イタリア・ローマで世界最古のピアノと対面す ~ローマ楽器博物館【Museo Nazionale degli Strumenti Musicali】
2019/02/03
つい先月イタリアの「ローマ楽器博物館【Museo Nazionale degli Strumenti Musicali】」に行ってきたのでレポートしてみたいと思います。ここには、ピアノの発明者であるバルトロメオ・クリストフォリ(1655-1731)が製作したオリジナルのピアノが展示してあることで、ピアノ弾きの人にとっては超重要な博物館なのです!
クリストフォリさんは生涯に20台ほどのピアノを製作したと言われていますが、現存しているクリストフォリ・ピアノは、メトロポリタン美術館(1720年製)、ローマ楽器博物館(1722年製)、ライプツィヒ大学楽器博物館(1726年製)に保管されている3台のみ。今回のローマ楽器博物館に展示されているそれは正確には最古ではないんですよね。。それでも貴重なことには変わりないので、地図を片手に向かってみたわけです。
なお情報(および展示楽器)は2017年5月現在のものです。最新の情報はホームページや旅行代理店等でご確認ください。
エントランスまでの小径。
看板発見。
こちらが入口です。
受付はショップを兼ねたこじんまりした感じ。入館料は5ユーロでした(2017年5月現在)。有料なのにパンフレットも何も渡されませんでした。
展示室は2階にあるので階段を上ります。
上ってすぐの部屋にありましたよ! 今から約300年前に作られた本物の「クリストフォリ・ピアノ」です!
写真撮影を伺ったところOKとのことでした(ただしフラッシュはNG)
鍵盤部には透明なカバーが掛けられていました。
正面から見るとこんな感じ。
現在のピアノと大きく異なる点は、低音部の弦が高音部の弦と同じように細いところ、でしょうか。
弦が細いです。
下からも覗き込んで撮影。間に板をかませてあり、ひょっとしたら脚部はオリジナルではないのかもしれません。この写真、何気に資料画像として価値があるのではないでしょうか(笑)
そしてハンマーアクション部の構造模型もありました。これはいたってシンプルな構造ですね。クリストフォリさんは、弦をハンマーで叩いて(大きな)音を出すという仕組みを発明したとも言われており、これによりチェンバロなどに比べて鍵盤楽器でも大きな音が出せるようになったと言われています。
実はこれ「浜松市楽器博物館」にも同様のレプリカがあって、両方とも実際に押してみたということになります。フラッシュバック!
関連記事:「浜松市楽器博物館に行って来たった!(2017年4月某日) ~古典鍵盤楽器編」
クリストフォリさんに関する記述。
同室には、2009年に作られたらしい世界最古のピアノのレプリカもありました。
個人的かんそう
現存する最古のピアノ(の中の一台)を拝ませて頂き、今後の生きる糧にしたいと思っています(笑)。なおこの世界最古のピアノに限らず、館内にはその他の珍しい鍵盤楽器や弦楽器などがいくつか展示されていましたが、本記事では割愛させて頂きました。
ちなみにこの博物館はこういった目玉展示がありながら、知名度や実際の入館者は多くなく、旅行会社のツアーでは「ローマ観光で立ち寄るべきスポット」としてまず組み込まれないことでしょう。実際僕が訪れた日もガラガラでほぼ貸切状態でした(だからこそ大胆な写真も撮れたのですが)
なお、今回僕が拝観した展示品はごく部分的なコレクションだけだったそうです。同館の館内整備や楽器修復などは数年前からずっと続いているそうで、どうやらお金がないため作業が一向に進んでおらず、完全なオープンは今後も全くめどがついていないらしいです。
うーむ、確かにローマには他にも強力な観光スポット(美術館含む)が多数ありますし、メインのスポットとは反対方向のこの小さな博物館にはあまり人が集まらないというのもちょっと納得かも。。だからこそわざわざ行った人はレアなピアノが拝めるということで、ローマに個人で旅行に行ったら一度は立ち寄ってみることをお勧めしますよ!
アクセス方法(個人的意見含む)
ローマ地下鉄A線サン・ジョヴァンニ駅(San Giovanni)から、地上部出口を出て徒歩7~8分程度。テルミニ駅を起点とすると、スペイン広場やバチカン方面とは逆の方向の電車に乗ることになります(→テルミニ駅から3つ目の駅)。ただしテルミニ駅からでも歩けないことはなく、実際僕は歩いて向かいました。迷いながら徒歩約45分でしたが、迷わなければ30分ほどで着くでしょう。
ローマ楽器博物館は地元でもそれほど有名ではないらしく、途中複数の現地人(らしき人)に地図を見せながら道をたずねても、「ああサン・ジョヴァンニ駅なら知ってるよ!」と的外れの回答を頂くこともしばしば。。
なので、GPS(Pocket Wi-Fi)などを使わず地図片手に向かう人は、すぐ近くにあってとっても目立つ「サンタ・クローチェ・イン・ジェルサレンメ聖堂【Basilica di Santa Croce in Gerusalemme】」の正門を目指して歩くことをお勧めします。
こちらがサンタ・クローチェ・イン・ジェルサレンメ聖堂。ここの向かって左側にローマ楽器博物館の入口に向かう門(通路)があります。
こちらが入口の門。博物館のエントランスはさらに奥にあります。
右の柱のアップがこちら。「MUSEO DEGLI STRUMENTI MUSICALI」の文字が見えるでしょうか。英語にするとおおむね「Museum of musical instruments(楽器の博物館)」みたいな意味です。
この看板を発見した時には思わずほっとしました。
Piazza di S. Croce in Gerusalemme, 9/a, 00185 Roma, イタリア
http://www.museostrumentimusicali.it/
営業時間:8時30分~18時30分(火曜日~日曜日)
定休日:月曜日