【Vol.86】VOCE MICRO B ~1Uハーフラックのオルガン音源モジュール[1994年]
2018/11/25
今回ご紹介する機材は、VOCE(ヴォーチェ)のオルガン音源モジュール「MICRO B」です。うーん、これも相当懐かしいですね。発売は1994年ですが、同年末には早くも後継機?である「MICRO BII」がリリースされています。
ハモンドB-3のサウンドが1Uハーフ・ラックになった!?
ハモンドオルガンと一口に言っても色々な機種があるのですが、本機は直球で「B3」を意識した広告展開をしていましたね。「200kg近い本物が、ハーフラックサイズで手軽に扱えるようになりました! 本家以外では成し得なかったB3オルガン・サウンドがあなたの目前に広がります!」みたいな感じでした。ハードル上げちゃいましたね。。
VOCE MICRO B/Hookup, Inc. 雑誌広告より画像引用
音色選択について
ハモンド系34音色、コンボ・オルガン系2音色の計36音色がプリセットで用意されています。マニュアル(→手動操作)の場合は1~22までで、フロントパネルに用意された「PRESETノブ」(セレクター)を回し、1~22のどれかを選び音色を選択します。
じゃあ残りの23~36はどうやって選択できるの?というと、MIDIプログラム・チェンジを使って呼び出さなくてはいけないということで、ちょっとだけ手間がかかります。
ちなみにコンボ・オルガン系2音色は、FARFISAと、VOXコンチネンタルが1つずつ入っています。60年代に出回ったビンテージ物の代表的機種ですね。おまけと考えればまあいいかもしれません。
MIDI機能
3チャンネルによるマルチティンバー・モードが含まれているので、アッパー/ロワー/ペダルという、ハモンドっぽいセッティングもそっくりシミュレート可能です。
ただしMIDIボリューム情報は無視されるので、レベル調整にはアナログのボリューム・ペダルを使用する必要があります。
パネル上のノブ類
以下のノブが装備されています。なにぶんハーフラック筐体なので、LCD窓は無くほぼノブだけです(※パーカッション2nd/3rdの切り替えおよび、回転スピードSLOW/FASTの切り替えは押しボタン式)
・(マスター)ボリューム
・オーバードライブのレベル
・キークリックのレベル
・パーカッション・トーンのボリューム/ディケイ
・エフェクト選択(C1/C2/C3/OFF/RS/V1/V2/V3)
エフェクトについて
ハモンドよろしく、ビブラート3種、コーラス3種が用意されています。なおRSというのはロータリー・スピーカー・エフェクトの略で、ボタンによりスロー/ファーストの切り替えが可能となっています。
リアパネルに専用のフットペダル端子を用意しているので、足でもスロー/ファーストの切り替えが可能ですね。
オプションの「SPIN」(Rotating Speaker Simulator)について
より本格的なサウンド求めていた人向けに、「SPIN」というこれまたハーフラックのロータリー・シミュレーターも発売されました。こちらをつなげることにより、より本格的な回転効果はもとより真空管っぽい歪み(→オーバードライブ)も得られるというものでした。
まとめ&個人的つぶやき
本機は物理ドローバーは装備していませんが、様々なドローバー・セッティングにおいての音色が収録されているので、気軽にプレイバック・オルガン音源を追加したい時などに重宝したのではないでしょうか。
ちなみに、本体の上面には、36のプリセット全てに対するドローバーの位置が印刷されています。ここら辺の心遣いはにくいですね(笑)
関連記事:「VOCE MICRO BII ~オルガン音源モジュール・MICRO Bが進化!」
仕様(VOCE MICRO B)
■最大同時発音数:32音
■音色数:36
■エフェクト:コーラス、ビブラート(各3段階切替)
■パーカッション:2nd/3rdハーモニック・セレクト、パーカッション・ボリューム、ディケイ・コントロール
■外形寸法:203.2(W)×38.1(H)×293.2(D)mm
■重量:1.36kg
■発売当時の価格:85,000円
■発売開始年:1994年