【Vol.58】AKAI SG01k ~AKAIが出したGM音源・ハーフラックモジュール[1995年頃]
2018/11/24
今回ご紹介する機材はAKAIの「SG01k」です。発売は1995年末頃。同社のハーフ・ラック音源モジュール「SGシリーズ」の中の一機種であり、本機はGM音源用モジュールとなっています。
SG01シリーズの共通仕様について
SG01シリーズには以下の3機種がラインナップされていました。
・SG01k(GM音源モジュール)
・SG01v(ビンテージ・シンセサイザー・モジュール)
・SG01p(ピアノ音源モジュール)
どの機種も16ビット、最高44.1kHz、非圧縮(→つまりCDと同等)というハイ・クオリティでサンプリングされたサウンドを収録しています。
内蔵エフェクターは1系統のリバーブのみといたってシンプル。とはいえ30種類のバリエーションから選択することができ、リバーブ量も各パートごとに設定可能となっています。
同時発音数は32音(内蔵リバーブを使う場合は30音)で、16パートのマルチティンバー音源でもあります。価格は3機種共通で39,800円でした。
SG01シリーズ/赤井電機(株) 雑誌広告より画像引用
で、SG01kは?
SG01kは、DTMを前提としたGM準拠の音源モジュールです。他の2機種(SG01v、SG01p)にはないHost端子(MIDIインターフェイスを介さずにパソコンと接続するための端子)を装備しています。
ディスプレイは「7セグメント3桁のLED」(→3桁の電卓みたいな表示)なのではじめのうちは戸惑いかもしれませんが、そもそもGM音源の音色ナンバーは共通しているので、日ごろGMに慣れ親しんでいる人だったら割とスムーズに導入できたのかもしれません。
SG01kの音は?
個人的所感ですが、本機のPCM波形は非常にクリアで、他社の音源と比べ音が立っていたように記憶しています。キーボードで単音色を手弾きしてみても大したことはなかったのですが、フルパートのシーケンス・データを走らすと音の鳴りが高品位で届いてきたのを覚えています。
手弾きだと超絶技巧になりそうなピアノ曲なんかは、シーケンサーで鳴らした時の音源の違いが分かりやすかったですね。ピアノ音色は、個人的には “音源の顔”だと思っているので、その音色がよかったSG01kは僕的に合格点でした。
サンプリング・ノウハウを長年蓄積してきた同社ならではの、サンプリング波形に対する「こだわり」・「プライド」みたいなものがあったのかもしれません。
「箱入り楽団」について
このSG01kには、DTMに必要なオールインワン・パック「箱入り楽団」というセットも別に販売されていました(※カメオインタラクティブが販売)。これは、SG01k本体+シーケンスソフト「Vision 2.0J」+「SG01kエディター」というエディットソフトなどが1パックになったものです。
これまた低価格で、DTM人口の増加に一役買ったのではないではないかと思います。
個人的感想
AKAIのDTM市場参入は、本機によってようやく本格的に名乗りを上げたという感じであり、他社に比べて若干出遅れた感は否めません。いわゆる90年代中頃のDTM(音源モジュール)市場は、既にRoland、YAMAHA、KORGの3社がシェアを握っており、それらの牙城に切り込むといった感じで、「低価格」「かつ高音質」という戦略に打って出たのかもしれません。
僕が楽器屋店員をしていた時も本機を取り扱っていて、DTM派のお客はもとより、「セカンド音源を探している」ライブ派のお客にもよくお勧めしていました。
そのお店では最終的に本機を新品価格で9,800円まで値下げしたので(!)、とりあえずいっぱい売れたDTM音源というのが個人的な思い出でもあります(笑)
関連記事(アカイSG01シリーズ):
「AKAI SG01p ~ハーフラック・ピアノ音源モジュール[1995年頃]」
「AKAI SG01v ~お手頃価格でビンテージ音色が手に入る?[1995年頃]」
仕様
■音源方式:16ビット・リニア
■最大同時発音数:32音(リバーブ・オン時は30音)
■音色数:189メロディ・サウンド、 124リズム・サウンド
■エディット・パラメーター:SHAPE、TONE、SPECIAL、LEVEL、FX LEVEL
■MIDI端子:MIDI IN/OUT/THRU
■外形寸法:256.7(W)×43.7(H)×214(D)mm
■重量:1.4kg(ACアダプター含まず)
■発売当時の価格:39,800円
■発売開始年:1996年