1970~80年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】
【Vol.71】Roland MKS-50 ~αJUNOのラック版[1986年]
2018/11/25
今回ご紹介するシンセサイザーは、Rolandの「MKS-50」です。発売は1986年。前年に発売された「αJUNO-2(もしくはαJUNO-1)」の1Uラック音源モジュールです。当時の価格は69,800円でした。
以前本ブログの記事「Roland αJUNO-2/αJUNO-1 ~JUNO-106の後継機」でも紹介させて頂いた「αJUNO」のラック版です。αJUNO-1の鍵盤では対応していなかったダイナミクス/アフター・タッチにも対応しています。
仕様について
αJUNO譲りの音源部は健在で、14の基本波形を持つDCO、8パラメーターEGなど音作りの要素も豊富ですね。音色メモリーは128種類。さらにベンダー・レンジ、ポルタメント・タイム等のパッチ・メモリーを128種類内部にメモリーできます。
音色メモリーの内訳は、「プリセットA:8バンク×8」+「プリセットB:8バンク×8」といった感じで合計128プログラムです。
また16種類のコード・メモリー・ファンクション機能が搭載されており、ちょっとしたシーケンスを組んで鳴らすとトランス系音源として活用することもできそうです。
問題はその操作性…
本機で最も悩ましいのがその操作性でしょう。αJUNOにあった大きなダイヤル(→αダイヤル)は排除され、ボタン類だけが残ってしまいました(1Uなので致し方無いところかもしれません)。。よって本体のみで各種パラメーターのエディットを行うとなると相当大変です。
しかし別売りのエディター「PG-300」(当時の定価29,800円)と接続すれば、スライダーで直感的な操作が可能となります。まあ今となってはこの「PG-300」の方がはるかに希少で入手困難になってしまったわけですが。。
ギターシンセ(Roland GRシリーズ)との連携
ギターシンセ黎明期でもあった当時、GR/MIDIコンバーターである「Roland GM-70」とのコンビネーションも考慮し、MKS-50ではオムニ・オン/モノ・モードを搭載しています。ギター各弦のベンダー情報、ビブラート情報を別々に受信することができ、ギターの特性を生かしたプレイが可能になったそうです。鍵盤奏者にとってはあまり関係なかったですね。。
つぶやき的な
αJUNOの音源モジュール版ということなのですが、中の回路が異なるためか出音のキャラクターが若干異なり、αJUNOの方が音が太かったという話はたまに聞きました。
個人的には、(MKSシリーズ全般に言えることかもしれませんが)この「薄い」MKS-50の音がかえって使えるケースもあると考えています。
例えば今どきのシンセによく入っている「パッド音色」は、“粒立ちがはっきりしている”、“存在感があり主張してくる”と感じることもあり、楽曲・アレンジによってはあまりなじまないことがあります。そんな時、こういった古い機材の薄めのキャラクターの音色の方が合うなんてこともあるんですよ。あくまで個人的見解ですが。。
関連記事(ローランドJUNOシリーズ):
「Roland JUNO-6 ~夢の10万円台ポリフォニック・シンセ![1982年]」
「Roland JUNO-60 ~音色メモリーが可能になったJuno [1982年]」
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「Roland JUNO-D ~21世紀によみがえったJUNO [2004年]」
仕様
■1Uラック音源モジュール(MIDI対応)
■最大同時発音数:6音ポリフォニック
■ダイナミクス/アフター・タッチ対応
■音色メモリー:パッチ128種、トーン128種、コード16種
■ディスプレイ:16桁LCD(バックライト付)
■外形寸法:480(W)×44(H)×290(D)mm
■重量:3.5kg
■発売当時の価格:69,800円
■発売開始年:1986年