「A」を頂戴って何をあげたらいいの? ~チューニングのお話
2018/11/23
スタジオにて、たまにメンバー(特にギタリスト)からキーボーディストに対して「Aの音ちょうだい!」 と頼まれることがあります。はて、一体何を差しあげればいいの??
これは、音程が狂うことのない電子楽器の音を基準にして、弦楽器の人がチューニング(決められた一定の音程に合わせる作業)をするためです。きっとチューナーを忘れてきてしまったのでしょう。なお、この場合の「A」というのは「ラ」の音程のことです。
なので、「A」の場合、真ん中辺の「ラ」を鳴らしてあげましょう。音色は特に何でもいいですが、あまり音が複雑に混ざっていないものを選びます。
もしベーシストからのリクエストだったら、若干低めの音が好まれます。ドラマーさんにもピッチ(音程)にこだわる人がいるかもしれないので、リクエストされることがあるかもしれません。
なお、音楽的には「ラ」の音程が基準になっていることが多く、ピアノ調律の基準も中央の「ラ」です(おおよそ440Hz)
A=ラ
B= シ
C= ド
D= レ
E= ミ
F= ファ
G= ソ
となるわけですね。この場合「ド」がアルファベットの起点ではないので注意です。
一般的なステージピアノやシンセサイザーには、「マスター・チューニング」といってその機体の元々のチューニングを設定する機能があります。
(例)KORG SG-proXのマスター・チューニング調整画面
ギタリストの場合だと演奏中に微妙に音程がずれることがあり、実際曲間ごとにチューニングをしていたりしますが、鍵盤奏者がこのチューニングを曲間や演奏中に変えることはまずありません(→ただしシンセでリアルタイムでピッチを変化させるという演奏上のテクニックはある)。
ただし、いわゆる古~いアナログシンセはチューニングが安定しないものがあり、OUTPUTの一つにデジタルチューナーをつなげてるケースもあります(そういった昔のシンセには、本体にチューニング用のつまみが用意されていることが多い)。曲間や、場合によっては演奏しながらチューニングしてたりするのですね。
※参考:OUTPUT(PHONES)からデジタル・チューナーを取り付けたminimoog(復刻版)
というわけで電子楽器にはいわゆるチューニングはあまり必要ないのですが、予備知識として覚えておけば何かの役に立つかもしれません。