【ショルダーキーボード】 その他メーカー 楽器・機材【Vol.〇〇】
【Vol.142】Lync LN-1000 ~ちょっと珍しいLync社製ショルダーキーボード[1990年]
2018/11/25
今回ご紹介する機材は、Lync(リンク)のショルダー・キーボード「LN-1000」です。以前本ブログでも「LN-4」および「Jan Hammer SIGNATURE EDITION」を取り上げましたが、このLN-1000は言ってみればLN-4の廉価モデルです。発売は1990年で、LN-4の2年後にリリースされました。
はじめに・Lync社製ショルダーキーボードの系譜
数が少ないのでちょっとまとめてみました。ちなみにLync社では、これらショルダー・キーボードの商品群のことを「ストラップ・オン・シリーズ」と銘打っていたみたいですね。
LN-1(1985年)…FATAR製鍵盤を採用したLync社初となる本格ショルダー・キーボード。筐体デザインは、1980年頃に発売された「Royalex Probe」(→ヤン・ハマーが使用)と雰囲気がちょっと近い感じでした。
LN-4(1988年)…豊富なMIDI制御機能を盛り込んだ意欲機。ボディカラーは3色から選ぶことができました。ちなみに直接の関係はないと思いますが、のちに発売されるローランドのショルダーキーボード「AX-1」(1992年)は、LN-4(の特にレッド)に全体的な外観が似ていますね。
Jan Hammer SIGNATURE EDITION(1988年)…基本的な内部仕様は上記のLN-4と同じですが、ベンドコントローラーの形状・操作法が異なる特別モデルです(→親指でベンドをコントロールできるようになっている)
LN-1000(1990年)…今回の記事の主役。
LN-1000の概要
49鍵、標準スケール鍵盤を搭載したMIDIショルダー・キーボード。もちろんベロシティ/アフタータッチ対応です。価格は148,000円と、LN-4の198,000円と比較したらそこそこプライスダウンしていますね。なおボディカラーはブラックのみとなっています。アメリカのロックバンド「シカゴ」のロバート・ラム(Vo,Key)が一時期使用していましたね。
なおLN-1000はLN-4の基本設計をほぼ踏襲していると言っていいので、内部仕様の詳細については「Lync LN-4/Jan Hammer SIGNATURE EDITION ~ヤン・ハマー・モデル」の記事を最初にご参照いただければ幸いです。
LN-1000の特徴(LN-4との相違点)
LN-4では叶わなかった電池駆動が可能になっています。ただし本機の電池スペース(電池ボックス)のフタは若干閉まりにくく、強引に閉めようとすると壊れてしまいがちなので要注意です。
廉価機ということもあり、LN-4で装備されていた「4チャンネルのMIDIパッチャーとMIDIミキサー」は、LN-1000ではそれぞれ1チャンネルとなっています。一方、マスター・プロゴラム数は127と、LN-4の64から倍増していますね。
LN-1000のコントローラー部
これもLN-4と同じで、ネック部分に「ピッチベンド・ホイール」「モジュレーション・ホイール」の2つホイール、およびプログラム・チェンジ情報送信用の2つのボタン(アップ/ダウン)が装備されています。この2系統のホイールは「(左手の)人差し指と中指」で操作するようになっていて、「Jan Hammer SIGNATURE EDITION」とはちょっと異なります。
個人的おもひで
くどくて恐縮ですが、当時のLyncの日本の代理店は(有)安田商店であり、本機も僕が楽器店時代に取り扱っていた商品の一つでした。音源とつないで何度か試奏させてもらったのですが、見た目よりも軽く扱いやすかった記憶があります(→ウーリッツァーの筐体ケースに似た表面素材だった)。あと、ストラップ・ピンがネック先端ではなく、ボディ側(の背面)に付いてたのが当時としては珍しかったですね。
このLync LN-1000ですが、知名度の低い外国製のキーボードということで店でもなかなか売れず、仕舞には店長(社長)が「これを売ったら5,000円のボーナスを出す!」とか言い出して、バイト君と販売競争をしたことを覚えています(笑)。それでも結局売れなかったと記憶しています。。
仕様
■鍵盤:49鍵(ベロシティ/アフター・タッチ対応)
■マスター・プログラム数:127
■MIDIパッチャー:1チャンネル
■MIDIミキサー:1チャンネル
■ホイール:ピッチベンド、モジュレーション
■発売当時の価格:148,000円
■発売年:1990年