ピアノのソステヌートペダルについて
2018/11/28
以前本ブログで『ピアノのソフトペダルについて ~電子的(MIDI)補足もあるよ』という記事を書きましたが、今回は「ソステヌートペダル」についてちょっと触れてみましょう。一般的な3本ペダルを備えたグランドピアノにおいて、真ん中のペダルがそれに当たります。
画像真ん中がソステヌートペダル
ソフトペダルでの記事でも書きましたが、一般的には、音に響きや広がりを与える「ダンパーペダル」(→一番右側)ばかりを使う機会が多く、「ソステヌートペダル」の存在すら知らない人も多いかと思います。というわけで、今回はピアノペダルの真ん中にあるこのペダルについてちょっと書いてみます。
「ソステヌートペダル」について
特定の一音だけを長く伸ばす機能。例えば左手小指で低音の一音(→ルートとなるベース音)を残しておきたい状態で、他の音を両手を使って普通に弾く時などに有効と言えるかもしれません。
アクション的には、ペダルを踏んだだけではダンパーペダルのように差し当たって変化は見られません。音を鳴らした(打鍵した)直後にこのペダルを踏むことにより、鳴らした鍵のダンパーだけを弦から離しておくことができます。
また打鍵時の音に対応するダンパーのみを弦から離すため、他の弦との共鳴(共振)も発生しないということになります。
楽譜上では「pedale sostenuto」(あるいは略して p.s.)と書かれていることがあります。ドビュッシーの一部の曲(の一部の箇所)で登場するらしいのですが、僕はクラシック曲はあまり詳しくないので、その辺りは恐縮ですが割愛させて頂きます。少なくともポップス/ロックの楽譜でソステヌートペダル指定の記号はお目にかかったことはないですね(笑)
一般的なアップライトピアノの場合
なお上記のソステヌートペダルは基本的にグランドピアノならではの機能であり、一般的な家庭向けアップライトピアノでは全く機能が異なります。アップライトでは、ふつう真ん中のペダルは “弱音ペダル”(弱虫ペダルみたいだ…)の機能が割り当てられています。
呼び名は色々あって、消音(ミュート)ペダル、マフラーペダルなどと称されることもありますが、要するに夜間演奏や住宅地での練習環境を配慮した音量を下げる機能といったところです(踏んで左にロックさせることにより、弱音が固定される機種もある)
音量を下げるといえば、以前本ブログでも紹介した「ソフトペダル」もほぼ同等の機能と言えますが、アップライトの真ん中ペダルは演奏表現として取り入れることは普通ありませんね。単に音量を落とすためです。
ちなみに一部の高級モデルでは、アップライトでもグランドと同等の機能を有しているものもあるみたいですよ。
MIDI的なソステヌートペダル補足
MIDIコントロールチェンジ・ナンバーでは66番(CC#66)にソステヌートペダルが割り当てられています。なおMIDIではソステヌートのことを「コード・ホールド」と呼ぶこともありますね。
ソステヌートペダル:CC#66
データ値:0~127(00~7F)
グランドピアノの場合は、ダンパーペダルを踏むと(=ダンパーを上げると)押していない弦まで共振するようになっています。ソステヌートペダルはダンパーよりも響き過ぎない程度に響かせたい時に使われるケースもあるみたいですが、電子楽器の場合は弦が振動するという物理現象は起こらないので、これまたあまり積極的に使われるケースは見受けられませんね。。
完全に個人的つぶやき
このようにソステヌートペダルは古典音楽・現代音楽においても滅多に登場しない(と思われる)、非常にレアな演奏機構と言えるかもしれません。だったらその機構を丸っと省略してしまえば、ピアノの製造コストも若干下げられるのではと思ったりします(素人考えですみません)
とはいえ、僕のお気に入りピアニスト/キーボーディストである塩谷哲(しおのや さとる)さんは、ピアノ演奏においてソステヌートペダルを効果的に取り入れているとの旨を過去のインタビュー記事で読んだことがあります。今度塩谷さんのコンサートに行く機会があったら、(ダンパー以外の)ペダルも注意深く観察してみたいと思います。