【Vol.52】KORG X5 ~元祖お手軽シンセサイザー[1994年頃]
2018/11/24
今回ご紹介するシンセサイザーはKORGの「X5」です。発売されたのは1994年末頃。なお、よく似た機種である同社の「X5D」は、本機のわずか半年後にリリースされたものです。今回は、元々のX5の方についてお話してみたいと思います。
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05R/Wのエンジンを積んだシンセサイザー
本機が発売された1994年というのはシーケンサー内蔵の「ワークステーション・タイプ」のシンセサイザーが台頭していた時代ですが、X5はシーケンサーを省略し、79,800円という低価格で発売され話題になりました。
音源部は同社のDTM音源モジュール「05R/W」をほぼ踏襲されたものとなっており、X5は「05R/W」の鍵盤付きバージョンととらえてほぼ間違いないです。もちろんGM対応です。
特徴は?
元々がDTM用のエンジンを積んでいるとあって、TO-HOST端子でコンピューターとの接続を前提とし、内蔵シーケンサーやFDDは装備していません。
このようにDTM入力用の鍵盤としての機能を持ちながら、実はライブでも使える本格派シンセとしての顔も持っています。本機では05R/W譲り(ひいては01/W譲り)の “コンビネーション・モード”を搭載していますので、GM専用音源として考えれば難しい「レイヤー」「スプリット」での演奏も可能です。
軽くて(4.7kg)そこそこ音もよくて、筐体もコンパクトで運びやすかったことから、ライブ用機として使っていた人も多かったのではないでしょうか。
操作性は?
無駄なスペースを省き、非常にコンパクトな筐体にまとまっていると思います。
ただし左上部に追いやられたモジュレーション・ホイールとピッチ・ホイールはやや操作が難しいですね。X5Dにも言えますが、鍵盤部がすぐ下にあるので、“手首を空中に固定したままホイールを回す”という、ちょっと無理な操作を強いられます。左手で鍵盤側面をつかみつつ親指でホイール操作をすることもできなくはないですが、個人的にはちょっと厳しかったです。
なおアフター・タッチは送信しませんが、これをモジュレーション・ホイールにアサインできるようになっています。
まとめ的な
DTM音源としての機能と、ライブ用シンセとしての装備をバランスよく備えた、コストパフォーマンスの高い1台といえるのではないでしょうか。何よりも、当時としては(今でもだけど)5kgを切る軽さの音源内蔵型シンセはなかなかなかったので、ライブ・キーボーディストにとっても非常にありがたい機種だったと思います。
ちなみにコルグの「DTMパッケージ版」に同梱されていたX5は、つや消しホワイトとパールホワイトの2つのカラーリングがあったそうです。今見つけたら相当レアですね。。
仕様
■鍵盤:61鍵(イニシャル・タッチ付/キー・オフ・ベロシティ対応)
■音源方式:aiスクエアシンセシス・システム
■最大同時発音数:32音(ダブル・モード時16音)
■波形メモリー:PCM 6Mバイト
■プログラム数: ROM:128+8ドラム RAM:100+100コンビネーション
■エフェクト:47種類
■外形寸法:900(W)×83.4(H)×254.2(D)mm
■重量:4.7kg
■発売当時の価格:79,800円
■発売開始年:1994年