1970~80年代'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】
【Vol.147】YAMAHA PF2000 ~DX7IIコンパチのデジタルピアノ[1988年]
2018/11/25
今回はヤマハのデジタルピアノ「PF2000」を紹介してみたいと思います。発売は1988年で、以前本ブログでも紹介した「PF1500/PF1200」よりもおよそ半年ほど前に発売されたものです。88鍵仕様であり、のちのPF1500/PF1200にも受け継がれる独特の外観をしています。
関連記事:「YAMAHA PF1500/PF1200 ~80年代後期のヤマハ・デジタル・ピアノ」
音方面は?
同社のシンセサイザー・DX7II同様の6オペレータ/16音ポリのFM音源を2系統搭載しています(合計32音ポリ)。
内蔵音色は、ピアノ(1/2/3)、Eピアノ(1/2/3/4)、ハープシコード(1/2)、ビブラフォン、クラビ、マリンバの計12種類。出音はいずれもFM音源らしい音色キャラクターとなっていますね。
なお本機にはROMカートリッジが付属しており、そちらには64パフォーマンス分(128ボイス)の音色が用意されています。この音色群はピアノ系だけでなく、ブラス、ストリングス、ギターなどの各種楽器音も収録しています。
鍵盤タッチは?
AE鍵盤と呼ばれる、(当時)新採用の鍵盤を採用しています。これはアコースティック・ピアノのフィーリングを再現したものだそうで、イニシャル・タッチ機能も装備しています。外部音源やカートリッジ音色を使う際のベロシティ・カーブも3種類搭載されており、ピアノ以外の音色でも自分好みのタッチ・カーブに寄せることができます。
PF2000の最大の特徴は?
何といってもDX7IIのカートリッジを直接読み込めること。ROMもRAMもDX7IIと完全コンパチブルになっています(ただしPF2000本体内でエディットすることはできない)。DX7IIからの多彩な音色を流用できる上、それをピアノタッチ・88鍵で鳴らせるという一風変わったデジタル・ピアノといった感じです。
YAMAHA PF2000/ヤマハ(株) 雑誌広告より画像引用
イージーエディット機能
内蔵した12種の音色ごとに「バリエーション」と呼ばれる音色が別途用意されており、スイッチを押すことで、音の明るさやオートパンなど音色が変化します。また「サウンドコントローラー」という名称のスライダーが装備されており、こちらでも様々なパラメーターを効果的に(リアルタイムで)変化させることができます。
その他の機能
テープレコーダー感覚で気軽に使える2トラック構成の簡易型シーケンサーを搭載しています。容量は約2,600音で、演奏したデータはRAMカートリッジに保存することもできます。
スピーカーは?
2ウェイ(16cm+8cm)をステレオで内蔵しています。なお内蔵アンプは20W×2となっており、本体だけで音を鳴らすことができます。ちなみに左右奥側に配置された大きな丸いスピーカーのデザインは、のちのEOS B200やPF1500/PF1200にも見られますね。
関連記事:
「YAMAHA EOS B200 ~EOSにスピーカーが付いたよ![1988年]」
「YAMAHA PF1500/PF1200 ~80年代後期のヤマハ・デジタル・ピアノ[1988年]」
つぶやき的な
メーカーからのキャッチフレーズは「88鍵のピアノタッチ鍵盤を持つプリセット・シンセ」ということで、まさにそんな感じの内容のキーボードに仕上がってます。ただFM音源は(当時)そろそろ下火になってきた時代の空気もあってか、後続の「PF1500/1200」ではAWM音源(≒PCM音源)に変わっていますね。
ちなみに本機の専用のスタンド(YAMAHA LG-PF2000・¥24,000)は別売りで用意されているのですが、専用の椅子(YAMAHA CH-PF2000・¥16,000)まであったそうです。なんてことはない形状・機能の椅子なのですが、何というかヤマハさんも商売がうまいですね(笑)
仕様
■鍵盤数:88(イニシャルタッチ付き) ※AE鍵盤採用
■音源方式:FM音源(6オペレータ)
■プリセット音色:12種(ピアノ1/2/3、Eピアノ1/2/3/4、ハープシコード1/2、ビブラフォン、クラビ、マリンバ)
■同時発音数:16音2系列(カートリッジ/シングルプレイ時32音)
■付属ROMカートリッジ:
32パフォーマンス/64ボイス ×2バンク
フラクショナルレベルスケーリング
デモンストレーション用シーケンスデータ
■メインアンプ:20W×2
■外形寸法:1470(W)×147(H)×470(D)mm ※脚部は除く
■重量:39kg
■発売当時の価格:225,000円(本体のみ) ※専用スタンドLG-PF2000:24,000円
■発売開始年:1988年