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ピアノ 音楽

鍵盤の(表面)材質を考える ~演奏性の高い素材とは?

2018/11/25

 

 

 アコースティックピアノの白鍵の場合、鍵(の芯材)はほとんどが木でできていますが、表面はふつう別の素材を貼り付けてあります。ピアノ弾きにとっては指が直接触れる部分であり、長時間付き合っていくことを考えると、ピアノ選びにおける重要な要素の一つといってもいいでしょう。
 
 
 昔のコンサートグランドなどには白鍵は象牙が使われていました。また黒鍵には黒檀が採用されていることが多いですね。素材の観点からちょっといろいろ書いてみましょう。
 
 
 

白鍵素材→象牙(アイボリー)について

 かつて白鍵に使用されていた象牙は、全体的に黄色っぽいのが見ための特徴です。表面には目に見えない多数の孔が開いており、適度に指に吸着し、長時間の演奏時に汗をかいても滑りにくいというのが特徴です。
 
 
 演奏においては非常にメリットが多いと言えるのですが、環境保護意識が世界的に高まり、ワシントン条約締結以降はほぼ全く国内に入ってこなくなりました。最近ではすっかり目にする機会も減って、徐々に珍しいものになりつつあります。しかも何のメンテナンスもしていないと黄ばみが進んでしまうので、一見したら「何だこの汚れた鍵盤!」と思ってしまうかもしれません。もちろん鍵盤の黄ばみと音の良し悪しは、直接は関係しないのですが。。
 
 
 というわけで、実際に(状態のよい)象牙のアコースティックピアノを弾く機会といえば、一部のコンサートホールに昔から置いてあるものくらいでしょうか。。ただし黄ばみの「漂白」をしてくれる業者があるそうなので、ピアノの先生とかだったら、きれいな象牙鍵盤のピアノを所有しているかもしれませんね!
 
 
 

黒鍵素材→黒檀(エボニー)について

 黒檀(こくたん)とは真っ黒く非常に硬い木材で、特にスリランカで採取される通称「セイロン・エボニー」はその中でも最高級品種とされています。楽器としては他にも、バイオリンの指板(弦を指で押さえる部分のパーツ)などに使われています。高級家具・仏壇などでもたまに見かけますね。なお黒いエボニーほど貴重とされるため、廉価エボニーを黒っぽく染めて高級そうに見せているものもあるそうです。
 
ピアノ的には、これもまた指触りがよく重厚な質感を感じることができます。
 
 
 ただし黒檀も非常に高値で取引されるため違法伐採が問題視されています。2012年には、アメリカのギターメーカーであるギブソン社が、現地の木材販売業者から証明書類を取得せずにマダガスカル・エボニーを輸入したとして、30万ドル(日本円で約2,300万円)の罰金を司法当局から命じられたそうです。
 
 
 引用元サイト:ロイター <http://jp.reuters.com/article/tk0867596-usa-gibsonguitar-madagascar-idJPTYE87603420120807>
 
 
 

ここまでのまとめ

 象牙・黒檀ともに高級素材であり、演奏性は高いのですが今の時代では入手はやや困難というのが実情です。そんなわけで、近年の量産型ピアノの鍵盤(表面)素材には、象牙や黒檀のタッチに近い「人工象牙/人工黒檀」が多く採用されています。
 
 
 なお「ファインアイボリー」「ファインエボニー」(→主に河合楽器での呼び名)や、「ニューアイボリー」「黒檀調天然木」もこれに同様と思って頂いてよいです。これらは象牙/黒檀に近い感触が得られるということで、最近製造されているアコースティックピアノに多く見られます。

 

 

 

電子鍵盤の場合

 比較的廉価な電子ピアノや、一般的なキーボード(シンセサイザー)に採用されている鍵盤は、合成樹脂(アクリペット、フェノール等)が採用されていることが多いです。汗などは吸収してくれませんが、見ためが鮮やかで寿命が長いです。
 
 
 なお「アクリペット」は樹脂メーカー・三菱レイヨンのメタクリル樹脂成形材料の登録商標です。耐候性、硬度などに優れ、様々な日用品に使われているそうですよ。
 
 参考サイト:三菱レイヨンHP <http://www.acrypet.com/>
 
 
 このような樹脂素材は、各メーカーやモデルごとに色々種類(呼び名)があって、それが実際どういった触り心地になっているかは僕自身把握しきれていないです。スミマセン。。なので、購入する際は(ピアノ専門店の)店員さんに聞いて、実際に触ってみるのがよいですね。
 
 
 

余談的な

 ローランドのステージピアノ、RD-700GX(→生産完了品)、RD-700NX(→生産完了品)、RD-800(→2017年3月現在現行)では鍵盤表面を象牙のような多孔構造のものを採用していて、これが結構イイ感じで指に吸い付きますね。音やタッチには好みもあると思いますが、ステージで緊張しまくり・汗かきまくりの人にはオススメですよ(笑)

 

 

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