【Vol.50】Roland JD-990 ~その1・個人的回顧録[1993年]
2018/11/24
今回は1993年発売のRolandの音源モジュール・「JD-990」のお話です。僕が買ったのは1998年頃かな。液晶の大きな2Uのラックです。JVシリーズ用のボードも(1枚)搭載できました。
その頃は鍵盤付きモデルの「Roland JD-800」が大人気で、その音源モジュール版として登場したのがこのラック型シンセ。定価は当時200,000円でした。JD-800と共に電気グルーヴが広告に起用されていたのが印象的です。
僕は楽器屋時代、たまたま中古でお客から買い取り、社員価格にて店長から譲ってもらました。
JD-990/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
当時の個人的印象(音について)
使い始めた頃は「細い音」という印象。収録されている音色数も比較的少ないと感じました。同社の位置付けとしては、当時のJV-1080(音源モジュール)の上位モデルであり、個人的には「JD-800のエンジンを積んだ高品位な音色(だけ)が売り」と思い込んでいました。
確かに音はきめ細かくハイファイな感じではあったけど、いかんせんPATCHモードでは細くて、オケに埋もれやすい印象。。中々自分の思い描いた音になってくれず苦労したことを覚えています。
結局のところ当時の僕は「シンセだったらとにかく派手で太い音!」という偏った嗜好に固まっていて、本機のよさの一つである「高品位で完成度の高いファクトリー・パッチ」には気付くことができませんでした。
当時の個人的印象(操作性について)
ローランドのシンセ・モジュール音源における「広くて多彩なグラフィック表示」は本機から始まったと思うのですが、これはなかなかよくできています。
EGのグラフィック表示は他のシンセでも浸透していましたが、例えばTVFの画面を見ている時にTVAのEGも点線で同時に表示されるなど、細かな部分にまで配慮が行き届いてるなと感じました。
つぶやき的な
元々JD-800がヒットしたのは、そのアナログライクな操作性に依るところが大きい(と信じ込んでいた)こともあり、純粋に音源部のみだと色々な意味で使いづらいという印象がいつまでも拭えませんでした。
本機はJD-800の後発であることは事実なのですが、ローランド内の本機開発チームの「ラックだからスライダーは搭載できないけれど、音源モジュールだからこそ追求できることを盛り込もう」という開発時の姿勢が、今になって少しだけ理解できるような気がします。
ちゃんと使えば強力な音源として活躍してくれたはずなのです。。魅力を引き出しきれなかったという意味では悔やまれますね。
余談的な
僕は2年ほど使って売却してしまいました(→2000年頃)。驚いたのが、買い取り価格が非常に高かったこと。美品だったのもあるけど、当時の同モデルは、半ばヴィンテージみたいな扱いになっていたような気がします。
なお、今回は僕の思い出話になってしまいましたが、本機を一般的な側面から解説した記事「【Vol.51】Roland JD-990 ~その2・だけど停電だけが恐ろしい」も書いています。お暇でしたらぜひ読んでみてください。
仕様
■最大同時発音数:24音
■本体メモリー:パッチ192、パフォーマンス48、システム1
■カードメモリー:パッチ64、パフォーマンス16、システム1
■内蔵エフェクト:
(パッチ)3バンドEQ、ディストーション、フェイザー、スペクトラム、エンハンサー、コーラス、ディレイ、リバーブ
(パフォーマンス/リズムセット)3バンドEQ、コーラス、ディレイ、リバーブ、ミックスアウトEQ
■カードスロット:PCM、DATA
■外形寸法:482(W)×88(H)×281(D)mm
■重量:5.1kg
■価格:200,000円(税抜)
■発売開始年:1993年