【Vol.74】KORG X5DR ~ライブでも使えるGM音源モジュール[1995年]
2018/11/25
今回ご紹介する機材は、1995年に発売されたコルグのGM音源モジュール「X5DR」です。KORG X5Dというシンセサイザー(鍵盤付き)は以前本ブログでも取り上げましたね。
関連記事:「KORG X5D ~ヒイズミマサユ機氏ご愛用鍵盤[1995年]」
「じゃあ “X5D+R”で、X5Dのラック版ってこと?」と思われがちですが、実際は「X5」のさらにスペックアップしたGM音源モジュール版といった感じです。詳しく見てみますよ。
X5DR/(株)コルグ 雑誌広告より画像引用
64音同時発音となったコルグのGM音源モジュール
本ブログ「KORG X5 ~元祖お手軽シンセサイザー」の記事で書きましたが、X5の音源部は「05R/W」というGM音源モジュール(最大同時発音数32音)を踏襲していました。しかし既に同世代の他2大メーカー(ヤマハ、ローランド)も、DTM音源モジュールの分野では「最大同時発音64音」を実現していたので、コルグさんとしては一歩後れを取っていた感じですね。
そこで満を持してコルグが投入したのが本機・X5DR。もちろん64音に対応し、 前世代の「05R/W」からも大幅な増強がなされています。
音源は?
X5、および05R/WのPCMデータに、M1の人気音色や新規にサンプリングしたデータを追加し、430マルチサウンド+215ドラムサウンドを収録しています。Xシリーズでは340マルチサウンド+164ドラムサウンドだったので、合計141種も追加されたことになりますね。
M1のプリセット音には定番と化していた音色(例:M1 Piano、M1 Organ)があるので、そういった音がX5DRにも継承されているのは、M1サウンドに慣れている人にとって使いやすかったのではないでしょうか。
なお本体のROMエリアには、GM対応の128音色プログラム+8ドラムプログラムと、プリセット100プログラム/100コンビネーションがセットされています。エディット可能なRAMエリアは、100音色プログラム+100コンビネーションプログラムのメモリーが可能です。
外観は?
パッと見「05R/W」にも似てますね。もう少し斬新なデザインでもよかったかもと思うのですが、ヘッドフォン端子がフロント・パネル側に来たのは良くなった点だと思います(→05R/Wではリア・パネルにあった)。とはいえボタンは小さくてちょっと押しにくかったですね。。
特徴は?
当時のGM音源モジュールとしては、“他社とも十分に競争できる”出来に仕上がっていると思います。さらに、GM音源として使用する場合のマルチモードとは別に、01/WやXシリーズと同様のコンビネーション・モードが用意されていて、最大8パートまでの音色プログラムを使って自由にレイヤー(音色重ね)やスプリット(鍵域音色分割)を組むことができます。
これはどういうことかというと、個人向けDTM用途だけではなく、ライブやスタジオで使ってもいい(→使いやすい)仕様と言えます。実際、小さめのハコ(会場)だったらいわゆるライブ用シンセと比べても遜色ない音が鳴るし、64音同時発音もライブで生きてくるといえるでしょう。何よりハーフラックモジュールなので、可搬性は間違いなくGOOD!ですよね。
後発だったということもありますが、ヤマハ、ローランドのGM音源よりも安価だったことも魅力でした。
思い出的な
本機の内蔵デモ曲はよく出来ていたという記憶があります。僕もDTMを扱っているPCショップで試聴したのですが、「ちょっと欲しいかも。。」と心が揺らぎましたよ。。ちなみに当時の定価は69,800円でした。
デモ曲のようなトラックを、(その機材だけを使って)アマチュアが簡単に作れるかというとそうでもないのですが、秀逸なデモには購買意欲をそそる力がありますね(笑)
仕様
■音源方式:aiスクエアシンセシス・システム
■最大同時発音数:64音、64オシレータ(シングルモード時)
32音、64オシレータ(ダブルモード時)
■波形メモリー:PCM 8Mバイト
■完全独立2系統デジタル・マルチ・エフェクター
■エフェクト:47種類
■プログラム数:ROM:128プログラム+8ドラムプログラム
RAM:100プログラム、100コンビネーション
■外形寸法:218(W)×45(H)×241.5(D)mm
■重量:1.3kg
■発売当時の価格:69,800円
■発売開始年:1995年