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BOSS 楽器・機材【Vol.〇〇】

DI(ダイレクト・ボックス)とは何か? ~代表機種「BOSS DI-1」のご紹介

2018/11/18

 

 

 今回は、ライブハウスやレコーディングスタジオなどでしばしば見掛ける「DI(ダイレクト・ボックス)」を取り上げてみましょう。「DI(ディーアイ)」と呼ばれることもありますね。
 

BOSS DI-1

BOSS DI-1

 
 ライブハウスなんかでステージ上に転がっているのを見たことがある人も多いかと思います。そう、楽器からの出力ケーブルをつなげるあの小さな箱のことです。
 
 
 

でDI(ダイレクト・ボックス)って何?

 エレキギター/アコースティックギターやベース、あるいは電子キーボードなどの楽器を、ミキサーに直接接続するための機械のこと。
 
 
 正式には「ダイレクト・インジェクション・ボックス【Direct Injection box】」というのですが、なぜか “DB(デービー)”と略されることはありませんね。。なお英語の “インジェクション”とは一般的には「投入する」という意味ですが、ここでは “(ケーブルを)ぶっ挿す”みたいな意味でいいと思います(笑)。つまり “ダイレクトにつき挿す(ことができる)箱”みたいな意味。割とそのまんまですね。
 
 
 DIを通過した音声信号はジャンクション・ボックスなどを経て、数m~数十m離れたメインのミキサーに送られることになります。
 
 
 

ダイレクト・ボックスの主な機能

以下、大きく2つの働きがあります。

①インピーダンス変換

 エレキギターやエレキベースのような電気楽器は出力インピーダンスが非常に高く(数百kΩ~数MΩ)、そのまま接続すると音声レベル(言ってみれば音のパワー)が低下してしまいます。これをロー・インピーダンスのミキサーや、ギター向けではないアンプの入力につなげて増幅しようとするといわゆるノイズ(雑音)が乗ってしまうことに。そこでDIは、電気楽器から直接ミキサーに接続するためのインピーダンス変換機の役割を果たします
 
 
 まぁ文系の人にとってはそもそも「インピーダンスって何だ?」ってハナシですよねぇ。。高校物理で習った人も居るかもしれませんが、“抵抗値”とざっくり捉えてよいと思います。
 
 
 ギターのように信号を出力する側を「出力インピーダンス」、アンプ(やミキサー)のように信号が入る側を「入力インピーダンス」と言うことを踏まえた上でさしあたって双方の機材の入力・出力インピーダンスの値が同じになればよい音になると覚えておけばよいと思います。
 
 
 ちなみに電子楽器やキーボードはロー・インピーダンス出力なので、インピーダンスに関してはあまり気にすることはありません
 
 
 

②アンバランス(不平衡)信号→バランス(平衡)信号への変換

 一般的なシールド(フォーン)はいわゆるアンバランス型。これはお手軽ではありますが、長く引き回す際にはノイズが載りやすくなるという欠点もあります。そこでアンバランス→バランス変換を行うことでノイズを減らす効果が期待できます。
 
 
 一般にエレキギターやエレキベース、電子楽器(シンセサイザー等)はアンバランス出力であり、DIにてバランス出力に変換することにより、ケーブルを長距離伝送するケース(ライブハウスやコンサートホールなど)でノイズ軽減的観点から有用と言えます。
 
 
 余談ですが鍵盤楽器においては、一部のハイエンド・シンセサイザーやステージピアノにて、標準でバランス端子(XLR端子)を備えている機種もありますね。YAMAHA CP4 STAGE、Roland INTGRA-7などなど。

 

 

 

BOSS DI-1について

 BOSSの「DI-1」は、ダイレクト・ボックスの中では定番中の定番モデルであり、1985年の登場から30年以上販売され続けている超ロングセラー機。電源を使用するいわゆる「アクティブ型」に分類されます(※1)
 

BOSS DI-1(front)

こちらは正面(主に入力側)のパネル。主要どころを簡単に説明してみましょう。
 
 
INPUT …楽器からの音声信号を入力する端子。つまり楽器のケーブル(シールド)はこの穴に挿すことになります。なおこの端子はスイッチ兼用になっており、プラグを接続すると電源ONになり、抜くとOFFになります(※ただし電池動作時。ファンタム電源使用時は電源スイッチとしては働かない)
 
