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その他メーカー 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.327】SPECTRAL AUDIO ProTone ~スイス製の真っ赤なアナログ・モノシンセ[1996年]

2018/10/06

 今回ご紹介するシンセサイザーは、SPECTRAL AUDIO社の「ProTone MIDI Analog Synthesizer」(以下ProTone)という2Uラック・アナログシンセモジュールです。日本での発売は1996年。当時の国内定価は128,000円。

 

SPECTRAL AUDIO ProTone

 

 ラックものとしては珍しい真っ赤なボディ珍妙?なツマミデザインが目を引く一台で、これはスイスのSPECTRAL AUDIOというメーカーが作ったモノフォニック・アナログシンセなのです。日本ではコルグが代理店を務めていました。
 
 
 うーん、当時はいわゆるテクノ・ミュージックが流行っており、TB-303を模したと思われるいわゆるクローン機が多くのメーカーからリリースされていた時代でした。本機の広告でもベース・サウンドをセールスポイントの一つに挙げており、実際TB-303クローンと言っていい内容になっているのでしょうか。。ちょっと書いてみましょう。
 
 
 

オシレーター部

 本機は2VCO構成。VCO1ではノコギリ波、矩形波(パルス幅変更可)、ノイズが切り替えられるようになっています。VCO2ではノコギリ波、矩形波と外部入力が切替可能。そう、本機では外部入力信号をオシレーターとして使用することもできます。これはちょっと面白いですね。
 
 
 VCO2はVCO1にシンクすることも可能(※1)。あとはリング・モジュレーターも装備されています。
 
 
 

フィルター部

 定番の「カットオフ」「レゾナンス」のつまみが用意されており、フィルターエッジは12/24dBの切替えがスイッチ一つで変更可能。キー・フォロー(→鍵盤の高い位置に行くほどフィルターが開く)も設定できますね。
 
 
 またローパスの他にハイパスも使えるのが特筆ポイント。なおローパス/ハイパスは切替式となっており同時には使えません。
 
 
 なおフィルターセクションには他にも「アクセント」というツマミがあって、これは文字通り(アタックに)アクセントを付けられるというもの。もちろん本機にはエンベロープ(ADSR)も搭載されているのですが、エンベロープに関係なくVCOの波形で軽くアタックが付けられます。
 
 
 

モジュレーション(LFO)について

 LFOのスピード(周波数)は、0.005Hzから可聴範囲の3,800Hzまでレンジを3段階(HIGH/MIDDLE/LOW)に切り替えて掛けることが可能。これはちょっと他機種では見られないワイドレンジであり、本機の個性的な部分と言えるかもしれません。
 
 
 LFO波形としては三角波、正弦波、パルス波、矩形波などの6種類に加え、ランダム(いわゆるサンプル&ホールド)、およびノイズなども持ち、外部からの入力信号にも対応します。
 
 
 なおこのモジュレーションはパン(パンポット)にも掛けることができ、ちょっと面白い効果を得ることができますね。ちなみに本機はモノフォニック(同時発音数:1)なのにOUTPUTは2系統(L/R)あります。特に前述したランダムやノイズでパンに掛けると不思議なステレオ効果が得られると思います。お試しあれ。

 

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MIDI-CVコンバーターとして

 本機リアパネルにはGate端子およびCV端子が配されており、MIDI-CVコンバーターとしても機能するそう。ただし本機のMIDI周りの機能は非常に少なく、MIDI OUTも装備されていないため(INとTHRUのみ)、パラメーターのデータをエクスクルーシブとして送ることもできません。また本体にメモリー機能もないですね(=ノンプログラマブル)
 

SPECTRAL AUDIO ProTone(advertisement)
SPECTRAL AUDIO ProTone/(株)コルグ [KID] 雑誌広告より画像引用
 
 
 

個人的つぶやき

 この楽器も僕が勤めていた楽器屋に入荷され試したことがあります。とにかく鮮明に記憶しているのがツマミを回した時の感触の軽さ。こういったアナログシンセやオーディオ機器などのツマミは、ポットを回す際にある程度の “重み”が加えられているのが普通ですが、ProToneでのツマミの手ごたえのなさはちょっと特筆ものです。まあツマミ自体のデザインも先細りのものだったので、“指先でつまんで回す”にはこの程度の軽さがよかったのでしょう。このツマミのユルさが好きという人もきっといたと思います(笑)
 
 
 そして本機の音の個人的印象はというと『可もなく不可もなし』といったところ。前述したようにLFOはちょっと面白くて、本機を “効果音生成機”と見るならば使いどころはあると思いますが、アナログシンセ全般としては他機種でも代用可能な音キャラクターといった感想。一応シンセベースを意識してかSLIDE(ポルタメント)つまみも用意されていますが、303のようなベース音源として使うにはちょっとどうでしょう。。
 
 
 

追加つぶやき

 スイスのベンチャー企業みたいなメーカーが作った本シンセを、日本の大手シンセメーカーであるコルグが取り扱ったというのも興味深いですね。コルグさんは、ProToneの前年に「Prophecy(プロフェシー)」という物理モデリング・シンセをリリースしているのですが、やはりオーソドックスなアナログシンセも製品ラインナップに加えておきたいと思っていたのかもしれません。
 
 関連記事:「KORG Prophecy ~コントローラーが全てアサイナブルなモノ・シンセ
 
 
 あと、こいつを比較的大音量で鳴らすと「ブーン」という低音のいわゆるハムノイズが目立つこともしばしば。あとで知ったのですが、本機の電源仕様はいわゆる海外のそれ(120V? 117V? 220V?)になっていたらしく、日本で使うには変圧器を使った方がよかったそうです。もーコルグさん、そこのところちゃんと処理しといてよね(ぷんすか
 
 
 

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※1 いわゆるオシレーターシンク機能。2つのオシレーターの波形を強制的に同調(同期)させることで、より複雑な波形を創り出すことができる。

仕様
■最大同時発音数:1音
■オシレーター:VCO×2基
■フィルター:
 12-24(切替式)dB/oct ローパス・フィルター
 ハイパス・フィルター

■エンベロープ・ジェネレーター:ADSRタイプ
■LFO:1基
■入出力:オーディオ出力×2(L/R)、External Input×2(VCO/LFO)
■MIDI端子:MIDI IN/THRU

■外形寸法:483(W)×88(H)×185(D)mm
■重量:2.55kg
■発売当初の価格:128,000円(税抜)
■発売開始年:1996年

 

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