1970~80年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】
【Vol.1】Roland MK-80(88鍵) ~ローランドが作った“デジタル”Rhodes [1989年]
2018/11/20
今回の一台は、Rolandが1989年に発表した電子ピアノRhodes MK-80です。いわゆる「ローランド・ローズ」の一つですね。つとに有名です。ローランドがRhodesの商標を取得し、第1号機として発表したのが本機です。なお64鍵仕様の「MK-60」というモデルも同時に発売されました。
本ブログ内関連記事:「Roland MK-60 ~ローランド・Rhodesの64鍵モデル」
プロミュージシャンでは、ゴダイゴのミッキー吉野さんが愛用していました。
時代背景
そもそも「Rhodes」というブランドは、1965年にエレキギターで有名なFender社が買収し、初期モデルは「Fender Rhodes」のブランド名となっていました。その後フェンダー社がCBSに買収され、1975年に「Rhodes」として販売されるようになります。
一時代を築いた機械式エレクトリックピアノですが、80年代に入るとFM音源やPCM音源、MIDIの整備など急速にシンセサイザーが発展し、重くてアナログな電気式エレクトリックピアノは、デジタルの波に押されほとんど開発されなくなってしまいました。
そんなわけで、80年代に入り日本のシンセメーカー・ローランドが「Rhodes」ブランドを取得し(※一時期、ARPにも商標が移っている)、ローランドが作ったRhodesの一モデルが、このMK-80という次第です。
MK-80,MK-60/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
個人的感想(音について)
この子を初めて見たのは1999年頃かな。 当時、楽器屋のバイトをしていた大学生くんが、上記のようなRhodesブランド変遷の歴史なんかを丁寧に説明してくれました。
でもって音はというと、電気式のRhodesとは似ても似つかない感じです。まあデジタル鍵盤だから構造も何もかも違うのだから当然なのだけど。
エレピ系の音色にコーラス、トレモロなんかが大胆にかかってたりして、深さをパネル上のスライダーで調節することができます。エレピの音作りは楽しいですね。生ピアノ系の音は若干弱いので、これ1台でステージピアノとするには厳しいかもです。
まだまだ現役!?
そんなMK-80、ただの思い出の品だけならまだしも、セッション等でたまに使う名古屋市内のスタジオにて、常設鍵盤として今でも現役で使われています(※2018年3月追記:その名古屋市内のスタジオですが、2017年に閉店していたことが分かりました)
何度か弾かせて頂きましたが、生ピアノ系の音はモコモコしててなかなか抜けてきません。。ただしエレピとしては80年代っぽいテイストの音なので、楽曲によってはハマる可能性もあります。
MK-80のいいところ
鍵盤のタッチは悪くないので、個人練習用だったら結構重宝すると思います。非常に重いので運搬には向きません。ただ上面が平らで広いので(ここ重要!)、シンセ鍵盤を乗せて2段セッティングするには最適です。
つぶやき
そんなわけでスタジオ等でこの子を見かけたら、80年代のデジタル転換への大きな時代のうねりを感じ取りながら、思いを馳せてみるのもいいかもです。
馳せないって? そうですね…
関連記事(ローランドRhodes):
「Roland MK-60 ~ローランド・Rhodesの64鍵モデル[1989年]」
「Roland Rhodes Model 660 ~これは “ローズ”なのか!?[1989年頃]」
仕様
■鍵盤数:88鍵
■音源:アジャスタブルSA方式
■最大同時発音数:16
■本体メモリー:バリエーション64種(プリセット8種、プログラマブル56種)
■エフェクト:フェイザー、コーラス、トレモロ、イコライザー
■外形寸法:1370(W)× 546(D)× 152(H)mm
■重量:34.5kg
■発売当時の価格:350,000円(税別)
■発売開始年:1989年末頃