などのように、難易度の基準にもなっています。
バイエル教則本は今から160年くらい前(1850年代)に初版され、ピアノを学ぶ者に最適な入門書ということになっていますが、今でも本当にそうなのでしょうか。ちょっと考えてみましょう。
そもそもバイエルに種類とかはあるの?
「子供のバイエル」と呼ばれるもので上下巻あります。上巻はその色から通称「赤バイエル」と呼ばれていて、初めてピアノを習う子どもが弾くという感じです。
下巻は「黄バイエル」と呼ばれていて、両手で弾くことに慣れてきたぐらいから始める感じです。以下のように番号で分かれています。
赤バイエル 1~43番
黄バイエル 44~106番
あと、いわゆる大人用のバイエルもあります。文字も楽譜も子供用に比べ小さくなっていて、上下巻が1冊にまとめられています(僕は大人用を買いました)
※私物のバイエル。よく見ると赤ペンで注意点とかが書いてあった。
バイエル習得にかかる時間はどれくらい?
前半は片手だけなのですいすい進みますが、後半になるにつれ複雑になってきます。特に最後の106番は、仮に僕が今やっても相当骨が折れると思います。やらないけど
週1でピアノ教室に通ったとして、年間45回のレッスンを受けるとしましょう。1週間で1番こなしていくとしても、2年4ヶ月はかかる計算になります。実際は、特に後半部においてはそう簡単に先生のOKはもらえないでしょう。
「2年でバイエル修了のお墨付きを先生からもらった」という人は、相当努力して毎日こつこつ練習したのだと思います。
バイエルに思うところ(個人的意見)
まず、つまらないです(笑)。もう超絶つまらない。同じようなメロディ、曲が延々と続きます。この教則本が生まれたのが19世紀半ば頃の話なので、ジャズもロックもプログレもまだ登場していない時代ですね。
誰しもアニソンとかヒット曲とか弾きたい曲があるだろうし、100年前も現代も「初心者にはとりあえずバイエル」という考え方はやや古いかなと思います。
ハ長調の期間が長いので、ずいぶん後で出てくるシャープやフラット(→黒鍵)を難しいものと感じ、苦手意識を植え込まれることもありますね。実際、ハ長調以外は「難しいから練習したくない」「黒鍵多いのは無理」という人もいます。(僕も多少これ入ってます 汗)
ではバイエルは本当に終わってるの?(個人的意見含む)
実際、近年のピアノ教育界では「バイエル離れ」が進んでいるようです。最近では初心者を飽きさせないよう色々工夫を凝らした他の教則本も出ています。ただ、バイエルの導入にはピアノ連弾があり、ここだけ使う人もいるようです。
バイエルは必ずしも全部完璧に弾けるまで練習するという感じではなく、あくまで最初の導入として利用して、弾きたい曲が最低限弾けそうなレベルに達したら勝手に卒業するというのがいいかなと思ったりします。
「小さい頃ピアノを習っていた」という人は、高確率で今でもバイエルを持っています(たぶん)。なのでとりあえずお借りして進めてみるというのもいいかもしれませんね。