【Vol.15】Roland JP-8000 ~「衝撃」走るっ![1996年]
2018/11/23
今回ご紹介する1台は、ローランドが1996年に発売したアナログモデリングシンセ「JP-8000」です。当時の定価は158,000円でした。
nordlead2とほぼ同時期にリリースされたといっていいのかな? 鍵盤数も同じ49鍵だし、バーチャルアナログシンセという開発コンセプトは似ていたと思うのですが、両機種の競合は起こらなかったですね。まあサウンドキャラクターは違うし、価格にも差があったし。
このJP-8000、僕が楽器屋に勤めていて仕事に燃えていた(笑)時期とどんぴしゃ重なっていて、購入はしなかったのですが、これまた個人的に思い出深い一台となっております。
当時ローランド名古屋の営業さんが「衝撃のシンセが発売されますよ!」と大々的にプッシュしてきたのが印象的でした。その営業さんに限らず、本シンセの(メーカーサイドからの)キャッチコピーが、
「衝撃」
の2文字だったように思えます(笑)
実際、東京の楽器フェアに行った時もこのシンセが大きく取り上げられていました。会場ではP-MODEL(当時)の福間創さんがデモ演奏をしていたのを覚えています。
個人的回想
音の方はというと、「SUPER SAW」(ノコギリ波を何層もレイヤーしたような音)の音色が印象に残ってるかな。ローランドの営業さんは、この「SUPER SAW」の音圧がスゴすぎて開発中にスピーカーを何本も飛ばした、という話をしてたっけ。。
当時、音楽ジャンルとしてのトランスが流行っていた時期で、一時期トランスに傾倒していた小室哲哉さんも本機を使っていましたね(globe tour 1998 Love againなど)。
ポリフォニックモードだと8音まで同時発音が可能で、まあ確かに音の厚さはそこそこあったと記憶していますが、そんなに「衝撃」という感じでもなかったなぁ。。言ってみれば国産シンセらしいまとまりとゆうか、あまりとがった印象ではなかったです。
実際、このシンセをメインに使用していた人は当時あまり見かけなかったですね。広告ばかりが記憶に残っていて、ユーザーはそれほど反応しなかったという、“勝手にハードルを上げられてしまったかわいそうなシンセ” のような気がしてなりません(笑)。個人的にはね。
購入特典:ケンイシイの非売品CD
当時新品で購入すると、ケン・イシイが本機の音色を使って作った、オリジナルトラックのCD(非売品)が数量限定で付いてきました。ケン・イシイといえばいわゆるテクノの人で、その斬新なトラックもさることながら、当時は正体不明的なイメージも相まって、カリスマ的人気を得ていましたね。
そんなわけで、テクノ好きのお客にこのシンセを売り込む時は、
「ケン・イシイの非売品CDがもれなく付いてますよ! 相当レアですよー」
と連呼してたっけなぁ。。実際そんなに売れなかったけど。
JP-8000/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
まとめ的な
これから中古で購入を検討している人にとっては、最初の1台としてはおすすめしにくいところですが、アナログモデルに親しむ用途だったらアリかもしれません。安くなってるしね。
でも予算があれば同社のGAIAを新品で買った方がいいですよ(笑)
関連記事(90年代中頃の各社アナログ・モデリング・シンセ):
「CLAVIA NordLead(初代) ~赤い彗星のごとく現れたアナログモデリング・シンセ」
「YAMAHA CS1x ~グルーヴィにつまみを回せ![1996年]」
仕様
■鍵盤:49鍵(ベロシティ付)
■最大同時発音数:8音(ポリフォニック・モード侍)、1音(モノフォニック・モード時)
■音源:アナログモデリング音源(オシレーター数2、オシレーター・タイプ7)
■OSC1:SUPER SAW、TRIANGLE MOD、NOISE、FEEDBACK OSC、SQUARE(PWM)、
SAW、TRIANGLE
OSC 2:SQUARE (PWM)、SAW、TRIANGLE、NOISE
■音色数:プリセット(パッチ128、パフォーマンス64)
ユーザー(パッチ128、パフォーマンス64)
■外形寸法:925(W)×112.3(H)×348.7(D)mm
■重量:7.9kg
■発売当時の価格:158,000円
■発売開始年:1996年