1970~80年代'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】
【Vol.41】YAMAHA MUSIC COMPUTER 「C1」 ~80年代の音楽専用コンピューター![1988年]
2018/11/23
今回ご紹介する機材は、YAMAHAがかつて発売した “ミュージック・コンピューター”・「C1」です。シーケンス・ソフト内蔵の “音楽制作特化型コンピューター”とされています。
C1には実は2つのラインナップがあって、HDDなし(代わりにFDD×2)の「C1」と、20MBのHDDを内蔵した「C1/20」があります(FDDは×1)。ディスクドライブ以外の仕様は同じですね。価格はC1が348,000円、C1/20が498,000円。発売は1988年ですよ! Windows95登場の7年前です。
今でこそ音楽制作(DTM/DAW)専用にパソコンをカスタマイズすることはあると思いますが、本機が発売されたのは1988年のこと。当時は、(音楽制作用途として)MacintoshやATARIはあったけどWindowsはまだまだの時代でした。一体どのようなコンピューターだったのでしょう。
概要
外観は当時のラップトップ・コンピュータといえますが、JISキーボードの左端に(シンセで使われるような)2本のスライダーを備えているのが特徴です。
OSはMS-DOSを積んでおり、本機は基本的にはIBM PC/AT互換機です。「フル・ミュージックI/O装備」とうたうだけあり、豊富なMIDI端子(MIDI IN x 2 、MIDI OUT x 8 、MIDI THRU x 1)の他、タイムコード端子(IN-OUT)をPC本体に備えています。
さらに当時としてはまだ珍しかったマウスが使えるGUIのシーケンス・アプリを標準搭載していました。
C1/ヤマハ(株) 雑誌広告より画像引用
付属ソフトウェア
「MIDIモニター」「バルクマネージャー」「シーケンス」という3つのソフトが標準で付属していました。ここでアプリケーションの核となるのは「シーケンス」というソフト。このソフトはC1をシーケンサーとして働かせるためのソフトで、MS-DOS上から立ち上げるようになっています。
演奏データは400トラック。そのうち最大同時再生トラックは200トラックとなっており、400トラックいずれもリズム・トラックとして指定できます。
操作について
基本的にマウスで行い、場合によってはPCキーボード(テンキーも装備)、2本のスライダーを使って入力データを変化します。もちろんMIDI鍵盤を接続しての打ち込みも可能。
演奏データを小節単位で最大1,024パターン登録可能。なお録音にはリアルタイムとステップの両方から選択できます。音符データのエディットについては「バーグラフ・ウインドウ」(→発音タイミングをマウスでエディット)、「ニューメリック・ウインドウ」(→数値で入力)で行えます。その他、クオンタイズも7種類装備。
個人的つぶやき的な
音楽制作を自宅から持ち出す設計(→ラップトップ型)にしたり、当時のMacintoshを意識したGUI環境は非常に革新的だったと思います。
楽器面から見ればMIDI OUTを8つも備えるなど、「通常のPC+音楽制作も本格的に行える」というコンセプトとしては、時代を大きく先取りしていた感がうかがえます。
時代が追い付いていなかったと感じなくもないですが、こんな機材があったことでも記憶に留めておいて頂ければと思います。
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仕様
■ディスプレイ:バックライト液晶(640×400ドット)
■メモリー:20MB HDD内蔵、3.5''FDD1基搭載
■最大同時発音数:128音
■録音再生:録音トラック数400、データ容量約39,000音
■付属品:MS-DOS(V3.3)、シーケンス、MIDIモニター&バルクマネージャー、シリアルマウス、電源コード
■外形寸法:394(W)×82(H)×382(D)mm
■重量:8.5kg(C1/20)、8.2kg(C1)
■発売当時の価格:498,000円(C1/20)、348,000円(C1)
■発売年:1988年