【書籍】『FOK46 突如40代でギター弾き語りを始めたらばの記』(大槻ケンヂ著)
2018/11/23
今回ご紹介する本は、大槻ケンヂ著の『FOK46 突如40代でギター弾き語りを始めたらばの記』です。初版は2014年3月。
著者の大槻ケンヂさんはロックバンド・「筋肉少女帯」のボーカリストであり、エッセイや詩、小説など文筆方面でも才能を発揮されています。
大槻ケンヂさん(以下オーケン)は僕も25年来のファンで、ライブにこそ行ったことはありませんが、筋肉少女帯(以下筋少)のライブビデオは非常によく観ました。ちなみに筋少のキーボーディストといえば、三柴理(三柴江戸蔵)さんや秦野猛行(はたの たけゆき・サポート)さんが知られています。
本書は、40代も半ばを過ぎたオーケンが、全く経験の無いアコースティック・ギターを突如始め、「FOK46(フォーク・オーケン・46歳)」という一人弾き語りユニットを立ち上げ、練習およびライブのことなどを記したものです。個人的に(当時の)オーケンの年齢に近いこともあり、親近感を持って楽しく読めました。
ギターを知らない人は読んでも分からないんじゃないの?
オーケン・エッセイならではの軽妙な文体と絶妙な言葉選び(笑)によって、ギターのことはよく分からない人でもサクサク読めると思います。
なお文中には特定のアコースティック・ギターのモデル名や、演奏時に役立つ「コード」が頻繁に出てきます。このコードですが、ページの下部に「タブ譜」まで掲載されているという配慮ぶり。細かな注釈も付いているので、ギターや音楽をよく知らない人でも読みやすいです。
ある程度のギター経験者にとっては、「ギター初心者あるある」も多く出てきて楽しく読めると思いますよ。
心に刺さる言葉たち
今さらですが、本書はタイトルにもあるように主にギターについてのエッセイです。鍵盤のことについてはほぼ全く触れられていませんが、音楽人として “刺さる” 文章がいくつか出てきたので、本ブログで取り上げさせて頂いた次第です。
個人的に感銘を受けた本書内での文章を、ちょっとだけ紹介してみましょう。
「有限の人生の中で、でもどこからでも人は新しいことを始めることがきっとできるのだと思うし、そう思った方が楽しいよ」(「まえがき」より)
「僕は個人的に、人が表現者として世に出るのに必要なのは才能と運と継続、この三つだけだと思っている。」
継続だけは誰にでもできる。
運は天にしかわからない。
才能だけがそれぞれに自己審査できるアイテムがあるのだ。
音楽ならそれは楽器だ。
中でもギターはわかりやすい。
(「天国への階段」より)
まとめ的な
そんな感じで、オーケン言うところの “中年期中二病”に陥ってしまった僕みたいな人にとっては、心に届く一冊でした。ギターの部分を「ピアノ」に置き換えて読んでも面白いし、自分の興味がある物だったらどんどん当てはめてみるといいかもです。
もちろんオーケンファンの人にとっては、いつものオーケン節満載なので安心して読めますよ。