 
PARA OUT …パラ・アウト端子。上記のインプット・ジャックに入力された信号がそのまま出力されます。ここから自分用スピーカーにつなげてモニターするなどといった使い方ができます。
 
 
 あと「UNBALANCE OUT」や [ATT]スイッチは、主にギタリストが使うものとざっくり捉えておけばよいと思います。なお電子楽器やキーボードなどはアッテネーター[0dB]でOKです。

 

BOSS DI-1(rear)

こちらは背面(出力側)のパネル。
 
 
BALANCE OUT …バランス・タイプの入力端子を持つ機器(ミキサーなど)の接続に使用。
 

BOSS DI-1(advertisement)
DI-1/ボス(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

DI-1の電源について

 DI-1では「006P/9V」という角ばった電池を1個内蔵できるようになっていて、それにより電源を供給します。

 『ということは何かい、電池の消耗を常に気にしてないといけないんじゃないのかい?』
 
 という心配?が湧いてくるかもですが、無音の状態が約15分間続くと自動的に電源がOFFする仕様となっています。そもそも消費電力もごくわずかですし、四六時中稼働させるわけではないと思われるので、そこのところはあまり気にしなくてよさそうです。
 
 
 またファンタム電源にも対応しているため、ファンタム電源内蔵のミキサーから電源を供給することも可能です。
 

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仕様(BOSS DI-1)
■電源:電池(9V DC 006)×1、 もしくはファンタム電源24V~48V DC
■定格入力レベル:-20dBu/0dBu/+20dBu(切り替え式)
■最大入力レベル:+45dBu(1kHz)、390Vp-p
■入力インピーダンス:4.7 MΩ/37 KΩ/33KΩ入力アッテネーターに対応して切り換え(オート・パワースイッチがONの時)
■定格出力レベル:
 -18 dBu (600Ω負荷、バランス・アウト)
 -20 dBu (50kΩ負荷、アンバランス・アウト)
■最大出力レベル:
 +8 dBu (600Ω負荷、バランス・アウト)
 +8 dBu (50kΩ負荷、アンバランス・アウト)
■出力負荷インピーダンス:200Ω以上(バランス・アウト)、10kΩ以上(アンバランス・アウト)
■周波数特性:20Hz~40kHz(+0.5/-1dB)
■消費電力:6mA
■外形寸法 96.5(幅)×46(高さ)×125(奥行き)mm
■質量:480g

 

 

 

その他の機種

BEHRINGER (ベリンガー) / DI100 Ultra-DI

 非常に低価格ながら、堅牢なボディと使いやすさでこちらも定番といえるダイレクトボックス。BOSS DI-1と同じくアクティブ型(要 9V電池もしくはファンタム電源)で、インプットにはフォーンのみならずXLR端子も備えています。
 
 
 BOSSより若干大柄ですが、その分踏んづけたり蹴っ飛ばしたりするアクシデントも少ないでしょう(笑)
 

→ サウンドハウスで「BEHRINGER / DI100 Ultra-DI」の価格をチェック

 

 

つぶやき的な

 他にもいくつかのメーカー(ブランド)から様々なDIが販売されていますが、ギター用途を前提とした仕様となっているものが多いですね。一応本ブログは鍵盤(電子楽器)奏者向けなので、上記2機種さえ押さえておけばとりあえずOKだと思います。なのでその他は恐縮ですが割愛させて頂きます。
 
 
 このようにダイレクト・ボックスは「演奏者だったら必携!」という感じのものではなく、基本的にライブハウスやレコーディングスタジオに置かれているものを使わせてもらうことがほとんどだと思いますが、これを機会に基本機能などを押さえて頂ければ幸いに思います。
 
 

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※1 アクティブ型 …電源は必要だが十分な効果と安定性が得られ、今日ではこのタイプが主流。逆は「パッシブ型」で、電源不要かつシンプル構造で扱いやすいのが利点だが、入力インピーダンスをある程度以上に高くできないため、出力インピーダンスが非常に高い楽器に使用するケースでは注意が必要。

 

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