【Vol.120】Roland PMA-5 ~リーマン御用達? 電子手帳型シーケンサー[1996年]
2018/11/25
今回ご紹介する機材はローランドの「PMA-5」というシーケンサーです。発売は1996年。音源内蔵のポケットサイズ・シーケンサーのカテゴリーであり、その頃の類似の製品としてはヤマハの「QY22」辺りが相当します。QY22やQY70は携帯型ゲーム機を思わせるボタンの多い作りですが、「PMA-5」の作りは明らかに当時の電子手帳を意識していますね。
概要
コンパクトなシステム手帳サイズに、GS音源、4トラック・シーケンサー、アレンジャー機能を装備。(当時の)電子手帳のように、タッチ・パネルを付属のタッチ・ペンで押して操作します。乾電池でも駆動可能(単三×6本)。ちなみにPMAとは【Personal Music Assistant】の略だそうです。
PMA-5/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
音源部
GS/GM互換となっており、16パート・28音ポリフォニックの構成。音色は同社のDTM音源機「SC-55(mkII)」がベースとなっていて、本機オリジナルの音色もいくつか追加されています。なおエフェクターは、リバーブとコーラスをそれぞれ8種類内蔵しています。
全306トーン+16ドラムセットとなっていて、モードを「サウンド・モジュール・モード」に変更すれば、DTM用MIDI音源としても使用できます。MIDI端子はIN/OUTを装備している他、コンピューター接続端子も本体に搭載されていますね。
シーケンサー部
全8トラックですが、そのうち4トラックは自動伴奏用(シーケンス用)であり、残り4トラックをユーザーにて使用することができます。プリセットとしては「6パターン×100スタイル=600種類」を備えていて、もちろんユーザーが作ったオリジナルのスタイルも(200個まで)登録できます。
入力方法はリアルタイム入力が基本で、MIDIとつなげて外部キーボードからも打ち込みが可能(一応ステップ入力もできるみたいです)
アレンジャー機能について
パターン名を選びコードネームを指定するだけで、4パートのバッキング・パターンを簡単に作成可能となっています。アレンジ・パターンの選択は数が多くて戸惑いますが、慣れればアレンジのイメージを膨らませる用途として有効な機能だったと思います。
外部記録メディアは?
外部記憶メディア(フロッピーやカードなど)は装備されていませんが、MIDIやコンピューター端子でパソコンなどに演奏データを転送できるようになっています。
まとめ的な
ヤマハのQYシリーズと比較されることの多かった本機ですが、ビジネスシーンでもカムフラージュできそうなその外観(笑)は、主にサラリーマン層をターゲットにしていたのかもしれません。QYよりもおしゃれでスタイリッシュなデザインを好む人はコチラ、といった感じでしょうか。QYはパッと見、携帯ゲーム機にも見えましたからね。。
今となっては珍品扱いされることが多い本機ですが、スマートフォンやタブレットが普及するまで使い続けた愛好家もいたそうですよ。
4トラックのシーケンサーは、もちろん完パケまで作り込むのには(当時でも)無理のあるところだったと思います。とはいえ小型かつ軽量な作りからして、出先で思い付いたアイデアをササっとメモし、家に帰ってからパソコンでじっくり編集するという使い方が有効だったのではないでしょうか。
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仕様
■最大同時発音数:28音
■音色数:306ノーマル・トーン+16ドラム・セット
■トラック数:シーケンス4、スタイル4、コントロール2
■エフェクト:リバーブ(8種)、コーラス(8種)
■分解能:96クロック/4分音符
■スタイル・データ:プリセット・スタイル数=100×6ディヴィジョン、ユーザー・スタイル数=最大200、ソング長=1~999小節
■消費電流:200mA(アルカリ乾電池 約5時間)
■外形寸法:123(W)×34(H)×169(D)mm
■重量:610g(乾電池×6 含む)
■発売当時の価格:48,000円(税抜)
■発売開始年:1996年春頃