【Vol.170】CASIO Privia PX-100 ~Privia(プリヴィア)1号機![2003年]
2018/11/25
今回ご紹介するキーボードは、2003年に発売されたCASIOの電子ピアノ・「PX-100」です。
カシオの家庭向けデジタルピアノ・ブランドといえば「Celviano(セルビアーノ)」シリーズが知られていたのですが、よりスリムにスタイリッシュにと掲げられた新ブランドがこの「Privia」です。なおPX-100とはそのPriviaシリーズの初号機である型番に当たるものです。本体価格は63,000円(税別)でした。
2000年前後は、第何次か知らないけど「デジタル・ピアノ戦国時代」といった様相を呈していた時代であり、YAMAHA P-80(1999年)、KAWAI es1(2000年)などが低価格・コンパクトな家庭向け電子ピアノとしてマーケットを切り拓いてきたのですが、Priviaによりカシオさんもようやく同市場に本格参戦したという感じですね。
関連記事(同時代の類似電子ピアノ):
「YAMAHA P-80 ~ライブにも持っていける家庭用電子ピアノ[1999年]」
「KAWAI es1 ~全6色展開の2000年代初頭デジタル・ピアノ[2000年]」
「CASIO Privia PX-300 ~“ステージでもイケる!” 家庭向け電子ピアノ[2003年]」 →PX-100の上位機種
概要
当時の電子ピアノは、大きなキャビネット・タイプのものと、(持ち運びもできる)スタイリッシュなタイプのものに大きく二分されていましたが、10万円以下の価格帯でそこそこのタッチ・音を備えたモデルはほとんどありませんでした。
そこでPX-100は6万円台(本体のみ・スタンド含まず)という低価格で発売され話題に。全体の仕様は家庭向け電子ピアノのそれと言えますが、スピーカー内蔵とは思えないほどの軽量コンパクトな筐体で、なおかつクラス水準を超えた本格的鍵盤タッチ、および豊かなサウンドを実現しているのが特徴でした。
基本性能
パネル上に配された8個のトーン・ボタンによって音色を切り替え可能。8つの音色の内訳は、GRAND PIANO1/2、ELEC PIANO1/2、HARPSICHORD、VIBRAPHONE、PIPE ORGAN、STRINGSとなっています。
「顔」とも言えるピアノ音色の出来は、このクラスにしてはよかったと思います。エフェクトもリバーブ4種、コーラス4種を備えていて、ちょっとした音作りもできました。
鍵盤タッチのフィーリングも、この価格帯のCASIOとは思えないしっかりしたものだったと個人的に記憶しています。なおYAMAHAやKAWAIと比べたら若干軽めの印象でしょうか。
鍵盤スプリット/レイヤー機能搭載
鍵域を低音部・高音部に分け、別々の音色を割り当てることができます(→スプリット)。パネル上のSPLITボタンを押すと低音部がひとまず内蔵のベース音色になりますが、その後任意の音色に変更可能です。なおこのベース音色はパネル上のトーン・ボタンにはないのですよね。。スプリット機能使用時に、低音域のみで使用可能だそうです。言ってみれば隠れ音色です。
また2つの音色を重ねるられる、いわゆる「レイヤー機能」も装備しています。
接続端子ほうめん
ライン出力はなく、ヘッドフォン端子(×2)のみ。まあ家庭向け電子ピアノなのだからこの辺りは当然の仕様でしょう。なおMIDIはIN/OUT端子を装備しています。
ペダルは「ダンパー用」と「ソフト/ソステヌート用」の2つの端子が本体に用意されています。本機には同社のSP-3というペダルが同梱されているのですが、このペダルは「ダンパー用」「ソフト/ソステヌート用」のどちらにつないでも動作するそうです。両方使うためには、もう1個別途ペダルを買う必要がありました。
その他機能
コードを指定するだけでリズム、ベース音、コード楽器の伴奏が演奏される「自動伴奏機能」を搭載。また、録音/再生機能、内蔵曲を使ったレッスン機能など、家庭用電子ピアノらしい機能も見受けられますね。
“白モデル”・PX-100AWについて
2005年初頭に発売された、PX-100の「アッシュ・ホワイト」カラーのモデル。価格や仕様は同じです。
つぶやき的な
それまでの同社の家庭向けデジタルピアノ・ブランド「Celviano(セルビアーノ)」といえば、特に低価格帯のモデルでは「見た目は立派だけどタッチ・音はショボい」という印象が強かったと思います。またCASIOといえば、娯楽性の高い(要するにおもちゃっぽい)安価なキーボードばかり作っていたというパブリック・イメージが付きまとっていたのではと感じます(※ただしシンセは別)
そこでこの「Privia」の登場は、同社の家庭向け低価格電子ピアノのイメージを覆す音・タッチとなっていて、個人的に非常に驚かされたことを記憶しています。やるねCASIOさん、ディスってたとしたらごめんね!
また本機は、2000年代頃の貸し音楽スタジオでもよく見掛けた機種の一つです。僕も何度か使ったのですが、スタジオでのバンド練習の際、PHONE(ヘッドフォン)端子からミキサーにつないだのですがレベルがあまり上がらず、内蔵スピーカーに余ったボーカルマイクを立てて、強引にミックスした覚えがあります(笑)
仕様
■鍵盤数:88鍵(タッチ・レスポンス付)
■最大同時発音数:32音(一部16音のトーンもあり)
■音色数:8種+ベース2種(GRAND PIANO1/2、ELEC PIANO1/2、HARPSICHORD、VIBRAPHONE、PIPE ORGAN、STRINGS、ACOUSTIC BASS、RIDE ACO BASS)
■デジタル・エフェクト:8種(リバーブ×4、コーラス×4)
■録音機能(ソング・メモリー):リアルタイム録音/再生、容量約5,200音符
■レッスン機能:右手/左手パートオフ機能
■内蔵スピーカー:12cm/6cm(楕円)×2
■外形寸法:
1323(W)×132(H)×278(D)mm ※本体のみ
1306(W)×765(H)×288(D)mm ※別売専用スタンドCS-55P装着時
■重量:12.5kg(本体のみ)、22.5kg(専用スタンド装着時)
■発売当時の価格:63,000円(税抜)
■発売開始年:2003年