【Vol.251】NOVATION MM-10 ~QY10がマウント可能なMIDIキーボード[1992年]
2018/11/26
今回はイギリスのNOVATION(ノベーション)というメーカーが作った「MM-10」というMIDIキーボード・コントローラーを紹介してみたいと思いますよ。発売は1992年。当時の日本での価格は30,000円でした。
これは何かというと、YAMAHAの音源内蔵ポータブル・シーケンサー「QY10」を本体中央の窪みにセットして、(MIDI接続により)QYへの鍵盤入力が行えるようになるという非常に個性的なコントローラーなのです。
NOVATIONといえば、近年はLaunchPad/Launchkeyなどに代表されるMIDIコントローラー群でよく知られているのですが、こんな変わった鍵盤も作っていたんですね!
外観など
2オクターブ・25鍵盤のMIDIキーボード。外観的には以前本ブログでも紹介した「NOVATION BassStation (Keyboard) ~ベース・シンセサイザー」に非常に近いですね。ちなみにBassStationの方が本機の2年後の発売であり、そうやって見ると本機MM-10はBassStasionのプロトタイプといった印象を持たなくもないです。まあMM-10はあくまでコントローラーなので、音源は内蔵していません。
この窪みはもちろんQY10がぴったり収まるよう設計されており、QY10での操作がしやすいように傾斜が生まれるようになっています。ちょっとした譜面台のようにも見えますね。
なおQY10と本機の間での特別な親和性は、形状のマッチング以外にはこれといって見られないのですが、逆に言えば一般的なMIDIキーボードとして使うこともできます。
コントローラー部
鍵盤部はベロシティ対応となっていて、ピッチ・ベンドとモジュレーション用のホイールも装備。
なお本体パネル上の操作ボタンは、CURSOR(上下)とVALUE(左右)の4つのみ。カーソルで変更したいパラメーターを選択して、バリューで値を増減するという超シンプル設計ですね。ではどのようなパラメーターが変化できるのでしょう。
Channel
Octave
Program Change
Transpose
Controller-Modulation Aftertouch
音域は8オクターブの範囲に対応していて、MIDIチャンネルは1~16ch。また上記パラメーターを見て分かるようにプログラム・チェンジやトランスポーズなどの機能も備えています。なおLCDディスプレイでこれら設定を視認することができますが、LCD窓は超絶小さいです(笑)
電源部について
電源は、ACアダプター(別売り)の他にも単3電池×6本で駆動可能となっています。乾電池の場合はMax40時間ほど使用できるみたいですね。またMM-10にはQYに電源供給するためのアウトプット端子も備えています。
つぶやき的な
まあ本機は珍品と見ていいのでしょうか。QY10が様々な楽器店の店頭で見受けられたのに対し、MM-10は取り扱っていたショップも多くなかったことでしょう。。今日でも目にする機会が少ないレアな一台と言えます。
実際YAMAHA QY10は当時ヒットしましたし、それ専用の拡張キーボード・コントローラーがあっても不思議ではないと思うのですが、それが海外のサードパーティー(→ノベーション)からリリースされたというのがポイントです。
なお本機は、のちのBassStasionに見られるようなストラップ・ピンも装備しています。約2kgの軽量ボディで電池駆動も可能、さらにストラップ・ピンも付いているということで、普通にライブ向けショルダー・キーボードとしてもまだまだ使えそうな気がしますよ。また、iPhoneや今どきのガジェットなんかを窪みに収めておくなんてこともできそうです。
関連記事:「YAMAHA QY10 ~ベストセラー・ハンディ作曲マシン[1990年頃]」
仕様
■鍵盤部:25鍵(ベロシティ対応)
■発売当時の価格:30,000円
■本体重量:約2kg
■発売開始年:1992年